この記事の答え
- 連絡は調査とは限りません。まず調査か行政指導かを担当者に確かめます
- 期限内に申告した人が行政指導で自主的に修正すると、過少申告加算税はかかりません
- 例:期限内申告で不足30万円の加算税は自主修正で0円、調査の後は原則3万円が目安です(延滞税は別)
電話や文書の連絡は、調査か行政指導かをまず確かめます
税務署から「申告内容を確認してください」と、電話や文書で連絡が来ることがあります。この連絡には、税務調査のほかに、行政指導(申告を自分で見直すお願い)もあります。
最初にすることは、どちらの連絡かを担当者に確かめることです。行政指導の段階で自主的に修正すれば、上乗せの税金(過少申告加算税)はかかりません。ただし、最初の申告が期限内の場合です。

国税庁の資料では、担当者は具体的な手続に入る前に、調査か行政指導かを明示することとしています。対面、電話、書面のどの形でも同じです。
電話や文書だから調査ではない、とは言い切れません。税務署は、訪問しない形で調査を行うこともあるからです。
行政指導と調査では、応じる義務と加算税が違います
行政指導は、自発的な見直しをお願いするものです。税務署が持つ情報や申告書の審査から、誤りが疑われるときに行われます。調査は、税額などを決める目的で、質問や帳簿の検査をするものです。
行政指導(見直しのお願い)
- 応じるかは任意です
- 自主的な修正申告に、過少申告加算税はかかりません
税務調査
- 正当な理由なく帳簿の提示や提出を拒むと、罰則が科されることがあります
- 修正申告の過少申告加算税は、訪問する調査の事前通知の後が原則5%、調査を受けた後が原則10%です
加算税は、最初の申告が期限内の場合です。どちらも、延滞税(利息にあたる税金)がかかる場合があります。
計算例
例:期限内に申告した会社員Aさんの税金が、30万円少なかった場合
行政指導を受けて自主的に修正:加算税0円調査の事前通知の後に修正:30万円×5%=1万5千円調査を受けた後に修正:30万円×10%=3万円不足が50万円以下で、割合が上がる部分がない前提の目安です。5%は、調査で税額を正されると予想する前に出した場合です。延滞税は別です。
最初の申告が期限後申告だった人は別です(申告義務のない人の還付申告は除きます)。行政指導に基づいて自主的に修正しても、無申告加算税という別の上乗せの税金が原則5%かかります。調査の流れは、税務調査が来たときの記事で解説しています。
見直しに応じるときは、資料を確かめて手続を選びます

言われた内容をそのまま直さず、まず申告書と当時の資料を見比べます。誤りと決まったわけではないからです。
- 連絡のあった年分と項目を確かめる
- 申告書と当時の資料を見比べる
- 誤りの向きで、手続を選ぶ
- 書類を提出し、税金があれば納める
手続は、誤りの向きで決まります。
- 税金が少なかった、還付が多かった人は、修正申告(申告のやり直し)をします。
- 税金が多かった、還付が少なかった人は、更正の請求(減額を求める手続)ができる場合があります。原則として法定申告期限から5年以内です。
- 誤りがなかった人は、修正申告を出す必要はありません。資料をもとに担当者へ説明します。
修正申告で新たに納める税金は、提出する日が納期限です。納付の日までの延滞税も、あわせて納めます。書類の作り方と延滞税は、確定申告を間違えたときの記事で解説しています。
放置しても誤りは消えず、加算税がかかることがあります

行政指導に応じる義務はありませんが、放置しても申告の誤りは消えません。税務署は、調査の結果と申告が異なるときに、税額を正す処分(更正)ができます。できる期間は、原則として法定申告期限から5年です。
期限内に申告した人が更正を受けると、新たに納める税金に過少申告加算税が原則10%かかります。国税庁も、誤りを把握したらできるだけ早く修正申告をするよう案内しています。
注意
Bさん:期限内に申告した後、副業の収入の記載漏れを尋ねる文書を放置しました。調査を受けて更正されると、自主的に直せばかからなかった加算税がかかります。
Cさん:医療費控除を電話で聞かれ、領収書を確かめずに控除を外す修正申告を出しました。対象だったと後で分かると、更正の請求で直すことになります。
確認まではご自身で、その先は個別判断です

ご自身で進められるのは、連絡の内容の確認と、申告書と資料の見比べまでです。次のようなときは、個別判断です。
- 調査か行政指導か、説明を聞いてもはっきりしない
- 指摘の内容が、控除や経費に当たるかどうかの問題である
- 同じ誤りが、ほかの年にもありそうである
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会社員の医療費控除を直す修正申告1年分の例です。単価は、給与所得、医療費控除、その他控除セットが各6,000円です。基本料金を足すと50,000円(税別)です。65,000円に満たないので、最低料金の65,000円(税込71,500円)になります。一定の前提を置いた目安です。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 電話の相手が本当に税務署か不安です。どうすればよいですか?
不審に思ったら即答を避け、相手の所属部署・氏名・電話番号を確かめて、いったん切ります。そのうえで最寄りの税務署の総務課などに問い合わせます。文書は、原則として税務署名などが印字された封筒で届きます(国税庁の注意喚起)。
Q2. 税務署の連絡に応じないと、罰則はありますか?
行政指導は任意の協力で行うもので、従わなかったことを理由に不利益な扱いをしてはならないと行政手続法に定められています。ただし誤りが残れば更正され、加算税がかかることがあります。調査の質問に答えない場合などは、罰則の対象になることがあります。
Q3. 見直したら、税金を納めすぎていました。どうすればよいですか?
更正の請求ができる場合があります。期間は原則として法定申告期限から5年以内です。所得や控除が変わっても、最終的な税額や純損失の金額が変わらないときは、更正の請求はできません。
Q4. こうした連絡は、どのくらいありますか?
国税庁の統計では、原則として訪問せず、文書や電話などで申告内容を是正する「簡易な接触」は、所得税で令和6事務年度に68万9千件でした。この連絡だけの件数ではなく、減額の手続や書類の提出依頼なども含みます。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。国税通則法19条・23条・24条・35条・60条・65条・66条・70条・74条の2・74条の9・74条の11・74条の14・128条、行政手続法2条6号・32条、国税通則法第7章の2(国税の調査)等関係通達1-1・1-2、「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」、「申告所得税及び復興特別所得税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」、国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問2・問3・問22、タックスアンサーNo.2026「確定申告を間違えたとき」、「国税庁をかたった偽メールにご注意ください」、「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」、弊所の料金表の内容を扱っています。記事は所得税を前提とし、消費税などほかの税目、税務署の文書の様式と回答の期限、事前通知の後の調査の進み方、訪問しない調査で加算税の割合が変わる時点の細目、重加算税、不正があるときの更正の期間、帳簿の提示に関する加算税の加算、無申告加算税の細目、新たに納める税金が多いときに過少申告加算税の割合が上がる部分(10%・15%)、延滞税の割合と計算期間の特例、住民税・事業税への影響、確定申告書等作成コーナーの操作は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は個別の事情によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」(問2・問3・問22)https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm
- 国税庁「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/sonota/120912/index.htm
- 国税庁「第1章 法第74条の2~法第74条の6関係(質問検査権)」(国税通則法第7章の2(国税の調査)等関係通達1-1・1-2)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/01.htm
- 国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
- 国税通則法(19条・23条・24条・35条・60条・65条・66条・70条・74条の2・74条の9・74条の11・128条)https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066
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