この記事のポイント
- 通常の修理は修繕費、新しいエアコンの購入は資産の取得として扱います
- 新しい設備は取付工事費を含めた1台ごとの取得価額で、経費にする方法が決まります
- 40万円未満の特例は青色申告の中小事業者が対象で、令和8年4月1日以後の取得分からです
- 外した設備の帳簿の残りは、事業的規模でなければ損失を引く前の不動産所得が限度です
まず結論:通常の修理は修繕費、エアコンの買い替えは資産の取得です
賃貸物件のエアコンや給湯器の交換は、工事の中身で扱いが変わります。
エアコンの買い替えは、取付工事を含めた取得価額で扱いが決まります。
交換の前に見積書と古い設備の帳簿を確かめると、申告の誤りを防げます。

通常の修理は修繕費、エアコンの購入は資産の取得です
通常の維持管理や、災害などで壊れた資産を元に戻す費用は修繕費です(所得税基本通達37-11)。
部品を特に性能の高いものに替えると、通常の取替えを超える部分は資本的支出です(同37-10)。
資本的支出は、減価償却で何年かに分けて経費にします(タックスアンサーNo.1379)。
1回20万円未満か、おおむね3年以内の周期の修理は、修繕費にできます(No.1379)。
新しいエアコンは、それ自体が減価償却資産です。
「冷房用又は暖房用機器」には、いわゆるウインドータイプのルームクーラー又はエアーコンディショナー、電気ストーブ等が該当する。
(耐用年数の適用等に関する取扱通達2-7-4)
この機器は器具及び備品に当たり、耐用年数は6年です(耐用年数省令 別表第一)。
ダクトで相当広い範囲を冷房するパッケージドタイプは、建物附属設備です(同注)。
給湯器は、設備の区分と耐用年数を、設置の状況を見て個別に確かめます。
新しいエアコンの代金は修繕費ではなく、エアコンという資産の取得価額です。
新しい設備は、1台ごとの取得価額で扱いが4つに分かれます
取得価額は、購入代価と、使うために直接かかった取付工事費などの合計です(所得税法施行令126条)。
器具及び備品は、1個・1組・1そろいごとに判定します(所得税基本通達49-39)。
消費税を含めるかは経理方式により、免税事業者は税込みで判定します(タックスアンサーNo.2100)。
| 1台ごとの取得価額 | 扱い | 使える人 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 使い始めた年に全額を必要経費 | 青色・白色とも |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産として3年間で3分の1ずつ(選択) | 青色・白色とも |
| 10万円以上40万円未満(令和8年3月31日までの取得は30万円未満) | 使い始めた年に全額(年300万円まで) | 青色申告の中小事業者 |
| 上記以外 | 耐用年数に応じて減価償却 | ― |
根拠は所得税法施行令138条・139条、租税特別措置法28条の2です。
特例は、常時使用する従業員400人以下の青色申告の中小事業者が対象です(同法施行令18条の5)。
令和8年4月1日以後の取得分から40万円未満になりました(令和8年法律第12号附則35条)。
取得期限は令和11年3月31日で、確定申告書に明細書を付けます(措置法28条の2)。
計算例
例:免税事業者の大家が、令和8年11月に1部屋のエアコンを交換した場合
取得価額 本体96,000円+取付工事24,000円=120,000円(税込み) 一括償却資産を選ぶ 120,000円÷3=40,000円を令和8年分から3年間 青色申告の中小事業者が特例を選ぶ 令和8年分に120,000円11月中に使い始め、次の節の除外に当たらない前提です。
金額は一定の前提を置いた目安です。
本体の値段だけで10万円未満と判定すると、経費を多く計上してしまいます。

入居者が使う設備は「貸付けの用」の除外も確かめます
令和4年4月1日以後に取得し、貸付けの用に供した資産は、3つの扱いから外れます(No.2100)。
ただし、主要な業務の貸付けなら、3つの扱いを使えます(所得税法施行令138条・139条など)。
主要な業務に付随して行う貸付けも、これに当たります(所得税法施行規則34条の2)。
通達の例示は次のとおりです。
不動産貸付業を営む居住者がその貸し付ける建物の賃借人に対して、家具、電気機器その他の減価償却資産を貸し付ける行為
(所得税基本通達49-39の3(3))
40万円未満の特例にも同じ例示があります(措置法通達28の2-1の4(3))。
この例示に当たる貸付けなら、除外は受けず、10万円未満などの扱いを使えます。
注意
例示は「不動産貸付業を営む」方の場合です。ご自身の貸付けが当たるかは、貸付けの実態で確かめます。
外した古い設備は、帳簿の残りが必要経費になる場合があります
外した設備に帳簿の残り(未償却残額)があれば、除却(取り外して処分すること)の損失になります。
損失の額は、取得価額から償却費の累計を引いた額がもとです(所得税法施行令142条)。
経費にできる範囲は、貸付けが事業といえる規模(事業的規模)かで変わります。
- 事業的規模 ― 損失の全額が必要経費です(所得税法51条1項)。
- 事業的規模でない ― 損失を引く前の、その年の不動産所得が限度です(同条4項)。
貸室ならおおむね10室以上、独立家屋ならおおむね5棟以上が目安です(所得税基本通達26-9)。
判定は不動産所得の記事で解説しています。
計算例
例:外したエアコンの帳簿の残り80,000円、損失を引く前の不動産所得50,000円の場合
事業的規模 全額が経費 → 不動産所得は50,000円-80,000円=△30,000円 事業的規模でない 限度は50,000円 → 不動産所得は0円(30,000円は経費に入りません)売れる部材の価額(所得税基本通達51-2)や、保険金などの補てんはない前提です。
金額は一定の前提を置いた目安です。
ポイント
一括償却資産にした設備は、3年の途中で外しても残りの年に3分の1ずつ経費にします。外した年にまとめては経費にできません(所得税基本通達49-40の2)。

間違えたときに起きること:経費の誤りと申告のやり直しです
交換の扱いを誤ると、経費が多すぎたり、少なすぎたりします。
- 本体の値段だけで10万円未満と判定した ― 工事費を含めて10万円以上なら誤りです。
- 白色申告で40万円未満の特例を使った ― 特例は青色申告の中小事業者のものです。
- 令和8年3月までの取得分に40万円の基準を使った ― 30万円未満が対象です。
- 事業的規模でないのに、除却の損失で赤字にした ― 損失を引く前の所得が限度です。
経費が多すぎると、修正申告や更正で税金の不足分を納めます。
過少申告加算税や延滞税がかかることもあります(国税通則法65条・60条)。
直し方は確定申告の直し方の記事にまとめています。
どれも、交換の前に見積書と帳簿を見ておけば防ぎやすい誤りです。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身で確かめられるのは、次の4つです。
- 見積書を、台数ごと、本体と工事費に分けてもらう
- 外す設備をいつ、いくらで買ったかを帳簿で確かめる
- 青色か白色か、消費税を税込みと税抜きのどちらで経理しているか
- 取付けと使い始めが、12月31日までに終わるかを確かめる
修繕費を入れる年は年末チェックの記事で解説しています。
修理か取得か、どの区分と耐用年数かは、工事ごとの個別判断です。
事業的規模か、貸付けの例示に当たるかも、物件と貸し方を見て判断します。

税理士に頼むと変わるのは、交換前の判断と帳簿の引継ぎです
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。
- 見積書から、修理・資本的支出・資産の取得を分けます
- 取得価額を出し、全額経費・一括償却・特例・減価償却を比べます
- 外した設備の帳簿の残りを確かめ、損失の額を計算します
- 決算書と確定申告書を作り、e-Taxで提出します
- 新しい設備を資産の一覧に加え、翌年以降に引き継ぎます
全国どこからでも、オンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。家賃収入の単価は、物件ごとの1年分の家賃収入(経費を引く前)で決まります。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。家賃収入300万円以下の物件1つは35,000円、給与所得とその他控除セットは各6,000円です。合計は32,000円+35,000円+6,000円×2=79,000円(税込86,900円)です。消費税の申告は不要とし、計算例は一定の前提を置いた目安です。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
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初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 賃貸の部屋のエアコンが壊れ、新しいものに買い替えました。修繕費になりますか?
新しいエアコンは減価償却資産で、修繕費ではありません(耐用年数通達2-7-4)。取付工事費を含む1台ごとの取得価額で判定します。10万円未満なら使い始めた年に全額を経費にできます(所得税法施行令138条)。貸付けの除外に当たらないことが前提です。通常の部品交換などの修理は修繕費です。
Q2. 白色申告でも、40万円未満の設備を一度に経費にできますか?
できません。この特例は青色申告書を出す中小事業者が対象です(租税特別措置法28条の2)。令和8年4月1日以後の取得分は40万円未満、それより前は30万円未満で、年300万円までです。白色申告の方が使えるのは、10万円未満の全額経費と20万円未満の一括償却です。
Q3. 入居者が使うエアコンは「貸付けの用」に当たり、一度に経費にできないのですか?
令和4年4月1日以後の取得分で貸付けの用に供したものは、10万円未満などの扱いから外れます。ただし主要な業務の貸付けは除きます。通達はその例に、不動産貸付業を営む人が建物の賃借人に電気機器などを貸し付ける行為を挙げています。根拠は所得税基本通達49-39の3です。
Q4. 外した古い給湯器の帳簿の残りは、必要経費になりますか?
事業的規模なら、損失の全額が必要経費です(所得税法51条1項)。事業的規模でなければ、損失を引く前のその年の不動産所得が限度です(同条4項)。一括償却資産の設備は、外しても残りの年に3分の1ずつ経費にします(所得税基本通達49-40の2)。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法51条1項・4項、所得税法施行令126条1項1号・138条・139条・142条1号、所得税法施行規則34条の2・34条の3、租税特別措置法28条の2、租税特別措置法施行令18条の5、所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)附則35条、国税通則法60条・65条、所得税基本通達26-9・37-10・37-11・37-12・49-39・49-39の3・49-40の2・51-2、租税特別措置法関係通達28の2-1の4、耐用年数の適用等に関する取扱通達2-7-4、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第一、タックスアンサーNo.1379「修繕費とならないものの判定」・No.2100「減価償却のあらまし」、弊所の料金表の内容を扱っています。給湯器などの設備の区分と耐用年数、建物に組み込まれた設備の交換が修理と取得のどちらに当たるかの線引き、建物と一緒に取得して区分していない設備を外した場合、古い設備の撤去・処分の費用の扱い、10万円未満で経費にした設備を外した場合、通常の減価償却の計算(償却方法・償却率・月割り)、除却した年の償却費、資本的支出の償却、60万円・10%の形式基準と区分の特例の詳しい適用、中古の設備の耐用年数、主要な業務として行われる貸付けの判定の細目(買取りの約束がある貸付けなど)、常時使用する従業員の数え方、令和8年3月31日以前に取得した分の従業員数の要件、業務を始めた年・やめた年の300万円の月割り、一括償却資産と特例の明細書の書き方、事業的規模の判定の細目、補助金・保険金を受け取った場合、消費税の課税事業者の扱い、償却資産税(固定資産税)の申告、加算税と延滞税の割合、更正の請求の期限は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の扱いは設備の内容や申告の状況によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「所得税法」(51条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁 タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
- 国税庁 所得税基本通達〔資本的支出と修繕費等〕(37-10〜37-12)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/07.htm
- 国税庁 所得税基本通達〔少額の減価償却資産及び一括償却資産(令第138条及び第139条関係)〕(49-39〜49-40の2)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/08/12.htm
- 国税庁 耐用年数の適用等に関する取扱通達「第7節 器具及び備品」(2-7-4)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/02/02_07.htm
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賃貸物件の設備の交換は、通常の修理なら修繕費です。新しいエアコンの購入は、取付工事費を含めた1台ごとの取得価額で扱いが決まります。40万円未満の特例の対象は青色申告の中小事業者で、令和8年4月1日以後の取得分からです。入居者に使ってもらう設備は、貸付けの除外に当たらないかも確かめます。外した設備の帳簿の残りは、事業的規模でなければ損失を引く前の不動産所得が限度です。代表税理士が、見積書の区分から経費にする方法の比較、除却の損失の計算まで行います。申告書の作成とe-Taxでの提出まで対応し、全国どこからでもオンラインで完結します。見積書を受け取った段階でご相談ください。
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