法人税・節税

会社が払う税金で経費にならないもの
租税公課の損金算入と、いつの期の損金かの整理

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 会社が払う税金は原則、損金になります。例外は法人税・住民税の本税などです
  • 加算税・延滞税・罰金なども損金になりません。ただし利子税は損金になります
  • 事業税は損金になりますが1年ずれます。前期分は当期の損金にできる特例があります
  • 固定資産税など賦課課税方式は、損金にする事業年度を選べます

まず結論:会社が払う税金は3つに分かれます

決算のとき、社長からよく「この税金は経費になりますか」とご質問をいただきます。

会社が納めた税金は租税公課としてまとめられがちですが、税務上の扱いは大きく3つに分かれます。

  • 損金にならない税金(法人税・住民税の本税、延滞税、加算税など)
  • 損金になる税金(事業税、固定資産税、自動車税など)
  • 損金にはなるが、どの事業年度の損金かが問題になる税金

出発点は、国税庁タックスアンサーNo.5300「租税公課等の損金算入の可否と租税の損金算入時期」です。

法人が納付する租税公課等は原則として損金の額に算入されますが、例えば次の「損金の額に算入されない主な租税公課等」に掲げる租税公課等については損金の額に算入されません。(国税庁タックスアンサーNo.5300)

ポイント

原則は損金、例外が損金不算入です。例外の顔ぶれさえ覚えれば整理がつきます。

納付書の束を前に、どの税金が損金になるかを決算前に仕分けます
納付書の束を前に、どの税金が損金になるかを決算前に仕分けます

損金にならない税金の顔ぶれ

タックスアンサーNo.5300は、損金の額に算入されない主な租税公課等として次の4つを挙げています。

  • 法人税、地方法人税、都道府県民税および市町村民税の本税
  • 各種加算税および各種加算金、延滞税および延滞金(地方税の納期限の延長に係る延滞金は除きます)ならびに過怠税
  • 罰金および科料(外国またはその地方公共団体が課するものを含みます)ならびに過料
  • 法人税額から控除する所得税、復興特別所得税および外国法人税

本税が損金にならない根拠

法人税法38条は、法人税・地方法人税・住民税(道府県民税・市町村民税)の本税を損金に算入しないと定めています。住民税は損金になりませんが、事業税は損金になります。同条が挙げているのは住民税であって、事業税は入っていないためです。

加算税・延滞税・罰金が損金にならない根拠

法人税法55条は、延滞税・加算税・過怠税(4項)、罰金・科料・過料(5項)を損金に算入しないと定めています。業務に関連して生じたものであっても、損金にはなりません。隠蔽仮装行為に要する費用や、賄賂に相当する費用も同様です(同条1項・6項)。

源泉所得税は、控除を受ける分が損金不算入

源泉徴収された所得税は、法人税額から控除できます(法人税法68条1項)。法人税法40条は、この控除を受ける金額に相当する金額を損金に算入しないと定めています。

一番間違えやすい線引き ―― 延滞税と利子税

延滞税は損金になりませんが、利子税は損金になります。名前も納付先も似ていますが、扱いは正反対です。

地方税でも同じ分かれ方をします。延滞金は原則として損金になりませんが、納期限の延長に係る延滞金は損金になります。

(4)利子税・延滞金
国税の利子税や地方税の納期限の延長に係る延滞金は、納付した事業年度となります。
ただし、その事業年度の期間に対応する未納額を損金経理により未払金に計上したときは、その損金経理をした事業年度となります。(国税庁タックスアンサーNo.5300)

注意

通知書の名称を確かめないまま、まとめて租税公課に入れてしまうのが実務での落とし穴です。納付書や納税証明書に印字された名称を、一件ずつ確認してください。「延滞税」か「利子税」かで結論が変わります。

なお、損金にならない税金を費用に計上すること自体は誤りではありません。決算書では費用として並び、申告書で加算して所得を計算します。加算し忘れれば所得が過少になり、逆に加算しすぎれば納めなくてよい税金を納めることになります。どちらも適正申告から外れます。

いつの期の損金になるか ―― 4つの方式

損金になる税金も、「どの事業年度の損金か」が残っています。タックスアンサーNo.5300と法人税基本通達9-5-1は、税金の課され方によって4つに分けています。

方式代表例原則の時期
申告納税方式事業税、事業所税、酒税納税申告書を提出した事業年度
賦課課税方式固定資産税、都市計画税、不動産取得税、自動車税賦課決定のあった事業年度
特別徴収方式ゴルフ場利用税、軽油引取税納入申告書を提出した事業年度
利子税・納期限の延長に係る延滞金納付した事業年度

申告納税方式・特別徴収方式は、更正または決定があった場合、その事業年度になります。

9-5-1 法人が納付すべき国税及び地方税(法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されないものを除く。)については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める事業年度の損金の額に算入する。
(1) 申告納税方式による租税 納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日…の属する事業年度とし、更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度とする。(法人税基本通達9-5-1)

「損金経理」とは、決算でその金額を費用または損失として処理しておくことです。あとから申告書の上だけで動かすことはできません。

どの事業年度の損金にするかは、決算を組む前に決めておく必要があります
どの事業年度の損金にするかは、決算を組む前に決めておく必要があります

事業税は1年ずれます ―― 前期分を当期の損金にできる特例

事業税は申告納税方式です。原則は納税申告書を提出した事業年度の損金になるため、当期分の事業税は当期の損金になりません。申告書の提出が翌期になるからです。

そのうえで、次の特例があります。

当該事業年度の直前の事業年度分の事業税及び特別法人事業税の額については、9-5-1にかかわらず、当該事業年度終了の日までにその全部又は一部につき申告、更正又は決定がされていない場合であっても、当該事業年度の損金の額に算入することができる。(法人税基本通達9-5-2)

タックスアンサーNo.5300も同じ取扱いを示しています。前期分は当期に落とせるということです。

数字で確かめる

一定の前提を置いた目安であり、実際の税額は所得の水準や適用される税率によって変わります。ここでは法人の税負担を所得の30パーセントと仮定します。

項目①前期分を落とさなかった場合②前期分を当期の損金にした場合
前期分の事業税等の損金算入800,000円
課税所得6,000,000円5,200,000円
税額(30パーセントと仮定)1,800,000円1,560,000円

差は240,000円です。ただし税金が消えたわけではなく、落とし忘れれば翌期の損金になるだけです。事業税は毎期1年分ずつずれて損金になっていきますので、損金の総額は変わりません。変わるのはどの期に効くかです。

利益が大きく振れる会社では、赤字の期と黒字の期をどうならすかという論点にもつながります(会社の赤字は10年間使えます 欠損金の繰越控除と、前期の法人税が戻る繰戻し還付)。

固定資産税は、損金にする期を選べます

固定資産税・都市計画税・不動産取得税・自動車税などは賦課課税方式です。役所が税額を計算して通知してくる税金です。

原則は賦課決定のあった事業年度です。ただし、ここに例外があります。

不動産取得税、自動車税、固定資産税、都市計画税などの賦課課税方式による租税については、賦課決定のあった事業年度となります。
ただし、納期の開始の日の属する事業年度または実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度となります。(国税庁タックスアンサーNo.5300)

つまり3つの中から選べます。賦課決定基準、納期開始基準、納付基準です。

数字で確かめる

年税額1,200,000円の固定資産税が4回の納期に分割され、当期中に3回分を納付し、4回目が翌期になった場合です。

選んだ基準当期の損金翌期に回る分
賦課決定のあった事業年度(原則)1,200,000円0円
納期の開始の日の属する事業年度900,000円300,000円
実際に納付した日の属する事業年度900,000円300,000円

差は300,000円。税負担を30パーセントと仮定すれば、税額への影響は90,000円です。

ポイント

帳簿の付け方が結論を決めます。会社の決算で費用として処理していることが前提で、あとから申告書の上だけで動かすことはできません。一度選んだ基準は毎期そろえて使うのが基本です。

未払計上をどこまで認めてもらえるかという発想は、決算賞与の未払計上の考え方とも通じます。

通知書の名称と納期を一件ずつ確かめることが、租税公課の整理の出発点です
通知書の名称と納期を一件ずつ確かめることが、租税公課の整理の出発点です

決算の前に確認したい6点

ここまでを、決算の作業手順に並べ直します。

  • 租税公課の内訳を一件ずつ開く。科目の合計だけでは判断できません
  • 損金にならないものを拾い出す。法人税・住民税の本税、加算税・延滞税、罰金・科料・過料です
  • 延滞税と利子税を取り違えていないか確かめる。納期限の延長に係る延滞金かどうかを通知書で確認します
  • 前期分の事業税・特別法人事業税を当期の損金に入れたかを確かめる。毎期のチェック項目にしておくと確実です
  • 賦課課税方式の税金をどの基準で処理したかを記録する。賦課決定・納期開始・納付のどれで損金経理したかです
  • 源泉徴収された所得税を法人税額から控除するかを決める。控除を受ける金額に相当する金額は損金になりません

どの基準を選ぶのが望ましいかは、その期の利益や決算期と納期の関係で変わり、設計は個社ごとに異なります。決算日を過ぎると動かせないことも多いため(決算前3か月にできる法人の決算対策4つ 効果と、その限界)、租税公課の処理も決算を組む前が勝負どころです。

租税公課の取扱いについて小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

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よくある質問(FAQ)

Q1. 会社が納めた税金のうち、経費にならないものを教えてください。

損金にならないのは、①法人税・地方法人税・住民税の本税、②加算税・加算金、延滞税・延滞金(地方税の納期限延長分を除く)・過怠税、③罰金・科料・過料、④控除を受ける所得税等です(法人税法38条・40条・55条)。これら以外の事業税・固定資産税などは原則として損金になります。

Q2. 延滞税は経費にならないと聞きましたが、利子税も同じですか?

いいえ、正反対です。延滞税は損金になりませんが、利子税は損金になります。地方税の延滞金も原則は損金になりませんが、納期限の延長に係る延滞金は損金になります。通知書に印字された名称を一件ずつご確認ください。

Q3. 当期分の事業税は、当期の決算で経費にできますか?

当期分はできません。事業税は申告納税方式のため、納税申告書を提出した翌期の損金になるからです。ただし前期分の事業税・特別法人事業税は、申告前でも当期の損金にできます(法人税基本通達9-5-2)。落とし忘れに注意してください。

Q4. 固定資産税は、通知が来た期に全額を経費にしなければいけませんか?

いいえ、選択できます。原則は賦課決定のあった事業年度ですが、納期の開始の日または実際に納付した日の属する事業年度に損金経理をすれば、その事業年度の損金にできます。決算で費用処理していることが前提です。

免責事項

本記事は令和8年9月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。本記事は、法人が納付する租税公課について、損金の額に算入されない主なものの範囲と、損金になる租税をどの事業年度の損金とするかという基本的な枠組みを扱っています。加算税や延滞税の税率、それらが課される要件、法人の実効税率、消費税の経理方法と損金算入時期、法人税額から控除する所得税額の具体的な計算方法、外国税額控除の仕組み、欠損金の繰越控除や繰戻し還付の要件、中間申告と納付の手続、納税の猶予や換価の猶予、および個人事業主の所得税における租税公課の取扱いについては、本記事では扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、税負担を所得の30パーセントと仮定した単純化した試算です。実際の税額は所得の水準や適用される税率、自治体が定める納期によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

決算を組む前に、租税公課の内訳を一緒に見直しませんか

租税公課は、科目の合計を見ているだけでは判断できません。損金にならない本税や延滞税が混ざっていないか、逆に損金になる利子税や納期限の延長に係る延滞金まで加算していないか、前期分の事業税・特別法人事業税を当期の損金に入れ忘れていないか。固定資産税をどの基準で損金経理するかも、決算を組む前でなければ選べません。決算期と納期の関係、今期の利益の見通し、来期に予定している設備投資をお聞かせいただければ、内訳の分け方から記録の残し方まで整理してお伝えします。代表税理士が直接ご対応します。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者6,500人超)。

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