確定申告

副業でも開業届を出すべき?
出す場合・出さない場合で変わること

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

YouTubeチャンネルを見る →

この記事のポイント

  • 所得の区分は届出でなく活動の実態で決まり、開業届を出しても雑所得のことがあります
  • 事業の程度の副業を始めたら、開業届はその年分の確定申告期限までに出します
  • 令和9年分から青色にするなら、申請は原則令和9年3月15日までです
  • 令和9年分からの65万円控除は複式簿記と期限内のe-Taxが要件で、書面申告は上限10万円です

まず結論:開業届より先に、副業が「事業」に当たるかを確かめます

副業が事業所得か雑所得かは、活動の実態で判定します(所得税基本通達35-2)。

開業届は、事業所得などを生む事業を始めた人が出す届出書です(所得税法229条)。

届出は、事業に当たるかの答えに続く手続きです。

先に副業が事業に当たるかを確かめ、その答えに合わせて開業届と青色申告を決めます。

開業届より先に、副業が事業に当たるかを確かめます
開業届より先に、副業が事業に当たるかを確かめます

開業届・青色申告の申請・所得の区分は、別々の問題です

開業届の迷いは、次の3つを分けると整理できます。

問題決め手期限など
事業所得か雑所得か活動が事業と称する程度か(通達35-2)届出では決まりません
開業届事業所得などを生む事業を始めたか(所得税法229条)始めた年分の確定申告期限まで
青色申告の承認申請青色申告の特典を受けたいか(同法144条)原則、青色にしたい年の3月15日まで

開業届の条文は、届け出る人を次のように定めています。

居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し

(所得税法229条)

提出期限は、令和8年1月1日施行の改正で、1か月以内からその年分の確定申告期限までに変わりました。新しい期限は、令和8年1月1日以後に事業を始めた場合に適用されます。

青色申告は、事業所得などがある人が選べる制度です。

青色申告をすることができる方は、不動産所得、事業所得、山林所得のある方です。

(タックスアンサーNo.2070)

開業時に出すほかの届出書は、開業時の届出の記事にまとめています。

事業所得かどうかは「社会通念上事業と称するに至る程度」かで決まります

事業所得かどうかは、活動の程度を社会通念で判定します。通達の物差しは次のとおりです。

事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。

(所得税基本通達35-2(注))

国税庁の解説は、判決が示した次の点を総合して判定するとしています。

  • もうけを目指しているか(営利性・有償性)
  • 継続して繰り返しているか(継続性・反復性)
  • 自分の計算と危険で企画して進めているか
  • かける労力、人や設備の有無、取引の目的
  • 本人の職歴・社会的地位・生活の状況

国税庁の解説が挙げる判定の要素に、開業届の提出は入っていません。

解説は、取引を記録した帳簿を保存していれば、事業所得に区分される場合が多いとしています。

ただし帳簿があっても、収入が僅少(ごくわずか)な場合や営利性が認められない場合は、個別に判断します。

計算例

例1:主たる収入が給与600万円、副業の収入が例年50万円の場合

500,000円 ÷ 6,000,000円 = 約8.3%(10%未満) 例年300万円以下で主たる収入の10%未満(解説が挙げる僅少の例)に当たります

帳簿を保存していても、事業と認められるかは個別の判断になります。

金額は一定の前提を置いた目安です。

収入300万円以下の副業は、帳簿の保存がないと雑所得などとされます(通達35-2(注))。

判定の要素と裁判例は、事業所得と雑所得の記事で解説しています。

事業所得かどうかは、活動が事業と称する程度かで判定します
事業所得かどうかは、活動が事業と称する程度かで判定します

届出の有無と活動の実態を、4つの組み合わせで整理します

税金の扱いを分けるのは、活動の実態と青色申告の承認です。

活動の実態開業届・青色の申請を出した出していない
事業と称する程度事業所得。承認を受けた年分は青色申告の特典の対象事業所得(白色)。開業届は出すべき届出です
事業の程度に至らない業務に係る雑所得。青色申告の特典の対象外業務に係る雑所得

開業届を出していなくても、活動が事業の程度なら事業所得です。

事業所得と雑所得では、赤字の扱いが違います。

事業所得の赤字は、給与など他の所得から差し引けます(所得税法69条1項、損益通算)。

雑所得の赤字は、他の所得から差し引けません(タックスアンサーNo.2250)。

雑所得と判定される副業なら、開業届を出していても赤字は給与と相殺できません。

事業所得になると、白色でも帳簿をつけて保存する義務があります(所得税法232条1項)。

そもそも申告が必要かは、副業の20万円の記事で確かめられます。

判断を誤ると、税金と手続きで二度手間になります

判断を誤ると、税金の追加や特典の取り逃しが起きます。具体的には次のとおりです。

  • 開業届を根拠に、副業の赤字を給与と相殺した ― 雑所得と判定されると、所得税を追加で納めます。
  • 事業の実態があるのに、青色の申請をしなかった ― 承認のない年分は、青色申告の特典を使えません。
  • 帳簿を残さず、事業所得として申告した ― 収入300万円以下なら、雑所得などとされます。
  • 令和9年分も、書面申告で55万円の控除を見込んだ ― 書面申告の上限は10万円になります。

注意

区分の誤りで税金が増えると、延滞税や過少申告加算税がかかることがあります。根拠は国税通則法60条・65条です。

令和9年分から青色にするなら、令和9年3月15日が申請の期限です

令和9年分から青色にするなら、承認申請は原則として令和9年3月15日までです。

条文は、申請の期限を次のように定めています。

その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)

(所得税法144条)

令和8年分の原則の期限は、すでに過ぎています。

青色申告の帳簿には、その年の1月からの取引を記録します(同法148条1項、No.2070)。年内に決めれば、1月の最初の取引から記録できます。

ポイント

令和9年分からの65万円の控除は、正規の簿記(複式簿記)での記帳が前提です。そのうえで、確定申告書と青色申告決算書を期限内にe-Taxで送ることが要件です。書面申告の控除の上限は10万円です。優良な電子帳簿の保存なども満たすと、最高75万円です(国税庁の案内、租税特別措置法25条の2)。

計算例

例2:令和9年分の副業の事業所得が控除前で100万円、税率20%の区分の場合(減る所得税)

65万円の控除(要件を満たす場合) 650,000円 × 20% = 130,000円 10万円の控除(書面申告など) 100,000円 × 20% = 20,000円 差額 130,000円 - 20,000円 = 110,000円

例3:控除前の事業所得が40万円の場合

控除できるのは所得の金額の400,000円までで、65万円の満額は使えません

税率の区分は変わらない前提です。復興特別所得税などと住民税は含めていません。

金額は一定の前提を置いた目安です。

青色にするかは、控除の効果と帳簿の手間を比べて、年明けまでに決めます。

青色申告の帳簿には、その年の1月からの取引を記録します
青色申告の帳簿には、その年の1月からの取引を記録します

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

開業届を出す前に、ご自身で確かめられるのは次の4つです。

  1. 副業の1月からの収入と経費を、月ごとに書き出す
  2. 主たる収入に対する、副業の収入の割合を出す
  3. 取引の記録と、請求書・領収書が残っているかを確かめる
  4. 来年も続けるか、収入を増やす取組をしているかを書き出す

ここから先は、事実を総合して決める判断です。

  • 副業が、事業と称する程度に至っているか
  • 雑所得として続けてきた副業を、いつから事業とみるか
  • 青色にした場合の控除の効果と、帳簿の手間の比較

事業に当たるかは、金額だけでは決まらない個別判断です。

事業に当たるかの見立ては、事実を総合して決める個別判断です
事業に当たるかの見立ては、事実を総合して決める個別判断です

税理士に頼むと変わるのは、区分の見立てと期限の管理です

税理士が入ると、所得の区分の見立てと、届出・申請の期限の管理を任せられます。

小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。

  • 副業の収入・経費・続け方の資料をもとにした、事業所得か雑所得かの見立て
  • 開業届と青色申告承認申請の要否の判断と、書類の作成・提出
  • 青色にした場合と、しない場合の税額の比較試算
  • 1月からの帳簿の付け方と、e-Taxでの申告に向けた準備のご案内
  • 確定申告書・青色申告決算書の作成と、期限内のe-Taxでの提出
  • 判断の根拠にした資料の整理と、申告書の控えの保管

全国どこからでも、オンラインで完結します。料金は、所得の種類・取引の量・記帳の状態で決まり、60秒見積りでその場で分かります。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

小松公認会計士・税理士事務所 代表

小松 優馬公認会計士・税理士

  • お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
  • 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
  • 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます

YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる

初回相談は無料です。

あわせて読みたい

よくある質問(FAQ)

Q1. 副業でも、開業届を出す必要はありますか?

開業届は、事業所得などを生む事業を始めた人が出す届出書です(所得税法229条)。副業でも、活動が事業と称する程度なら、始めた年分の確定申告期限までに出します。事業の程度に至らない副業は、不動産の貸付けなどを除き、業務に係る雑所得です。

Q2. 開業届を出せば、副業の赤字を給与と相殺できますか?

相殺できるかは、所得の区分で決まります。事業所得の赤字は、給与などと損益通算できます(所得税法69条1項)。雑所得の赤字はできません(No.2250)。区分は活動の実態で判定するため、開業届を出しただけでは相殺できるようになりません。

Q3. 副業の収入がいくらなら、事業所得になりますか?

金額だけでは決まりません。収入300万円以下で帳簿の保存がなければ、雑所得などとされます(通達35-2)。帳簿があっても、例年300万円以下で主たる収入の10%未満なら、僅少とされる例です。事業かどうかは個別に判断します(国税庁の解説)。

Q4. 令和9年分から青色申告にするには、いつまでに何をしますか?

青色申告承認申請書を、原則として令和9年3月15日までに出します。その年の1月16日以後に新たに事業を始めた場合は、始めた日から2か月以内です(所得税法144条)。65万円の控除は、複式簿記での記帳と期限内のe-Taxでの申告が要件です。

免責事項

本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法27条1項・35条1項・69条1項・143条・144条・148条1項・229条・232条1項、租税特別措置法25条の2(令和9年1月1日施行の改正後の規定を含む)、国税通則法60条1項・65条1項、所得税基本通達35-2、国税庁「雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説」、タックスアンサーNo.1500「雑所得」・No.2070「青色申告制度」・No.2072「青色申告特別控除」・No.2090「新たに事業を始めたときの届出など」・No.2250「損益通算」・No.2260「所得税の税率」、手続案内「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」・「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」、国税庁の令和9年分以後の青色申告特別控除の案内の内容を扱っています。令和7年以前に事業を始めた場合の開業届の期限と経過措置、開業届を出さなかった場合の扱い、事業を始めた日の判定の細目、資産の譲渡による所得の区分、青色事業専従者給与・純損失の繰越し・少額減価償却資産の特例など個々の特典の要件、現金主義の特例、優良な電子帳簿・デジタルシームレス保存の要件と届出、前々年分の収入金額が1,000万円を超える方の青色申告特別控除の扱い、不動産所得の事業的規模、消費税の届出とインボイス、個人事業税・住民税、延滞税・過少申告加算税の割合と計算、勤務先の就業規則・社会保険・雇用保険など税金以外の手続は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額は所得や控除の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

副業が事業に当たるか、開業届の前に確かめませんか

開業届を出しても、副業が事業の程度に至らなければ雑所得です。反対に、届出を出していなくても、活動が事業の程度なら事業所得になります。代表税理士が、副業の収入・経費・続け方から所得の区分を見立てます。開業届と青色申告承認申請の要否と期限も確かめます。青色にした場合の試算、1月からの帳簿の準備、申告書の作成とe-Taxでの提出まで対応します。全国どこからでもオンラインで完結します。令和9年分から青色にするなら、申請は原則として令和9年3月15日までです。年明けを待たずにご相談ください。

無料相談を申し込む 副業の確定申告サポートを見る 約60秒で料金を自動見積り

小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

関連記事

副業の確定申告の料金
令和8年分 確定申告 お引き受け開始中

副業の確定申告の料金を約60秒で確認

副業の売上の規模を選ぶだけ。令和8年12月31日までのお申込みで10%OFF。割引後の料金がその場で分かります

個人 60秒見積り

副業の開業届・青色申告と確定申告のご相談

初回相談は無料です。代表が直接ご対応します。

副業の確定申告サポートを見る
法人60秒見積り 個人60秒見積り または自動見積りをせずに無料相談を申し込む