この記事のポイント
- 借換保証は複数の保証付融資を一本にまとめる公的な制度です
- 下がるのは月々の返済額で、利息の総額は増えます
- 返済を緩めている最中でも条件変更改善型という道があります
- 公庫の借換特例の対象は公庫の融資です。他行の借入は入りません
まず結論:月々は下げられます。ただし総額は増えます
借入が何本もあると、毎月の返済日が何度も来ます。
これを1本にまとめる公的な制度があります。
信用保証協会の「借換保証」です。
全国信用保証協会連合会は、この制度の目的を次のように書いています。
複数の保証付融資の債務一本化等を促進することにより、中小企業・小規模事業者の月々の返済額の軽減等を推進し、中小企業・小規模事業者の資金繰りを円滑化することを目的に創設された保証制度です。
下がるのは「月々」であって、払う利息の合計ではありません。
期間を延ばして月々を下げる仕組みだからです。

数字で見る:3年で返すはずの2,000万円を10年にすると
効果と代償を、同じ条件で並べます。
計算例
残高2,000万円・年利2.0パーセント・元利均等返済で比べた場合
借換前 残り3年(36回) 月々 572,852円 利息の合計 622,672円 借換後 10年(120回) 月々 184,027円 利息の合計 2,083,240円 月々の軽減 388,825円 利息の増加 1,460,568円当事務所が条件をそろえて試算したものです。実際の利率は金融機関が決め、保証料は別にかかります。
月々39万円が浮く代わりに、利息が146万円増えます。
この差を「高い」と見るか「事業を続けるための費用」と見るかです。
注意
公的な資料は「月々の返済額を少なくするための制度」という説明にとどまり、総返済額が増える点までは書かれていません。借換えを検討するときは、月々の額だけでなく、返済が終わるまでに払う利息の合計を必ず並べて比べてください。
まとめられるのは、いくらまでか
限度額と期間は、制度ごとに公表されています。
東京信用保証協会の借換保証は、次のとおりです(令和8年4月1日現在)。
- 融資限度額 ― 1企業2億8,000万円、1組合4億8,000万円
- 資金使途・融資期間 ― 事業資金10年以内(据置期間1年以内を含む)
- 利率 ― 金融機関所定利率
申込みの条件として、同協会は次の2点を挙げています。
①保証申込時点において、保証付借入金の残高があること
②適切な事業計画を有していること
「事業計画があること」が正面から要件になっています。
ポイント
まとめるだけでなく、新しい資金を上乗せして借りられる場合があります。全国信用保証協会連合会は「借り換えの際に、新たな資金を上乗せして融資を受けることも可能です」としています。手元資金を厚くしたい場合は、まとめる話と一緒に相談してください。
状況によって、使う制度が変わります
「今どういう状態か」で入口が違います。
| 今の状態 | 制度 | 期間・限度額 |
|---|---|---|
| 約定どおり返している | 借換保証 | 10年以内(据置1年以内)/2億8,000万円 |
| 返済条件を緩めている | 条件変更改善型借換保証制度 | 15年以内(据置1年)/2億8,000万円 |
| 計画を作って立て直す | 協調支援型特別保証制度 | 10年以内/2億8,000万円 |
| 認定支援機関と取り組む | 経営力強化保証制度 | 借換えなら10年以内/2億8,000万円 |
いずれも東京信用保証協会および全国信用保証協会連合会の公表資料によります。
返済を緩めている最中でも、借り換えられる制度があります。
条件変更改善型は、対象者をこう定めています。
保証申込時点において、保証付き既往借入金の残高があり、その全部又は一部について返済条件の緩和を行っている。
申込みは金融機関経由に限られ、事業計画書と認定経営革新等支援機関の支援内容を記載した書面が要ります。
返済条件の変更そのものは返済が苦しいときの条件変更で扱っています。

保証料が軽くなる制度もあります
借換えでは、保証料の負担も変わります。
協調支援型特別保証制度について、東京信用保証協会は「信用保証料については、1/3相当または1/4相当を補助」としています。
経営力強化保証制度では、全国信用保証協会連合会が保証料率を次のように説明しています。
原則、申込時の信用力に対応した保証料率よりも一区分低い料率を適用。
同制度は、借換えに使う場合の期間も別に定めています。
ただし、本制度によって保証付きの既往借入金を借り換える場合は、10年以内。
代わりに、報告の約束がついてきます。
注意
経営力強化保証制度には、次の定めがあります。「特別な理由なく金融機関に対する四半期毎の報告を怠った場合、通常の保証料率が適用され、差額保証料を追加でお支払いただく場合があります」。安い料率は、報告を続けることとセットです。
保証料そのものの計算は信用保証協会の保証付融資をご覧ください。
公庫の借換えは「公庫の融資」が対象です
ここを取り違える方が少なくありません。
日本政策金融公庫の公庫融資借換特例制度は、こう書かれています。
既往公庫融資の借換などを行う制度です。
他の金融機関からの借入をまとめる制度ではありません。
同制度には、次の但し書きもあります。
原則として、既往の公庫融資の借換のほか、新規融資をご利用いただく必要があります。
既往の融資については一部借換の対象にできないものもあります。
借換部分の融資金額は、借換対象口ごとに10万円未満の端数を切り捨てた金額になります。
また、この特例を使うには、経営環境変化対応資金などの特定の貸付制度を利用することが前提です。

断られる・後悔する典型は、この5つです
相談の場で止まるのは、だいたい同じ理由です。
- 事業計画がない ― 「適切な事業計画を有していること」が公表された要件です
- そもそも対象外の保証がある ― 連合会は「借り換えできる保証制度とそうでないものがあります」としています
- 公庫の制度で他行の借入をまとめようとする ― 対象は既往の公庫融資です
- 月々しか見ていない ― 期間を延ばせば利息の合計は増えます
- 報告が続かない ― 料率の優遇は、期中の報告とセットの制度があります
いちばん多いのは、計画の数字が用意できていないことです。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身で確認できるのは、次の4点です。
- 借入ごとに、残高・毎月の返済額・完済予定日・保証付かどうかを一覧にする
- 毎月の返済額の合計が、直近の月次利益に対していくらかを出す
- 取引金融機関に「借換保証が使えるか」を聞く(申込みが金融機関経由の制度があります)
- 返済条件を緩めている借入があるかどうかを確認する
ここから先は個別判断です。
どの制度を使うか、期間を何年にするか、上乗せ資金をいくら乗せるかは、決算書と資金繰りを見て決めます。
保証の可否と条件は、最終的に信用保証協会と金融機関の判断です。
税理士が入ると変わるのは、計画の数字と月次の報告です
ひとつめは、借入一覧の作成です。残高・返済額・完済日・保証の有無を1枚に並べます。
ふたつめは、返済原資の計算です。税引後利益に減価償却費を足し、年間返済額と比べます。
みっつめは、事業計画の数値です。売上と利益の見込みに、根拠となる数字をつけます。
よっつめは、月次試算表の整備です。四半期ごとの報告を求める制度に耐える形にします。
いつつめは、借換え後の資金繰り表です。浮いた分をどこに使うかまで決めます。
借換えは、申し込む前の1枚で結果が変わります。
小松公認会計士・税理士事務所では、月次決算から計画づくり、金融機関への説明まで続けて担当します。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 複数の借入を一本にまとめると、返済は楽になりますか?
月々の返済額は下がります。全国信用保証協会連合会は借換保証を「複数の借入口をまとめることで、月々の返済負担を減らすことができます」と説明しています。ただし期間を延ばすことで下げる仕組みのため、完済までに払う利息の合計は増えます。月々の額と利息の合計の両方を並べて判断してください。
Q2. 今リスケ中ですが、借換えはできますか?
専用の制度があります。条件変更改善型借換保証制度は、対象者を「保証付き既往借入金の残高があり、その全部又は一部について返済条件の緩和を行っている」中小企業者としています。申込みは金融機関経由に限られ、事業計画書と認定経営革新等支援機関の支援内容を記載した書面が必要です。保証期間は15年以内(据置期間1年を含む)とされています。
Q3. 日本政策金融公庫で、銀行の借入をまとめられますか?
公庫融資借換特例制度の対象は「既往公庫融資の借換など」です。他の金融機関からの借入をまとめる制度ではありません。また同制度は「原則として、既往の公庫融資の借換のほか、新規融資をご利用いただく必要があります」とされ、経営環境変化対応資金などの特定の貸付制度を利用することが前提になります。
Q4. 借換えで保証料は安くなりますか?
制度によります。経営力強化保証制度は「原則、申込時の信用力に対応した保証料率よりも一区分低い料率を適用」とされ、協調支援型特別保証制度では信用保証料の1/3相当または1/4相当が補助されます。ただし経営力強化保証には、四半期ごとの報告を怠った場合に差額保証料の支払いを求められる定めがあります。
免責事項
本記事は令和8年9月時点で公表されている資料に基づく一般的な解説です。全国信用保証協会連合会「さまざまな保証制度」「資金繰りの改善をお考えの方」「経営力強化保証制度のご案内」、東京信用保証協会「保証制度一覧(協会制度・令和8年4月1日現在)」「条件変更改善型借換保証制度」、日本政策金融公庫「公庫融資借換特例制度」の内容を扱っています。信用保証制度の名称・限度額・保証期間・保証料率・保証料の補助割合・取扱期間は信用保証協会ごとに異なり、本記事に記載した限度額・期間・補助割合は東京信用保証協会および全国信用保証協会連合会が公表しているものです。必ずお住まいの地域の信用保証協会および取引金融機関にご確認ください。記事中の計算例は、条件をそろえて比較するために当事務所が試算したもので、実際の利率は金融機関が決定し、信用保証料は別途かかります。特定の制度が利用できること、借換えにより返済負担が軽くなることを保証するものではありません。日本政策金融公庫の中小企業事業の取扱い、他の金融機関のプロパー融資を含めた一本化の可否、個別の保証制度が借換えの対象となるかどうかは扱っていません。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 全国信用保証協会連合会「さまざまな保証制度」https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/hoshoseido/
- 全国信用保証協会連合会「資金繰りの改善をお考えの方」https://www.zenshinhoren.or.jp/model-case/shikinguri/
- 全国信用保証協会連合会「経営力強化保証制度のご案内」https://www.zenshinhoren.or.jp/document/news/keieiryokukyoka.pdf
- 東京信用保証協会「保証制度一覧」https://www.cgc-tokyo.or.jp/institution/list.html
- 東京信用保証協会「条件変更改善型借換保証制度」https://www.cgc-tokyo.or.jp/institution/needs.files/cgc_jouhenkaizenkarikae_2023-4.pdf
- 日本政策金融公庫「公庫融資借換特例制度」https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/58.html
借換えは、借入一覧と計画の数字をそろえてから動きましょう
借換保証は「適切な事業計画を有していること」が公表された要件です。制度の選び方、期間の決め方、上乗せ資金の額は、決算書と資金繰りを見て初めて決まります。代表税理士が、借入一覧の作成、返済原資の計算、事業計画の数値の裏づけ、四半期報告に耐える月次試算表の整備、借換え後の資金繰り表の作成まで、通して対応します。月々の返済額と利息の合計を並べたうえで、借り換えるべきかどうかからご一緒に判断します。
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