確定申告

住宅ローン控除とふるさと納税
上限は下がる? 1年目と2年目以降の確かめ方

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 特例分の2割の上限は、住宅ローン控除を引く前の住民税の所得割で計算します
  • 住宅ローン控除の1年目は確定申告が必要で、ワンストップ特例の申請は無効です
  • 所得税で引ききれない住宅ローン控除は、原則5%・97,500円まで住民税から引きます
  • 確定申告で受ける年に限度の余裕がないと、所得税の分が戻らず自己負担が増えます

まず結論:住宅ローン控除で2割の上限は下がりませんが、自己負担が増える年があります

ふるさと納税で自己負担を2,000円に収められる寄附額には、上限があります。

上限の元は、住民税の所得割(所得に応じてかかる部分)の2割です。

この2割は住宅ローン控除を引く前の所得割で計算するため、住宅ローン控除では下がりません。

注意が要るのは、確定申告で寄附金控除を受ける年です。住宅ローン控除の1年目が当たります。

その年に住宅ローン控除で所得税が0円になると、ふるさと納税の所得税の分が戻らないことがあります。

令和8年中の寄附は12月31日までです。寄附額は、所得税と住民税の見込みを並べてから決めます。

住宅ローン控除が始まる年は、ふるさと納税の受け方も確かめます
住宅ローン控除が始まる年は、ふるさと納税の受け方も確かめます

ふるさと納税の控除は3つに分かれ、上限があるのは住民税の特例分です

控除は、所得税・住民税の基本分・住民税の特例分の3つに分かれます(国税庁 No.1155)。

  • 所得税:(寄附額-2,000円)を所得から差し引く(寄附金控除)
  • 住民税の基本分:(寄附額-2,000円)×10%を税額から差し引く
  • 住民税の特例分:所得税と基本分で引ききれない残りを差し引く(所得割の20%が限度)

対象になる寄附額は、所得税が総所得金額等の40%、基本分が30%までです(総務省)。

2割の元は、税率を掛けた所得割から調整控除(住民税で引く一定の額)を引いた額です。

根拠は地方税法37条の2第11項・314条の7第11項で、住宅ローン控除はこの計算に入りません。

上限の見込み方は、給与以外の所得がある人の上限の記事で解説しています。

ふるさと納税の控除は、所得税・住民税の基本分・特例分の3つに分かれます
ふるさと納税の控除は、所得税・住民税の基本分・特例分の3つに分かれます

住宅ローン控除は所得税から引き、引ききれない分は住民税から引きます

住宅ローン控除は、年末残高等を基に計算した額を所得税額から差し引く制度です(No.1211-1)。

令和4年から令和12年に新築などで住み始めた場合は0.7%で、住宅の区分ごとに上限があります(同)。

前年分の所得税において控除しきれなかった金額がある場合は、翌年度の個人住民税で控除されます。

(総務省「個人住民税の住宅ローン控除がうけられる場合があります。」)

住民税から引けるのは、所得税の課税総所得金額等の5%までで、97,500円が限度です。

平成26年から令和3年に住み始め、特定取得などに当たる場合は7%・136,500円です(総務省)。

令和8年から令和12年に住み始めた方も対象です(地方税法附則5条の4。令和9年1月1日施行)。

1年目は確定申告で、所得税の分が住宅ローン控除と重なることがあります

住宅ローン控除の最初の年分は、確定申告が必要です(No.1211-1)。

確定申告をするとワンストップ特例の申請は無効になり、寄附金控除も申告書で受けます(No.1155)。

寄附金控除で所得税が下がっても、住宅ローン控除で0円なら、所得税は0円のままです。

その分、引ききれない住宅ローン控除が増え、住民税へ回ります(地方税法附則5条の4)。

住民税の限度に余裕がないと、所得税の分は戻りません。5%で限度が決まる方は、寄附金控除で限度も下がります。

計算例

例:課税総所得金額250万円の人が、1年目にふるさと納税52,000円を確定申告した場合

寄附金控除の後 2,500,000円 - 50,000円 = 2,450,000円 住宅ローン控除前の所得税 2,450,000円 × 10% - 97,500円 = 147,500円 住民税で引ける限度 2,450,000円 × 5% = 122,500円 → 97,500円 住宅ローン控除21万円 引ききれない62,500円は限度内 → 自己負担 2,105円 住宅ローン控除28万円 引ききれない132,500円は限度超 → 自己負担 7,105円

21万円の例は所得税の分5,000円が住民税で戻り、復興特別所得税の105円が残ります。

28万円の例は、所得税の分5,105円が戻りません。

前提:指定都市以外。特例分は2割の上限に達せず、割合は79.79%とします。

金額は一定の前提を置いた目安です。

所得税が戻る申告(還付申告)は、翌年1月1日から出せます(No.2030)。

添付書類は住宅ローン控除の初年度の記事をご覧ください。

1年目は、住宅ローン控除と寄附金控除を確定申告でまとめて計算します
1年目は、住宅ローン控除と寄附金控除を確定申告でまとめて計算します

2年目以降は、確定申告をするかどうかで受け方が変わります

給与所得者は、2年目以後の住宅ローン控除を年末調整で受けられます(No.1211-1)。

ほかに確定申告が要らず、寄附先が5団体以内なら、ワンストップ特例を使えます(地方税法附則7条)。

この場合、所得税からの控除はなく、全額が翌年度の住民税から控除されます(総務省)。

所得税の計算に寄附が入らないため、住宅ローン控除の住民税への回り方は変わりません。

ポイント

上の28万円の例と同じ数字なら、ワンストップ特例の自己負担は2,000円です。所得税の分に当たる申告特例控除額5,105円が、住民税に加わります。根拠は地方税法附則7条の2・7条の3です。

医療費控除などで確定申告をする年や、6団体以上に寄附した年は、1年目と同じ見方です。

無効になる場合の一覧は、ふるさと納税で確定申告が必要になる場合の記事にあります。

2年目以降は、その年に確定申告をするかを先に確かめてから、寄附額を決めます。

受け方を取り違えると、ふるさと納税の控除が減ることがあります

次の3つは、ふるさと納税の控除が減ったり、受けられなくなったりする例です。

  • 1年目もワンストップ特例の申請で済ませた ― 申請は無効です。申請した分も寄附金控除に含める必要があります(No.1155)。
  • 第二表の「特例控除対象」の欄を空けた ― 住民税で控除されないことがあります(No.1155)。
  • 所得税の分も戻る前提で寄附額を決めた ― 住民税の限度に余裕がないと、その分は戻りません。

注意

ワンストップ特例を申請した寄附を書き忘れたときは、更正の請求で直せます。ただし、所得税等の額が変わらないと更正の請求はできません。国税庁は、その場合は市区町村への相談を案内しています(No.1155)。住宅ローン控除で所得税が0円の方は、これに当たることがあります。

提出の前に、第二表の住民税の欄まで確かめます
提出の前に、第二表の住民税の欄まで確かめます

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

年内にご自身でそろえられるのは、次の4つです。

  1. 令和8年の給与などの所得と、社会保険料などの控除の見込みを書き出す
  2. 住宅ローンの年末残高の見込みと、住宅の区分を確かめる
  3. 寄附した日・寄附先・金額を、受領証で一覧にする
  4. 医療費控除など、ほかに確定申告をする理由があるかを書き出す

受領証は、確定申告書に添付するか、提出のときに提示します(No.1150)。

住宅ローン控除の住民税への回り方と、2割の上限の試算は個別判断です。

特例分の割合を決める税率は住民税の所得から求め、所得税の税率と異なる場合があります(総務省)。

税理士に頼むと変わるのは、寄附の前の見込みと申告のまとめ方です

小松公認会計士・税理士事務所では、年内の見込みから申告まで、次の作業を行います。

  • 所得と控除の見込みから出す、住宅ローン控除の前の所得税額
  • 住民税へ回る住宅ローン控除と、5%・97,500円の限度との比較
  • 2割の上限と、自己負担が2,000円に収まる寄附額の試算
  • 住宅ローン控除と寄附金控除を入れた確定申告書の作成と電子申告
  • 第二表の住民税の欄の確認と、受領証の整理

2年目以降は、確定申告をする年かを年ごとに確かめます。全国どこからでもオンラインで完結します。

料金の目安

基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。

通常料金での計算例です。給与所得・その他控除セット(社会保険料など)・ふるさと納税は各6,000円です。住宅ローン控除は15,000円で、初年度も2年目以降も同じです。合計は32,000円+6,000円×3+15,000円=65,000円(税込71,500円)です。最低料金と同じ額です。計算例は一定の前提を置いた目安です。

ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 住宅ローン控除を受けていると、ふるさと納税の上限は下がりますか?

特例分の2割の上限は、住民税の所得割で計算します(地方税法37条の2第11項など)。住宅ローン控除を引く前の額で計算するため、2割の上限は下がりません。ただし確定申告で受ける年に住宅ローン控除で所得税が0円になると、自己負担が増えることがあります。

Q2. 住宅ローン控除の1年目に、ワンストップ特例は使えますか?

住宅ローン控除の最初の年分は、確定申告が必要です(No.1211-1)。確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります(No.1155)。申請した分も含めて確定申告書に寄附金控除を書き、第二表の住民税の欄にも記載します。

Q3. 2年目以降は、ワンストップ特例を使えますか?

給与所得者は、2年目以後の住宅ローン控除を年末調整で受けられます(No.1211-1)。ほかに確定申告の必要がなく、寄附先が5団体以内なら、ワンストップ特例を使えます。この場合、所得税からの控除はなく、全額が翌年度の住民税から控除されます(総務省)。

Q4. 令和9年に寄附する分から、上限の決まりは変わりますか?

令和8年の地方税法の改正で、令和10年度分以後の住民税(令和9年中の寄附)から変わります。特例分の上限は、所得割の2割と193万円の低いほうです(改正法附則3条9項など)。令和8年中の寄附は、これまでどおり2割です。

免責事項

本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。地方税法37条の2第11項・314条の7第11項・附則5条の4第1項・第3項・第5項・第7項・附則5条の6・附則7条・7条の2・7条の3、地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号)附則1条2号・3条9項・12項・11条8項・10項、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法10条・13条、タックスアンサーNo.1150「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」・No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」・No.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」・No.2030「還付申告」・No.2260「所得税の税率」、総務省のふるさと納税ポータルサイトと個人住民税の住宅ローン控除の案内、弊所の料金表の内容を扱っています。住宅ローン控除の借入限度額・控除限度額と住宅の区分ごとの要件、中古住宅・増改築等の場合の控除率と限度額、床面積・所得の要件、特例対象個人の上乗せ、居住年が平成28年から令和7年の方の住民税の限度額の調整、住民税の所得割・調整控除・人的控除差調整額の具体的な計算、特例分の割合が所得税の税率と異なる場合の扱い、指定都市に住所がある場合の配分、住民税の税額控除の順序と所得割が足りない場合の扱い、年末調整で所得税が0円の方が住民税の申告で寄附金控除を受ける方法、ワンストップ特例の申請書の提出期限、令和8年分の確定申告期間の日付、共有・連帯債務・繰上返済・借換えの扱い、令和9年分以後の復興特別所得税・防衛特別所得税と特例分の割合の関係、返礼品の一時所得は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の控除額や自己負担は所得・控除・住宅ローン控除の額・住所地によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

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住宅ローン控除によって、特例分の2割の上限が下がることはありません。ただし1年目のように確定申告で受ける年は、所得税の分が住宅ローン控除と重なることがあります。住民税で引ける住宅ローン控除の限度に余裕がないと、その分が戻らず、自己負担が2,000円を超えます。代表税理士が、所得税と住民税の見込み、限度の余裕、2割の上限を試算します。住宅ローン控除と寄附金控除を入れた確定申告書の作成と提出まで対応します。全国どこからでもオンラインで完結します。12月31日を迎える前にご相談ください。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

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