この記事のポイント
- 特例分の上限は、令和8年の所得で決まる住民税の所得割の2割です
- 事業や家賃は経費を引いた所得で計算し、赤字は原則として給与などの所得から差し引きます
- 上限を超えると特例分が2割で頭打ちになり、自己負担が2,000円を超えます
- 令和8年分の寄附は12月31日まで。確定申告をする人はワンストップ特例の申請が無効です
まず結論:給与以外の所得がある人の上限は、令和8年の所得を見込んでから決めます
ふるさと納税で自己負担を2,000円に収められる寄附額には、上限があります。
令和8年中の寄附の上限を決めるのは、住民税の所得割(所得に応じてかかる部分)の2割です。
その所得割は、令和8年の所得で計算します。
事業・家賃・株式などの所得がある人は、給与の年収だけでは上限を見込めません。
1月から11月の帳簿で所得を見込み、12月31日までに寄附額を決めます。

上限は「令和8年の所得から計算する住民税の所得割」の2割です
上限の元になるのは、令和8年の所得で計算する住民税の所得割です。
控除は、所得税・住民税の基本分・住民税の特例分の3つに分かれます(国税庁 No.1155)。
このうち特例分は、住民税の所得割額の20%が限度です(同)。
特例分が2割を超えると、3つを合わせても全額は控除されません。自己負担は2,000円を超えます(総務省)。
その所得割は、前年の所得をもとに計算します。
所得割の課税標準は、前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。
(地方税法313条1項。道府県民税の32条1項も同じ文です)
令和8年中の寄附は、令和9年度の住民税から控除されます(同法37条の2第1項・314条の7第1項)。
令和8年度の住民税の通知書は令和7年の所得が元なので、所得が変わった年は上限も変わります。
3つの控除の計算はふるさと納税で確定申告が必要になるケースの記事で解説しています。
控除の対象になる寄附額は、所得税が総所得金額等の40%、住民税の基本分が30%までです(総務省)。
給与の年収の早見表が当てはまらない理由は4つです
給与の年収を当てはめる早見表には、経費・赤字・控除・分離課税の違いが映りません。
住民税の所得割は、所得から所得控除を引いた金額に税率を掛けて計算します(地方税法314条の3)。
| 理由 | 上限への影響 | 根拠 |
|---|---|---|
| ①収入ではなく所得で決まる | 事業や家賃は、収入から減価償却費などの経費と、青色申告なら青色申告特別控除を引いて計算します | 国税庁 No.1350・No.1370・No.2072 |
| ②赤字が他の所得を減らす | 不動産所得や事業所得の赤字は、原則として給与などの所得から差し引かれます | 国税庁 No.2250 |
| ③控除が人ごとに違う | 国民年金・国民健康保険・小規模企業共済・医療費などの控除が増えると、所得割が減ります | 地方税法314条の2 |
| ④分離課税の所得も足される | 申告した株式の譲渡益・配当や先物取引の所得の住民税も、2割の元に足されます | 地方税法附則33条の2など |
②には例外があります。不動産所得の赤字のうち、土地を買う借入金の利子に当たる部分などは差し引けません(No.2250)。
④のうち、源泉徴収ありの特定口座の譲渡益は扱いが分かれます。確定申告書に書いたときに、住民税の計算に入ります(地方税法32条14項・15項)。
株式報酬や副業の収入も、その年の所得になる分は見込みに入れます。
ポイント
上限の元は、年収ではなく、令和8年の所得から計算した住民税の所得割です。総務省も、上限は収入や他の控除等の状況によると案内しています。
同じ年収でも、経費・控除・申告の仕方で、上限は人ごとに変わります。

上限を超えると、自己負担が2,000円を超えます
上限を超えた部分にも所得税と基本分の控除は付きますが、特例分は付きません。
前年の通知書で見込み、令和8年の所得が下がった例で確かめます。
計算例
例:前年の通知書の所得割55万円で見込んだが、令和8年の所得で計算すると40万円だった場合
見込んだ上限(特例分) 550,000円 × 20% = 110,000円 見込みで決めた寄附額 110,000円 ÷ 69.58% + 2,000円 ≒ 160,091円 実際の上限(特例分) 400,000円 × 20% = 80,000円 所得税分 158,091円 × 20.42% ≒ 32,282円 住民税の基本分 158,091円 × 10% ≒ 15,809円 住民税の特例分 上限の80,000円で頭打ち 自己負担 160,091円 - 128,091円(控除の合計) = 32,000円 実際の上限に合う寄附額 80,000円 ÷ 69.58% + 2,000円 ≒ 116,975円前提:指定都市以外。所得税の税率は両年とも20%(復興特別所得税を含め20.42%)です。69.58%は、90%からこの率を引いた割合です。40%・30%の上限には達しないものとします。
金額は一定の前提を置いた目安です。所得税の税率が変わると、計算も変わります。
超えて寄附した約4万3千円のうち、上限の差の3万円が自己負担に上乗せされました。
反対に所得が増えた年は、上限も増えます。上限は1月から12月の年単位で決まります(総務省)。
注意
赤字が大きく、令和8年の所得で住民税の所得割がかからない場合は、2割の上限も0円です。特例分も基本分も、住民税からは控除されません。

見込みが外れるのは、次のような場面です
見込みが外れるのは、所得や控除が前年や年収の想定と変わったときです。
- 前年の住民税の通知書で見込んだ ― 令和8年に売上が減るか経費が増えると、上限も下がります。
- 家賃収入の額で見込んだ ― 経費を引いた不動産所得が赤字なら、給与の分の所得割まで減ります。
- 年末に掛金や医療費が増えた ― 小規模企業共済などの控除が増えると、所得割が減ります。
- 源泉徴収ありの特定口座の利益の申告を決めずに寄附した ― 申告しなければ上限の計算に入りません。
- ワンストップ特例の申請で済ませた ― 確定申告をする人は、申請が無効です(No.1155)。
- 12月31日を過ぎて寄附した ― 令和9年中の寄附になり、令和8年の所得の上限は使えません。
掛金を払う時期は個人事業主が年末にやることの記事で扱っています。
不動産を売った年の上限は不動産を売った年のふるさと納税の記事をご覧ください。
寄附額は、掛金や申告の方針まで決め、所得の見込みを出してから決めます。
補足
令和8年の地方税法の改正で、令和10年度分以後の住民税から特例分の上限が見直されます。対象は令和9年中の寄附です。上限は「所得割の2割」と「193万円」の低いほうになります。193万円は、指定都市以外なら道府県民税分77万2千円と市町村民税分115万8千円の合計です。指定都市では、38万6千円と154万4千円の合計で、同じ193万円です。令和8年中の寄附は、これまでどおり2割だけです。根拠は地方税法37条の2第11項・314条の7第11項と、改正法の附則3条9項・11条8項です。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身でできるのは、数字を集めて一覧にするところまでです。
- 1月から11月の売上と経費を帳簿に入れ、合計を出す
- 家賃収入の明細と、減価償却費などの経費を並べる
- 国民年金・国民健康保険・掛金・医療費の年間の見込みを書き出す
- 証券会社の取引の明細で、特定口座の損益と配当を確かめる
- 寄附した日・寄附先・金額を、受領証で一覧にする
受領証は、確定申告書に添付するか、提出のときに提示します(No.1150)。
12月分を含めた所得の見込みと、そこから逆算する上限の試算は個別判断です。
赤字を差し引けるか、分離課税の所得を申告するかによっても、上限は変わります。

税理士に頼むと変わるのは、所得の見込みと上限の試算です
税理士が入ると、所得の見込みから上限を試算し、申告まで通して整えられます。
小松公認会計士・税理士事務所では、年内の試算から申告まで、次の作業を行います。
- 1月から11月の帳簿をもとにした、令和8年の所得の見込み計算
- 見込みの所得から出す、住民税の所得割と特例分の上限の試算
- 掛金・医療費・分離課税の申告の有無で変わる上限の比較
- 受領証や寄附金控除に関する証明書の整理と、寄附の一覧づくり
- 確定申告書の作成と、第二表の寄附金控除・住民税の欄への記載
全国どこからでも、オンラインで完結します。料金は、所得の種類・取引の量・記帳の状態で決まり、60秒見積りでその場で分かります。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
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よくある質問(FAQ)
Q1. 個人事業主ですが、給与の年収の早見表で上限を見てもよいですか?
事業所得は、総収入金額から必要経費を引いた額です。青色申告なら、青色申告特別控除も引きます(国税庁 No.1350・No.2072)。令和8年中の寄附の上限は、その所得による住民税の所得割の2割です(地方税法37条の2第11項など)。1月から11月の帳簿で令和8年の所得を見込んでから、寄附額を決めます。
Q2. 前年の住民税の通知書の所得割で計算すれば足りますか?
令和8年中の寄附の上限は、令和8年の所得で計算する令和9年度の所得割で決まります。根拠は地方税法313条1項・314条の7第1項です。令和8年度の通知書は、令和7年の所得が元です。売上や経費、控除が前年と変わった年は、そのままでは使えません。
Q3. 不動産所得が赤字の年は、上限は変わりますか?
不動産所得の赤字は、原則として給与などの所得から差し引かれます(損益通算)。住民税の所得割も減るため、上限も下がります。ただし、土地を買うための借入金の利子に当たる部分などは差し引けません(国税庁 No.2250)。
Q4. 令和9年に寄附する分から、上限の決まりは変わりますか?
令和8年の地方税法の改正で、令和10年度分以後の住民税(令和9年中の寄附)から変わります。特例分の上限は「所得割の2割」と「193万円」の低いほうになります。令和8年中の寄附は、これまでどおり2割です(改正法附則3条9項・11条8項)。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。地方税法32条1項・12項〜15項・37条の2第1項・第11項・313条1項・314条の2第1項・314条の3第1項・第2項・314条の7第1項・第11項、地方税法附則5条の6・33条の2・34条・35条の2・35条の2の2・35条の4、地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号)附則1条2号・3条9項・11条8項、所得税法74条2項・78条1項、国税庁タックスアンサーNo.1150「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」・No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」・No.1350「事業所得の課税のしくみ(事業所得)」・No.1370「不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」・No.2250「損益通算」、総務省ふるさと納税ポータルサイトの「税金の控除について」と質問・回答のページの内容を扱っています。調整控除と人的控除差調整額の具体額、所得割額の厳密な算定、住宅ローン控除・配当控除などの税額控除との関係、指定都市に住所がある場合の配分、課税総所得金額がない場合などの特例分の割合(地方税法附則5条の5)、長期・短期の譲渡所得がある年の扱い、令和9年分以後の所得税の税率による特例分の割合の変更の有無、株式報酬や副業の所得区分、減価償却費の計算、損益通算の順序とその他の制限の細目、純損失の繰越控除、上場株式等の配当の課税方式の選択、寄附の支出日の判定、ワンストップ特例の申請期限と手続、確定申告書の記載方法の細目、返礼品の一時所得、国民健康保険料など住民税以外への影響は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の上限額は所得の内訳・所得控除・住所地によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「税金の控除について」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「よくある質問」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/faq/
- 国税庁 タックスアンサー No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2250「損益通算」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm
- e-Gov法令検索「地方税法」(32条・37条の2・313条・314条の3・314条の7・附則33条の2)https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
寄附の前に、令和8年の所得から上限を試算しませんか
令和8年中の寄附の特例分の上限は、令和8年の所得で計算する住民税の所得割の2割です。事業や家賃の所得は経費を引いた額で決まり、赤字は原則として給与などの所得から差し引かれます。申告した株式などの分離課税の所得も、その住民税が2割の元に足されます。上限を超えた分は特例分の控除がなく、自己負担が2,000円を超えます。代表税理士が、帳簿で所得を見込み、上限の試算から確定申告書の作成と提出まで対応します。全国どこからでもオンラインで完結します。12月31日を迎える前にご相談ください。
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