この記事の答え
- 開業届は事業的規模(おおむね10室以上か5棟以上)の人が出します。青色の申請は1室でもできます
- 始めた年分から青色にするなら、原則は開始から2か月以内に申請します(1月15日以前は3月15日まで)
- 令和8年分の青色の控除は、事業的規模でないと最高10万円、事業的規模は要件つきで最高65万円です
開業届は規模で、青色の申請は期限で考えます
初めて賃貸物件を買った人が確かめる届出は、主に2つです。開業届は、事業として貸す規模(事業的規模)の人が出します。
青色申告の承認申請は、控除などの特典を受けたい人が、1室でも出せる書類です。
1室の人が先に確かめるのは、開業届ではなく青色の申請の期限です。1月16日以後に始めた人は、原則として開始から2か月以内です。

物件の規模で、開業届と控除の意味が変わります

事業的規模かどうかで、開業届が要るかどうかと、控除の上限が変わります。
国税庁の資料では、次のどちらかに当たる貸付けを、原則として事業として扱います。
- アパートなどの貸せる独立した室数(空室も含む)が、おおむね10室以上
- 独立家屋が、おおむね5棟以上
この基準は目安です。事業かどうかは、世間一般から見て事業といえる規模かどうかで、実質的に判断します。家賃の収入や管理の状況から、基準に準ずると認められる場合もあります。
開業届を出したかどうかで、事業的規模になるわけではありません。
事業的規模
- 開業届を出す
- 青色の控除は、要件を満たすと最高55万円(電子申告などで65万円)
- 青色なら、要件を満たす家族の給与を経費にできる
それ以外(1室など)
- 原則として開業届の対象外
- 青色の控除は最高10万円(貸付けだけの場合)
- 家族の給与を経費にする特例は使えない
1月16日以後に貸し始めた人の青色の申請は、原則2か月以内です
貸付けを始めた年分から青色にする人の期限は、原則として始めた日から2か月以内です。1月15日以前に始めた人は、3月15日までです。すでに事業所得などの業務がある人は、2か月ではなく、その年の3月15日が期限になることがあります。
開業届の期限は、事業的規模の貸付けを始めた年分の確定申告期限です。
事業的規模の青色申告の人が家族に給与を払うときは、別の届出も要ります。届出の全体は、開業時の届出の記事で解説しています。
会社員のAさんは、入居者がいるマンションの1室を買い、令和8年11月20日に貸付けを始めました。
- 令和8年11月20日:貸付けを始める
- 令和9年1月20日:令和8年分から青色にする申請の期限
- 令和9年3月15日:令和8年分の確定申告の期限(原則)
Aさんは会社員で、事業所得などの業務がない前提です。
確定申告の時期(原則として2月16日から)に動き出すと、その年分の申請に間に合わないことがあります。
期限を過ぎると、その年分は青色の特典を使えません
申請が遅れると、その年分は白色申告になり、青色の特典は使えません。使えなくなる主な特典は、次の3つです。
- 青色申告特別控除 ― 所得から差し引く控除です。不動産所得などの黒字の金額が限度です。
- 家族の給与を経費にする特例 ― 事業的規模の人が、届出などの要件を満たすと使えます。
- 赤字の繰越し ― 給与などと差し引いても残る赤字を、翌年以後3年間に繰り越せます。連続した確定申告が条件です。
計算例
例:所得税の税率が20%のBさんの、控除を使えなかったときの税金の差
10万円の控除:10万円×30.42%=30,420円65万円の控除(事業的規模で要件を満たす場合):65万円×30.42%=197,730円30.42%は、所得税20%、復興特別所得税0.42%、住民税10%の合計です。令和8年分で、不動産所得が控除額以上ある年の、一定の前提を置いた目安です。
次の年分から青色にするには、その年の3月15日までに申請します。たとえば令和9年分からなら、期限は令和9年3月15日です。令和9年分からの控除の見直しは、改正の記事で解説しています。
失敗の例は、次の2つです。
- 開業届だけを出したCさん ― Cさんは、青色の申請書を別に出さないと、青色申告になりません。
- 1室で妻に給与を払ったDさん ― 事業的規模でないと、家族の給与を経費にする特例は使えません。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

次の3つは、ご自身で進められます。
- 貸せる部屋(空室も含む)と建物の数を数える
- 売買契約書や賃貸借契約書で、貸付けを始めた日を確かめる
- 青色にするなら、e-Tax(電子申告)か書面で申請書を税務署へ出す
次の3つは、資料を見ての個別判断になります。
- 10室に届かない人が、家賃の収入や管理の状況から事業に準ずるか
- 空室で買った物件の、貸付けを始めた日はいつか
- 受けたい控除に合わせて、どの帳簿を付けるか
購入した年の費用の分け方は、不動産投資を始めた年の確定申告の記事で解説しています。
税理士に頼むと、届出の確認から申告まで任せられます

小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を弊所が行います。
- 室数や管理の状況からの、事業的規模の判定
- 青色申告特別控除の要件と届出の確認
- 家賃・経費の集計と減価償却費の計算
- 確定申告書・決算書等の作成と電子申告
- 通帳・領収書から帳簿を作る記帳代行(別料金)
全国どこからでもオンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。会社員で、家賃収入300万円までの物件が1つの場合です。給与所得とその他控除セット(社会保険料など)は各6,000円、不動産所得は35,000円です。合計は32,000円+6,000円×2+35,000円=79,000円(税込86,900円)です。消費税の申告と記帳代行がない場合の、一定の前提を置いた目安です。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
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よくある質問(FAQ)
Q1. マンション1室を買いました。開業届は必要ですか?
国税庁の資料で開業届の提出が必要とされるのは、事業的規模の貸付けを始めたときです。建物はおおむね10室以上か5棟以上が目安で、実質で判断します。1室の貸付けは、この目安に届きません。
Q2. 青色申告の申請の期限を過ぎたら、どうなりますか?
その年分は青色申告にできず、控除などの特典は使えません。次の年分から青色にするなら、その年の3月15日までに申請します。たとえば令和9年分からなら、令和9年3月15日が期限です。
Q3. 開業届を出せば、65万円の控除を受けられますか?
開業届の有無では決まりません。令和8年分の55万円・65万円は、事業的規模で複式簿記などの要件を満たす人の控除で、それ以外の青色申告は最高10万円です。令和9年分からは事業的規模の65万円にe-Taxが要り、紙の申告は最高10万円です。
Q4. 買った年が赤字でも、青色の申請をする意味はありますか?
買った年が赤字で控除の効果が出なくても、青色には赤字の繰越しの特典があります。給与などと差し引いても残る赤字を、連続して確定申告をすれば翌年以後3年間に繰り越せます。翌年以後の見込みと帳簿の手間で判断します。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法57条・70条・143条・144条・148条・229条、国税通則法10条、租税特別措置法25条の2、地方税法313条、所得税基本通達26-9、タックスアンサーNo.1373・No.1399・No.2020・No.2070・No.2072・No.2075・No.2090・No.2260、国税庁の手続案内A1-5・A1-8、国税不服審判所の平成20年9月16日の裁決、国税庁の令和9年分の青色申告特別控除のリーフレット、総務省の個人住民税の案内、弊所の料金表の内容を扱っています。相続や贈与で物件を引き継いだ人の申請期限、すでに事業所得などで青色申告の承認を受けている人の扱い、共有の物件、法人で買う場合、駐車場や土地の貸付けの規模の判定、物件の買い増しで規模が変わった場合の扱い、青色申告の承認があったとみなされる時期、家族に給与を払うときの届出の期限と金額、減価償却の方法の届出、消費税の届出、個人事業税など都道府県や市区町村への届出、青色申告の帳簿の付け方、令和9年分以後の控除の細目、赤字と給与などの通算の細目は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額・料金は所得や控除の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1399「新たに不動産の貸付けを始めたときの届出など」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1399.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1373「事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」(所得税基本通達26-9)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm
- 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」(所得税法144条)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2072「青色申告特別控除」(租税特別措置法25条の2)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
- 国税庁「【令和9年分確定申告から適用】優良な電子帳簿の保存又はデジタルシームレス保存により75万円の青色申告特別控除を適用しましょう!」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/0026007-003_02.pdf
初めて物件を買った年の届出の確認と確定申告は、弊所にお任せください
1室の方は青色の申請の期限を、事業的規模の方は開業届と控除の要件を、先に確かめておくことが大切です。弊所が、青色申告特別控除の要件と届出の確認から、家賃・経費の集計、減価償却費の計算、確定申告書の作成と電子申告まで担当します。全国どこからでもオンラインで完結します。料金は60秒見積りで確かめられますので、物件を買った段階でご依頼をご検討ください。
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