この記事のポイント
- 法人税では、帳簿と書類を申告期限の翌日から7年間保存します
- 欠損金の繰越控除を受けるなら、赤字の年の帳簿書類は10年間です
- 消費税は帳簿と請求書等がないと、原則として仕入税額控除ができません
- 会社法にも、会計帳簿などを10年間保存する定めが別にあります
まず結論:法人税では原則7年、欠損金が出た年は10年の保存です
帳簿や領収書を何年残すかは、法人税・消費税・会社法の定めで確かめます。
法人税では、帳簿と書類を申告期限の翌日から7年間保存します(タックスアンサー No.5930)。
青色申告の年に欠損金(税務上の赤字)が出た事業年度は、10年間です(同)。
会社法にも、会計帳簿などを10年間保存する定めが別にあります。
捨ててよいかは、3つの保存期間を重ねて判断します。

7年の数え始めは、事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日です
起算日(数え始めの日)は、法人税法施行規則59条2項が定めています。
帳簿も書類も、事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日です。
国税庁は、これを「確定申告書の提出期限の翌日から7年間」と説明しています。
法人税の申告期限の延長を受けている会社は、延長した月数を2か月に足します(同項1号)。
計算例
例:3月決算の会社の令和9年3月期(令和8年4月1日〜令和9年3月31日)
起算日 令和9年3月31日の翌日から2か月を経過した日 = 令和9年6月1日 7年間の満了 令和16年5月31日まで 欠損金が出た年(10年間) 令和19年5月31日まで 法人税の申告期限を1か月延長した場合 起算日 令和9年7月1日 → 7年間は令和16年6月30日まで日付は、国税通則法10条1項の数え方によっています。
決算期ごとに満了日が違うため、箱やフォルダに期限を書いておきます。
10年になるのは、繰越控除を受ける欠損金が生じた年の帳簿書類です
欠損金の繰越控除(赤字を翌期以後の黒字と相殺するしくみ)には、保存の条件があります。
欠損金額の生じた事業年度に係る帳簿書類を財務省令で定めるところにより保存している場合に限り、適用する。
(法人税法57条10項)
その保存期間は、起算日から10年間です(法人税法施行規則26条の3第1項)。
平成30年4月1日前に開始した事業年度は、9年間です(タックスアンサー No.5930)。
青色申告でない年でも、災害損失金額が生じた年は10年間です(同)。
赤字の年の帳簿を7年で捨てると、残った欠損金の繰越控除の条件を満たせません。
繰越控除のしくみは、欠損金の繰越控除の記事にまとめています。
保存するのは「帳簿」「決算の書類」「取引の書類」の3種類です
青色申告の法人が残すものは、法人税法施行規則59条1項の3種類です。
| 種類 | 主なもの |
|---|---|
| 帳簿 | 仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳・売掛金元帳・固定資産台帳など |
| 決算の書類 | 棚卸表・貸借対照表・損益計算書と、決算に関して作った書類 |
| 取引の書類 | 注文書・契約書・送り状・領収書・見積書など |
自社が作った書類は、控えがあれば控えを残します(同項3号)。
青色申告でない法人も、同じ起算日から7年間の保存です(同規則67条2項)。
補足
令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、定めが加わりました。関連者(50%以上の資本関係がある会社など)から受ける技術の使用や経営指導などが対象です。会社の費用になる取引に限ります。契約書などに対価の算定に必要な事項がないときは、それを明らかにする書類が要ります。申告期限までに用意し、7年間(欠損金の年は10年間)保存します(同規則59条の2)。

消費税は、帳簿と請求書等の両方が仕入税額控除の条件です
仕入税額控除は、売上の消費税から仕入れの消費税を差し引くしくみです。
帳簿と請求書等の保存がない仕入れは、原則として控除が認められません(消費税法30条7項)。
災害その他やむを得ない事情で保存できなかったと証明した場合は除かれます(同項ただし書)。
保存期間は、課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間です(同法施行令50条1項)。
消費税の申告期限を延長している法人は、起算日が後ろにずれます(同令63条の2第2項)。
6年目と7年目は、帳簿か請求書等の一方でよいとされています(タックスアンサー No.6496)。
注意
6年目以降の緩和は、消費税だけの定めです。法人税では、帳簿と取引の書類を7年間(繰越控除を受ける欠損金の年は10年間)残す義務が別にあります。
請求書等を捨てると、原則としてその仕入れの消費税を差し引けなくなります。
電子データやスキャンで残す場合も、保存期間は紙と同じです
領収書などの内容をメールやネットでやり取りする取引を、電子取引といいます(電子帳簿保存法2条5号)。
法人税では、電子取引のデータの保存が義務です(同法7条)。
保存の期間は、紙でやり取りしたとした場合と同じです。
当該書面を保存すべきこととなる場所に、当該書面を保存すべきこととなる期間
(電子帳簿保存法施行規則4条1項)
紙をスキャンして残すスキャナ保存も、要件どおりなら紙の保存に代えられます(電子帳簿保存法4条3項)。
ただし、棚卸表・貸借対照表・損益計算書など決算の書類は対象外です(同法施行規則2条4項)。
データを要件どおり残さないことも、青色申告の取消し事由に当たり得ます(電子帳簿保存法8条3項3号)。
保存の要件は、電子取引データの保存要件の記事をご覧ください。

期間内に捨てると、青色申告・仕入税額控除・欠損金に響きます
期間内に捨てると、次の3つに影響が出るおそれがあります。
- 青色申告の承認 ― 保存が法令の定めどおりでない事業年度は、取消しの対象になり得ます。
- 仕入税額控除 ― 帳簿や請求書等がない仕入れは、原則として控除できません。
- 欠損金の繰越控除 ― 赤字の年の帳簿書類がないと、条件を満たせません。
取消し事由の1つめは、次のとおりです。
その事業年度に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が前条第一項に規定する財務省令で定めるところに従つて行われていないこと
(法人税法127条1項1号)
税務署長は、その事業年度まで遡って承認を取り消すことができます(同項)。
注意
たとえば、7年たった箱をまとめて捨てたら、赤字の年の帳簿が入っていた場合です。メールで届いた領収書のデータを印刷し、元のデータを消した場合も同じです。
捨てた書類は取り戻せないため、廃棄の前に期限を確かめます。
会社法では、会計帳簿などを10年間保存します
会社法の10年は、税法の7年とは別にかかります。
株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
(会社法432条2項)
貸借対照表などの計算書類と附属明細書も、作成した時から10年間です(同法435条4項)。
合同会社などの持分会社にも、同じ10年の定めがあります(同法615条2項・617条4項)。
数え始めも「閉鎖の時」「作成した時」で、税法の起算日とは違います。
ポイント
法人税の7年が過ぎても、会社法では会計帳簿の保存期間が残っています。捨てる前に、会社法の10年も確かめます。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身で整えられるのは、次の4点です。
- 事業年度ごとに箱やフォルダを分け、起算日と満了日を書く
- 申告書の控えで、欠損金が出た年と繰り越している年を確かめる
- メールやネットで受け取った書類は、データのまま年度ごとに残す
- 捨てる前に、会社法の10年が残っていないかを確かめる
どの年の書類を10年残すかは、欠損金が生じた年と繰越控除の適用で決まる個別判断です。
関連者との取引の書類やスキャナ保存の要件も、事実によって判断が分かれます。

税理士が入ると変わるのは、保存期限の一覧と捨てる前の確認です
小松公認会計士・税理士事務所では、決算と申告にあわせて次の作業を行います。
ひとつめは、法人税・消費税・会社法の保存期限を、事業年度ごとに一覧にすることです。
ふたつめは、欠損金の繰越残高の確認です。10年の保存が要る年を申告書から特定します。
みっつめは、電子取引データとスキャナ保存の運用の点検です。
よっつめは、令和8年4月1日以後に開始する事業年度の、関連者との取引の書類の確認です。
いつつめは、廃棄前の確認です。捨ててよい箱と残す箱を、申告書と照らして分けます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
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よくある質問(FAQ)
Q1. 7年を過ぎた帳簿は、すぐに捨ててもよいですか?
法人税の保存期間は原則7年です。ただし、繰越控除を受ける欠損金が生じた年の帳簿書類は10年間です(法人税法施行規則26条の3)。会社法にも、会計帳簿を閉鎖の時から10年間保存する定めがあります(会社法432条2項)。捨てる前に両方を確かめてください。
Q2. 7年は、いつから数えるのですか?
事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日が起算日です(法人税法施行規則59条2項)。国税庁は「確定申告書の提出期限の翌日から7年間」と説明しています。法人税の申告期限の延長を受けている会社は、延長した月数だけ起算日が後ろにずれます。
Q3. メールで受け取った領収書のデータは、印刷して保存すれば足りますか?
法人税では、電子取引のデータを保存する義務があります(電子帳簿保存法7条)。保存の期間は、紙で受け取ったとした場合と同じです(同法施行規則4条1項)。印刷して元のデータを消すと、データを保存したことになりません。保存の方法を先に決めておく必要があります。
Q4. 期間内に帳簿を捨ててしまうと、どうなりますか?
青色申告の承認の取消しの対象になり得ます(法人税法127条1項1号)。消費税では、帳簿や請求書等がない仕入れは、原則として仕入税額控除ができません(消費税法30条7項)。赤字の年の帳簿書類がないと、欠損金の繰越控除の条件も満たせません。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。法人税法57条1項・10項・126条1項・127条1項・150条の2第1項、法人税法施行規則26条の3・54条・59条・59条の2・66条・67条、令和8年財務省令第18号附則8条、消費税法30条7項、消費税法施行令50条1項・63条の2第2項、消費税法施行規則15条の6、電子帳簿保存法2条5号・4条3項・7条・8条3項、同法施行規則2条4項・4条1項、会社法432条2項・435条4項・615条2項・617条4項、国税通則法10条1項、タックスアンサーNo.5930「帳簿書類等の保存期間」・No.6496「仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」・No.6625「適格請求書等の記載事項」の内容を扱っています。帳簿の記載事項と記帳の方法、法人税法施行規則59条3項によるマイクロフィルム等での保存の方法、スキャナ保存と電子取引データの保存要件の細目、電子取引の猶予措置、優良な電子帳簿による過少申告加算税の軽減、電子帳簿保存法8条5項の重加算税の加重と令和9年1月1日施行の見直し、消費税法施行令71条の帳簿の保存期間の起算日の見直し(令和10年4月1日施行)、適格請求書の記載事項、帳簿だけの保存で仕入税額控除が認められる取引、簡易課税と2割特例、関連者の判定と特定事項記載書類に記載する事項の細目、欠損金の繰越控除の控除限度額と青色申告の承認の要件、青色申告の承認の取消しの運用、会社法上の「事業に関する重要な資料」の範囲と罰則、源泉所得税・印紙税・地方税の書類の保存、個人事業主の帳簿の保存は扱っていません。記事中の日付の例は一定の前提を置いた目安です。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.5930「帳簿書類等の保存期間」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.6496「仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6496.htm
- e-Gov法令検索「法人税法」(57条・127条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000034
- e-Gov法令検索「法人税法施行規則」(26条の3・59条・59条の2・67条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040012
- e-Gov法令検索「会社法」(432条・435条・615条・617条)https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086
帳簿書類を捨てる前に、保存期限を決算期ごとに確かめませんか
会社の帳簿と取引の書類は、法人税では申告期限の翌日から原則7年間の保存です。繰越控除を受ける欠損金が生じた年は10年間で、会社法にも会計帳簿などの10年の定めがあります。消費税では、帳簿と請求書等がないと原則として仕入税額控除ができません。代表税理士が、決算期ごとの保存期限の一覧と、欠損金の年の特定を行います。電子データの保存方法の点検と、廃棄前の確認まで通して対応します。書類を処分する前の段階でご相談ください。
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