この記事のポイント
- カードのポイント・マイルを名指しした国税庁の見解は確かめられず、条文と通達から考えます
- 経費をポイントで払ったときの記帳は、国税庁の資料が値引処理と両建処理を示しています
- 社長の私用は役員給与と考えられ、継続的で毎月おおむね一定でなければ損金になりません
- 立替で社長に付くポイントは見解が分かれ、給与とみる研究論文もあります
まず結論:会社のカードで貯まったポイントは、会社の取引として考えます
会社名義のクレジットカードで経費を払うと、ポイントやマイルが貯まることがあります。
ポイントのもとになったのは、会社が払った経費です。
会社で使えば記帳の問題、社長が私用で使えば給与の問題になると考えられます。
ただし、カードのポイントやマイルを名指しした国税庁の見解は、確かめられませんでした。
社長の私用を放置すると、役員給与と源泉徴収の問題になると考えられます。

手がかりは、益金の原則と国税庁が公表したポイントの資料です
法人税では、原則として、取引から生じた収益を益金(所得の計算で加える額)とします。
内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
(法人税法22条2項)
国税庁は、共通ポイント(運営会社の加盟店で使えるポイント)の処理例を公表しています。
処理例の会員は、付いたポイントは仕訳せず、使った時に雑収入としています。
ポイント
国税庁の資料は、企業が発行するポイントや共通ポイントを例にしたものです。クレジットカードのポイントやマイルを名指ししたものではありません。当てはめは、カードの規約を見て判断します。
自社でポイントを発行する側の扱いは、自社ポイントの記事で扱っています。
会社の経費をポイントで払ったときは、値引処理か両建処理が考えられます
国税庁の資料は、ポイントで物を買ったときの経理を2つ示しています。
値引処理(ポイント使用後の支払金額を経費算入する処理)
両建処理(ポイント使用前の支払金額を経費算入するとともに、ポイント使用額を雑収入に計上する処理)
(国税庁「企業発行ポイントの使用に係る経理処理」)
どちらの方法でも、差し引きの費用の額は同じになります。
計算例
例1:税込11,000円の事務用品を、1,000ポイントとカード10,000円で買った場合
値引処理 消耗品費 10,000円 / 未払金 10,000円 両建処理 消耗品費 11,000円 / 未払金 10,000円・雑収入 1,000円 差し引きの費用 値引処理 10,000円 = 両建処理 11,000円 - 1,000円金額は一定の前提を置いた目安です(1ポイント1円・税込経理)。
消費税の課税仕入れの額は、ポイントの使い方で変わります(タックスアンサーNo.6480)。
- 商品本体価額の値引きなら、値引後の10,000円です
- 支払うべき価額の値引き(ポイント支払)なら、全額の11,000円です
どちらに当たるかは、レシートの表記で判断して差し支えないとされています。
国税庁の仕訳例では、ポイント支払のときの雑収入は消費税の不課税です。

社長が私用で使えば、役員給与(経済的な利益)と考えられます
会社のポイントで社長の旅行代や買い物を払うと、会社が社長の費用を負担した形と考えられます。
法人税法は、役員給与に経済的な利益を含めています。
前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。
(法人税法34条4項)
通達は、その例として次の形を挙げています。
役員等のために個人的費用を負担した場合におけるその費用の額に相当する金額
(法人税基本通達9-2-9(10))
ポイントを社長個人のマイルや商品券に替えるのは、資産の贈与(同通達(1))に近いと考えられます。
役員給与は、定期同額給与などに当たらなければ損金になりません(法人税法34条1項)。
経済的な利益で定期同額給与に含まれるのは、次のものです。
継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの
(法人税法施行令69条1項2号)
一回限りの私用は、継続的に供与される利益ではないため、損金になりません。
計算例
例2:会社のポイント50,000円分(1ポイント1円)を社長が家族旅行に使い、精算していない場合
仕訳の一例 役員給与 50,000円 / 雑収入 50,000円 会社の所得 雑収入 50,000円 - 損金になる額 0円 = 50,000円の増加 社長の給与の収入金額 50,000円の増加(源泉徴収の対象)金額は一定の前提を置いた目安です。仕訳は国税庁の処理例にならった一例です。
役員給与とされれば、社長にも給与として所得税がかかります(所得税法28条1項・36条1項)。
会社は、給与を払う者として源泉徴収の義務を負います(同法183条1項)。
経済的な利益の全体像は、役員の経済的利益の記事にまとめています。
個人カードで立て替えたときのポイントは、見解が分かれます
立替で社長に付くポイントの扱いは、国税庁の公式の見解が確かめられませんでした。
社長個人とカード会社の契約で付くため、給与に当たらないとも考えられます。
通達のいう経済的な利益は、会社の行為による次のものです。
給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすもの
(法人税基本通達9-2-9)
一方、社長個人の所得になるかは別の問題です。
国税庁は、買った企業から決済額に応じて付くポイントは、値引きと同様で課税しないとしています。
共通ポイントを使った場合などは、一時所得などの収入とします(タックスアンサーNo.1907)。
税務大学校の研究論文(執筆者個人の見解)は、会社の経費で役員が得たポイントを給与とみています。
この見解では会社に源泉徴収の義務が生じるため、個別の判断が要ります。
注意
会社が社長個人のカードの年会費を払っていたり、立替額より多く精算していたりする場合です。その分は、社長への給与(経済的な利益)と見られるおそれがあります。
立替精算の書類のそろえ方は、領収書がない経費の記事もご覧ください。

指摘につながる処理は、たとえば次の5つです
問題になるのは、ポイントの動きと帳簿が合っていない処理です。
- 社長がポイントを私用に使い、帳簿に残していない ― 役員給与と源泉徴収の漏れにつながると考えられます
- 会社のポイントを、社長個人のマイルや商品券に替えている ― 資産の贈与に近い形と考えられます
- ポイントで払った経費を、全額カード払いで記帳している ― 請求額と合わず、費用が多くなります
- ポイント値引のレシートで、値引前の額を課税仕入れにしている ― 仕入税額控除が多くなります
- 社長個人のカードの年会費を会社が払っている ― 個人的な費用の負担と見られるおそれがあります
ポイントは現金が動かないので、使った記録がないと後から説明しにくくなります。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身でできるのは、次の4点です。
- カードの規約で、ポイントやマイルが会社と使う人のどちらに付くかを確かめる
- ポイントの付与・使用・残高を、カードの明細から月ごとに控える
- ポイントで払った経費は、レシートの「値引」か「ポイント支払」かを見て記帳する
- 社長が私用で使った分は、早めに社長から会社へ精算してもらう
ここから先は、事実によって判断が分かれます。
マイルの価額の測り方や、請求額への充当・商品券への交換の扱いは、規約ごとに見ます。
期末に残るポイントや、出張で社長個人の会員口座に付くマイルの扱いも同じです。
過去の期に私用分があったときの直し方は、特に個別の判断が要ります。

税理士が入ると変わるのは、ポイントの記録と精算の仕組みです
小松公認会計士・税理士事務所では、決算の前から次の作業を行います。
- 規約と明細から、ポイントとマイルの付き先と使われ方を確かめる
- ポイントの付与・使用・残高の管理表を作る
- 会社で使った分の記帳の方法をそろえ、消費税の区分を確かめる
- 私用分の精算と、精算しない分の役員給与・源泉徴収を整理する
- カードを使う人とポイントの使い道を決める社内規程を作る
- 申告書に反映し、税務調査で説明できる資料を残す
設計は会社ごとです。弊所で組み立てます。全国どこからでもオンラインで進められます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 会社のカードで貯まったポイントは、付いた時に収益にするのですか?
カードのポイントを名指しした国税庁の見解は確かめられませんでした。国税庁の共通ポイントの処理例では、付いたポイントは仕訳せず、使った時に雑収入としています。キャッシュバックや期末に残る分の扱いは、カードの規約を見て個別に判断します。
Q2. ポイントで会社の事務用品を買ったときは、どう記帳しますか?
国税庁の資料は、使用後の支払額を経費にする値引処理と、使用前の額を経費にしてポイント分を雑収入にする両建処理を示しています。消費税の課税仕入れの額は、商品本体価額の値引きか、支払うべき価額の値引きかで変わります(タックスアンサーNo.6480)。
Q3. 社長が会社のポイントで家族旅行をしたら、どうなりますか?
会社が社長の個人的な費用を負担した形になり、役員給与に当たると考えられます(法人税法34条4項・法人税基本通達9-2-9(10))。一回限りの私用は定期同額給与に当たらず、損金になりません。役員給与とされれば社長に所得税がかかり、会社は源泉徴収の義務を負います。
Q4. 社長の個人カードで会社の経費を立て替え、ポイントが付きました。問題になりますか?
国税庁の公式の見解は確かめられず、判断が分かれます。税務大学校の研究論文(執筆者個人の見解)は、会社の経費で役員が得たポイントを給与とみています。年会費の負担や立替額を超える精算も、社長への給与と見られるおそれがあります。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。法人税法22条2項・34条1項・4項、法人税法施行令69条1項2号、法人税基本通達9-2-9、所得税法28条1項・36条1項・183条1項、国税庁タックスアンサーNo.1907「個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」・No.5202「役員等に対する経済的利益」・No.6480「事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方」、国税庁「企業発行ポイントの使用に係る経理処理」「共通ポイント制度を利用する事業者(加盟店A)及びポイント会員の一般的な処理例」の内容を扱っています。クレジットカードのポイント・マイルを名指しした国税庁の公表見解は確かめられておらず、記事中の結論は上記の原則からの考え方です。立替で付くポイントは、税務大学校論叢第100号の論文(執筆者個人の見解)にも触れています。カードごとの規約の内容、ポイント・マイルの価額の測り方、キャッシュバック・カード請求額への充当・商品券や他社ポイントへの交換の扱い、期末に残っている未使用ポイントの扱い、出張で個人の会員口座に付くマイルの扱い、社長個人の所得区分と所得税額、源泉徴収税額の計算、税抜経理の仕訳とインボイスの保存要件、使用人兼務役員と従業員の扱い、裁決・判例、過去の期の修正の手続と加算税・延滞税は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の扱いはカードの規約と使い方によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「法人税法」(22条・34条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000034
- 国税庁 法人税基本通達 第9章第2節第2款「経済的な利益の供与」(9-2-9〜9-2-11)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_02.htm
- 国税庁「企業発行ポイントの使用に係る経理処理」https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/point.pdf
- 国税庁 タックスアンサー No.6480「事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6480.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1907「個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1907.htm
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会社の経費の支払いで貯まったポイントは、会社の取引として考えるのが出発点です。社長が私用で使えば役員給与と考えられ、継続的で毎月おおむね一定でなければ損金になりません。ポイントで払った経費は値引処理か両建処理で記帳し、消費税の扱いはレシートの表記で判断できます。代表税理士が、カードの規約と明細の確認から、記帳の統一、私用分の精算、源泉徴収の整理、社内規程づくりまで通して対応します。決算を締める前の段階でご相談ください。
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