この記事のポイント
- 耐用年数は発電した電気の使い道で決まり、工場の自家用なら主な製品の業種で判定します
- 期の途中で使い始めたら月割りで、1か月未満の端数は1か月と数えます
- 40万円未満の特例は1台・1基など取引の単位で判定します(令和8年4月1日以後の取得等)
- 経営強化税制は売電見込みが発電量の2分の1超なら対象外。償却資産の申告も要ります
まず結論:太陽光発電設備の耐用年数は、発電した電気の使い道で決まります
太陽光発電設備を買うと、まず耐用年数(何年に分けて経費にするか)を決めます。
国税庁の質疑応答事例には、工場で使う電気の設備を9年とした例があります。
一方、別表第二の電気業用設備の「その他の設備」では、主として金属製のものは17年です。
「太陽光は17年」と決め打ちせず、電気の使い道から区分を確かめます。

耐用年数は「どの業種の設備として使うか」で判定します
結論として、工場で使う電気なら、主な製品の業種の設備として判定します。
パネルやパワーコンディショナー(電気を変換する装置)などが一体で発電する設備です。
国税庁は、一般に「機械及び装置」に分類されると考えられるとしています(質疑応答事例)。
業種の区分は使い方で決め(耐用年数通達1-4-2)、自家用の発電設備には次の定めがあります。
次に掲げる設備のように、その設備から生ずる最終製品を専ら用いて他の最終製品が生産等される場合の当該設備については、当該最終製品に係る設備ではなく、当該他の最終製品に係る設備として、その使用状況等から1-4-2の判定を行うものとする。
(1) 製造業を営むために有する発電設備及び送電設備
(耐用年数の適用等に関する取扱通達1-4-5)
| 電気の使い道 | 区分の考え方 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 工場で使う(自動車製造業の例) | 輸送用機械器具製造業用設備 | 9年 |
| 全量を売る | 電気業の用に供する設備と考えられる | 17年 |
| 自社で使い、余りを売る | 使い方の実態で判定 | 個別判断 |
自社で使う電気と売る電気が混ざる設備は、使い方の実態で判定する個別判断です。
通達の解説は、「専ら」は100%を求めないとし、製造業以外の自家用設備も同様に扱うとしています。
償却方法は選べ、期の途中で使い始めると月割りです
結論として、初年度に経費にできる額は、償却方法と使い始めた月で変わります。
機械及び装置は、定額法(毎年同じ額)か定率法(初めほど多い額)を選べます。選ばなかったときは定率法です(法人税法施行令48条の2第1項2号・53条)。
期の途中で使い始めたら月数で按分し、1か月未満は1か月と数えます(同令59条)。
計算例
例:3月決算の会社が1,200万円の設備を令和8年10月15日から使う(定率法)
月数 10月15日〜3月31日は5か月と17日 → 6か月 17年の区分 12,000,000円 × 0.118 × 6/12 = 708,000円 9年の区分 12,000,000円 × 0.222 × 6/12 = 1,332,000円 17年で3月25日から使った場合 12,000,000円 × 0.118 × 1/12 = 118,000円金額は一定の前提を置いた目安です。償却率は耐用年数省令の別表第十の値です。
普通償却では、期末の月に使い始めると、その期に経費にできるのは1か月分です。
40万円未満の特例は「1台・1基」などの単位で判定します
結論として、40万円未満かどうかは「通常1単位として取引される単位」で判定します。
中小企業者等は、40万円未満の資産を使い始めた期に全額損金にできます(租税特別措置法67条の5)。損金経理と明細書の添付が条件です。
この40万円は、令和8年4月1日以後の取得等の基準です。青色申告・従業員400人以下などの要件と年300万円の上限があり、令和11年3月31日までです。
判定の単位は、機械及び装置なら1台または1基ごとです(措置法関係通達67の5-2)。単体で機能しないものは、組み合わせた単位で判定するのが国税庁の例示です(No.5403)。
設置工事費も取得価額に含め、見積書の合計で確かめます(法人税法施行令54条1項1号)。
ポイント
送配電網につなぐ連系工事負担金は、設備の取得価額に含めません。国税庁の事例は、繰延資産(効果が長く続く支出)として15年で償却してよいとしています。受給期間など合理的な期間でもよく、20万円未満なら支出した期に損金経理で全額を損金にできます。

特別償却・税額控除は、売電の割合で使えないことがあります
結論として、中小企業経営強化税制は、販売を見込む電気が発電量の2分の1を超える設備には使えません。
中小企業投資促進税制も含め、指定事業に電気業は含まれません(中小企業庁)。
全量売電の場合には、電気業の用に供する設備になると考えられます。
(中小企業庁「中小企業経営強化税制 Q&A集」共-23)
一部を売る設備もこの割合で判定します(共-24)。全量を自社で使う設備も、認定申請時に報告書が要ります(同庁の手引き)。
認定を受けてから設備を取得するのが原則の流れです(共-28)。両制度の指定期間は令和9年3月31日までです(租税特別措置法42条の6・42条の12の4)。
制度の違いや率は設備投資の2つの税制の記事で解説しています。
注意
認定の前に設備を取得すると、取得から60日以内の申請と、その事業年度内の認定が条件です。D類型・E類型は認定後の取得が必要です(共-33)。
売電収入は益金になり、設備は償却資産として申告します
結論として、売電の収入は益金(法人税の計算上の収入)です(法人税法22条2項)。設備には固定資産税もかかります。
事業に使う設備は、原則として固定資産税の償却資産です。毎年1月1日現在で、1月31日までに市町村長へ申告します(地方税法383条)。
水戸市は、法人の設備は発電出力や売電の方式にかかわらず申告の対象と案内しています。屋根材と一体のパネルは家屋に含めます(東京都主税局の区分表)。
償却資産の免税点は、令和9年度分から150万円が180万円に上がります。
免税点は、同じ市町村にある自社の償却資産の課税標準額の合計で判定します。合計がこの額未満なら課税されません(地方税法351条、令和8年法律第2号附則14条2項)。水戸市は、免税点未満でも毎年の申告が要るとしています。
固定資産税を軽くする再エネ設備の特例もあります(地方税法附則15条24項)。令和8年4月1日以後の取得分で、太陽光の対象は次世代型太陽電池などです。
申告の考え方は償却資産の申告の記事にまとめています。

避けたい失敗:年数の決め打ちと、税金だけを見た発注
結論として、次の4つは発注の前に確かめることで防げます。
- 耐用年数を決め打ちする ― 長すぎれば初年度の経費が減ります。短すぎれば、限度額を超えた部分が損金になりません(法人税法31条1項)。
- 「節税になる」とだけ聞いて決める ― 代金は先に払います。定率法で前倒ししても、償却の合計は取得価額から1円を引いた額までです(法人税法施行令61条)。
- 要件を確かめずに発注する ― 売電の割合や認定の順序で、経営強化税制が使えなくなることがあります。
- 期末に駆け込む ― 設置だけで使っていない資産は、償却の対象外です(法人税法施行令13条)。
償却で税金が軽くなる額は、償却費に税率を掛けた分にとどまります。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
発注の前に、ご自身でそろえられるのは次の4点です。
- 見積書を、パネル・パワーコンディショナー・架台・工事費・連系工事負担金に分けてもらう
- 発電した電気を自社で使う量と売る量の見込みを、月ごとに書き出す
- 使い始める予定日を、自社の決算月と並べて確かめる
- 設置する場所の市町村の、償却資産の申告の案内を確かめる
ここから先は個別判断です。使い道が混ざる設備の区分や制度の適用は、事実で結論が分かれます。

税理士が入ると変わるのは、区分の根拠と数期分の試算です
小松公認会計士・税理士事務所では、発注の前から次の作業を行います。
ひとつめは見積書の区分です。取得価額、繰延資産、その期の費用に分けます。
ふたつめは耐用年数の判定です。電気の使い道を通達に当てはめ、根拠を書面に残します。
みっつめは、償却方法の選択と届出の確認です(法人税法施行令51条)。定率法・定額法・特別償却を並べ、数期分の資金繰りまで試算します。
よっつめは、経営強化税制の手続の順序と、売電の見込み割合の確認です。
いつつめは、法人税の申告書と償却資産の申告書への反映です。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 太陽光発電設備の耐用年数は、何年ですか?
一律ではありません。製造業の工場で使う電気の設備は、主な製品の業種の設備として判定します(耐用年数通達1-4-5)。国税庁の事例では、自動車製造業で9年です。全量を売る設備は電気業の用に供する設備と考えられ、主として金属製なら17年です。
Q2. 40万円未満の少額減価償却資産の特例は使えますか?
中小企業者等が令和8年4月1日以後に取得等をした40万円未満の資産が対象です。年300万円まで、令和11年3月31日までで、従業員数などの要件があります。判定は1台・1基など通常1単位として取引される単位で行います(措置法関係通達67の5-2)。
Q3. 中小企業経営強化税制で、太陽光発電設備を即時償却できますか?
全量を売る設備は電気業の用に供する設備と考えられ、対象外です(中小企業庁Q&A集 共-23)。一部を売る設備も、販売を見込む電気が発電量の2分の1を超えると対象外です(共-24)。認定後に取得するのが原則で、指定期間は令和9年3月31日までです。
Q4. 会社の太陽光発電設備に、固定資産税はかかりますか?
事業に使う設備は、原則として償却資産です。毎年1月1日現在の状況を、1月31日までに市町村へ申告します(地方税法383条)。水戸市は、法人の設備は出力や売電の方式にかかわらず申告の対象としています。免税点は市町村ごとの課税標準額の合計で判定します。令和9年度分から180万円です(令和8年度分までは150万円)。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第二・別表第十、耐用年数の適用等に関する取扱通達1-4-2・1-4-5とその解説、法人税法22条2項・31条1項、法人税法施行令13条・48条の2・51条・53条・54条・59条・61条・134条、租税特別措置法42条の6・42条の12の4・67条の5、同法施行令39条の28、措置法関係通達67の5-2、国税庁タックスアンサーNo.5403・No.5408、国税庁の質疑応答事例「風力・太陽光発電システムの耐用年数について」「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」「太陽光発電設備の連系工事負担金の取扱いについて」、中小企業庁「中小企業経営強化税制 Q&A集」「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き(令和8年4月1日版)」、地方税法351条・383条・附則15条24項、地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号)附則14条2項、地方税法施行規則附則6条、水戸市と東京都主税局の公表資料を扱っています。自家消費と売電が混ざる設備の具体的な区分と年数、製造業以外の会社が自家消費する設備の年数、架台や囲いなどの構築物との区分、屋根材一体型パネルの法人税での扱い、中古設備・リース・補助金(圧縮記帳)の扱い、耐用年数の短縮、特別償却・税額控除の率と計算と手続の詳細、中小企業投資促進税制での発電設備の扱いの細目、特定生産性向上設備等投資促進税制とカーボンニュートラルに向けた投資促進税制、消費税(設備の仕入税額控除・売電収入の課税)、個人の売電収入、売電収入の計上時期、償却資産の評価額と税額の計算、再エネ設備の課税標準の特例の要件の細目と申請手続、市町村ごとの運用の違い、法人税等の税額の計算は扱っていません。記事中の計算例は、3月決算の会社が1,200万円の設備を定率法で償却する前提の目安です。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 質疑応答事例「風力・太陽光発電システムの耐用年数について」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/05/12.htm
- 国税庁 耐用年数の適用等に関する取扱通達「第4節 機械及び装置関係共通事項」(1-4-2〜1-4-5)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/01/01_04.htm
- e-Gov法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(別表第二・別表第十)https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015
- 国税庁 タックスアンサー No.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm
- 中小企業庁「中小企業経営強化税制 Q&A集(ABDE類型共通)」https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/pdf/kyokaqanda.pdf
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太陽光発電設備の耐用年数は、発電した電気を自社で使うか売るかで区分が変わります。中小企業経営強化税制は、販売を見込む電気が発電量の2分の1を超える設備には使えません。代表税理士が、見積書の区分と耐用年数の判定から対応します。数期分の試算、制度の手続の順序、償却資産の申告まで通して担当します。発注や契約の前の段階でご相談ください。
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