この記事のポイント
- 相談先は金融機関だけではありません。全都道府県に公的機関があります
- 中小企業活性化協議会の相談は無料で、秘密は厳守されます
- 収益力改善計画の策定費用は原則無料。405事業は費用の3分の2を負担
- 延滞してからでは選択肢が狭まります。動くのは苦しくなる前です
まず結論:延滞する前に、金融機関と公的機関の両方へ相談します
返済が苦しいと感じたら、延滞する前に相談することが最優先です。
相談先は取引金融機関だけではありません。
中小企業活性化協議会は、すべての都道府県に設置された公的機関です。
全国各地の商工会議所等が運営していると中小企業庁は説明しています。
相談は無料で、相談内容も相談申込みも秘密は厳守されるとされています。
弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士・金融機関OB等の専門家が常駐しています。

中小企業活性化協議会の5つの支援
支援は、収益力改善・再生・再チャレンジの3つのフェーズに分かれています。
| フェーズ | 支援の名称 | 内容 |
|---|---|---|
| 収益力改善 | 収益力改善支援 | 収益力低下・借入増加のおそれのある企業に、1年から3年の収益力改善計画の作成を支援。策定費用は原則無料 |
| 早期経営改善計画策定支援 | 認定専門家の支援で計画を策定する場合に、専門家への支払費用の3分の2を補助 | |
| 再生 | プレ再生支援・再生支援 | 収益性はあるが財務上の問題がある企業に、事業面・財務面の改善を支援。協議会が債権者間の合意形成をサポート |
| 経営改善計画策定支援(405事業) | 金融支援を伴う本格的な計画を策定する場合に、専門家への支払費用の3分の2を協議会が負担 | |
| 再チャレンジ | 再チャレンジ支援 | 改善や再生が極めて困難な企業、保証債務に悩む経営者等を対象とした支援 |
前身は中小企業再生支援協議会で、令和4年3月の中小企業活性化パッケージにより現在の形になりました。
経営改善支援センターと統合され、幅広い段階を一つの窓口で扱います。
どのフェーズに乗るかは、資金繰りの切迫度と債務の状況で決まります。
返済負担が重いだけなら、まず収益力改善支援の枠組みで足ります。
金融機関から返済猶予や債務減免を受けなければ立て直せない状態なら、再生支援です。
再生支援では、協議会が債権者の間に立って計画案の合意形成をサポートします。
計画が成立した後も、定期的なモニタリングが行われます。
費用 ― 計画づくりの専門家報酬は3分の2が補助されます
405事業では、認定経営革新等支援機関である専門家の報酬が補助対象です。
補助率は3分の2で、支援枠ごとに上限額が定められています。
| 支援枠 | 補助対象経費 | 補助率と上限 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 調査分析・計画策定支援費用 | 3分の2(上限200万円) |
| 伴走支援費用(モニタリング費用) | 3分の2(上限100万円) | |
| 金融機関交渉費用 | 3分の2(上限10万円) | |
| 中小版GL枠 | 調査分析(DD)費用等 | 3分の2(上限300万円) |
| 計画策定支援費用 | 3分の2(上限300万円) | |
| 伴走支援費用 | 3分の2(上限100万円) |
金融機関交渉費用が補助対象になるのは、経営者保証の解除を目指す計画を作る場合です。
中小版GLとは、全国銀行協会が公表する中小企業の事業再生等に関するガイドラインを指します。
補足
収益力改善支援のほうは、収益力改善計画の策定にかかる費用が原則無料とされています。リスケジュール等の金融支援を伴う場合には、1年間の収益力改善計画を作成することになります。

再生支援で求められる計画の数値基準
再生支援では、原則として次の基準を満たす再生計画の作成を支援するとされています。
- 実質的に債務超過なら、計画成立後最初に到来する事業年度開始の日から5年以内を目処に解消する
- 経常利益が赤字なら、同じ起算日から概ね3年以内を目処に黒字へ転換する
- 計画の終了年度における有利子負債の対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下となる
小規模な事業者には別の基準が置かれています。
計画成立後2事業年度目から、3事業年度継続して営業キャッシュフローがプラスになることです。
ここでいう小規模な事業者には、売上1億円未満かつ有利子負債1億円未満の事業者も含まれます。
基準を満たせない場合でも、将来の本格的な計画を目指すプレ再生計画の作成を支援するとされています。
ポイント
プレ再生支援では、滞納公租公課の解消等を目的として、3事業年度を限度とする暫定的なリスケジュール計画の策定も支援するとされています。「まず時間を作る」ための枠組みが制度として用意されています。
経営者保証をどうするかも、同じ場面で決まります
返済条件の見直しは、経営者保証の扱いとセットで問題になります。
405事業では、金融機関交渉費用が補助対象になる条件が示されています。
経営者保証の解除を目指した計画を作り、金融機関交渉を実施する場合です。
つまり、条件変更の局面は保証の見直しを持ち出せる局面でもあります。
中小企業活性化協議会には、保証債務の整理に関する手順も用意されています。
実施基本要領の別冊4が、経営者保証に関するガイドラインに基づく整理手順を定めています。
再チャレンジ支援は、改善や再生が極めて困難な企業と、保証債務に悩む経営者等が対象です。
経営者保証の免除要件は融資を受けるための決算書の見え方で扱っています。
手遅れになる典型は、この5つです
実務で選択肢が狭まるのは、次のような場合です。
- 延滞してから相談する ― 信用情報に記録が残り、その後の調達が難しくなる
- 資金繰り表がない ― いつ足りなくなるかを示せず、交渉の土台がない
- 一部の金融機関にだけ相談する ― 取引行の足並みがそろわず合意に至らない
- 税金・社会保険料を滞納したまま放置する ― 差押えのリスクが計画を壊す
- 役員報酬を据え置く ― 会社の痛みが数字に表れず、計画の実現可能性を疑われる
民事再生や破産を申し立て済みの企業は、協議会の支援対象になりません。
ただし、そのような企業の保証人が保証債務の整理について相談することは可能とされています。
注意
返済が止まった状態が続くと、金融機関から債務免除を受ける局面もありえます。債務免除を受けた金額は、原則としてその期の益金になります。繰越欠損金で吸収できるかは事前の試算が要ります。欠損金の繰越控除もあわせてご覧ください。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身で進められるのは、次の4点です。
- 本社・事業所のある都道府県の中小企業活性化協議会の連絡先を調べる
- 窓口相談は事前予約が必要なため、まず予約を取る
- 直近の試算表と、借入金の一覧(残高・毎月返済額・金利・担保)をそろえる
- 向こう6か月から12か月の入出金を書き出す
ここから先は個別判断です。
どの支援フェーズに乗せるか、どの金融機関から話すかで進み方が変わります。
元金の一部返済にするか全額据置にするかも、資金繰りの見通し次第です。
条件変更に応じるかどうかは、最終的に各金融機関が判断します。
税理士が入ると変わるのは、計画の数字の裏づけです
ひとつめは、月次の資金繰り表です。いつ、いくら足りないかを月ごとに示します。
ふたつめは、試算表の早期化です。決算から時間がたった数字では交渉できません。
みっつめは、返済原資の試算です。条件変更後にいくら返せるかを数字で出します。
よっつめは、計画の実現可能性の説明です。売上と経費の前提を根拠づけます。
いつつめは、税金・社会保険料の納付計画です。滞納があれば並行して整理します。
405事業の計画策定を担うのは、国が認定した認定経営革新等支援機関です。
小松公認会計士・税理士事務所は認定経営革新等支援機関に登録しています。
提出する決算書の見え方は融資を受けるための決算書の見え方で扱っています。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
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初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 条件変更をお願いすると、その後は二度と借りられなくなりますか?
公表資料にそのような記載はありません。中小企業活性化協議会は、収益力改善から再生・再チャレンジまでを段階的に支援する枠組みを示しています。重要なのは、延滞する前に相談し、実現可能な計画を金融機関と共有することです。今後の調達の可否は個別の判断になります。
Q2. 中小企業活性化協議会への相談は有料ですか?
中小企業庁は「相談は無料です」と示しています。相談内容はもちろん、相談申込みについても秘密は厳守しますとされています。相談には事前予約が必要で、本社・事業所等のある都道府県の協議会が窓口です。
Q3. 収益力改善計画をつくる費用もかかりますか?
中小企業庁は「収益力改善計画策定にかかる費用は原則無料です」と示しています。計画は1年間から3年間のもので、リスケジュール等の金融支援が伴う場合には1年間の計画を作成します。405事業のほうは専門家報酬の3分の2が補助されます。
Q4. すでに破産の申立てをしています。相談できますか?
中小企業庁は「民事再生・破産等を申し立て済みの企業は対象になりません」と示しています。ただし、そのような企業の保証人が、保証債務の整理について相談することは可能とされています。
免責事項
本記事は令和8年9月時点の公表資料に基づく一般的な解説です。中小企業庁「中小企業活性化協議会(収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援)」「収益力改善支援」「プレ再生支援・再生支援」「経営改善計画策定支援」の内容を扱っています。各金融機関の審査基準、条件変更に応じる条件、信用情報機関への登録の取扱い、金利や返済条件の個別の水準、協議会ごとの運用、中小企業の事業再生等に関するガイドラインの手続の詳細、債務免除を受けた場合の具体的な税額計算、第二会社方式や私的整理の手続は扱っていません。補助の上限額・補助率は本記事執筆時点の公表内容であり、年度により変更されることがあります。支援を受けられるかどうか、条件変更に応じてもらえるかどうかは個別の判断によるものであり、本記事はその結果を示すものではありません。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 中小企業庁「中小企業活性化協議会(収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援)」https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/index.html
- 中小企業庁「収益力改善支援」https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/01.html
- 中小企業庁「プレ再生支援・再生支援」https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/02.html
- 中小企業庁「経営改善計画策定支援」https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/05.html
返済が苦しいと感じた時点が、いちばん選択肢の多いタイミングです
条件変更の交渉は、資金繰り表と試算表がそろって初めて土台ができます。どの金融機関から話すか、元金をいくら返しながら進めるか、税金や社会保険料の納付をどう並行させるかは、会社ごとに答えが変わります。債務免除を受ける局面まで進むと、その金額が益金になるかどうかという税務の論点も生じます。代表税理士が月次の資金繰り表と試算表の早期化から伺い、計画数値の裏づけ、金融機関に出す資料の整え方、その後の記帳・申告まで通して対応します。
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