この記事のポイント
- 国民年金と国民健康保険料は、原則としてその年に実際に払った額が控除です
- 1年以内の前納と2年前納は、全額を払った年か各年に分けるかを選べます
- 家族の分は、生計を一にする親族の分に限り、実際に払った人の控除です
- 国民年金は証明書などが必要です。国民健康保険料は原則として添付不要です
まず結論:控除は原則として「払った年」に「払った人」が受けます
国民年金と国民健康保険料は、社会保険料控除(払った保険料を所得から差し引く制度)の対象です。
控除できるのは、その年に実際に払った金額の全額です(No.1130)。
ただし前納(先の分をまとめて払うこと)は、控除する年を選べる場合があります。
確かめるのは、いつ払ったか、誰が払ったか、書類がそろうかの3つです。

12月31日までに払った分が、原則として令和8年分の控除です
控除の年は、どの月の保険料かではなく、実際に払った日で決まります。
本年中に払えば、過去の年分の国民年金でも本年分の控除です(No.1130 Q1)。
未納分は、納付期限から2年以内なら納付できます(日本年金機構)。
免除や猶予の期間の追納(後から納めること)も、控除の対象です。
現実に払っていない分は含まれません(所得税基本通達74・75-1)。
口座振替は、振替日が12月31日に当たると、翌月最初の金融機関等の営業日に動きます(日本年金機構)。
引落しが1月になった分は、令和9年に払った分です。金額は月数で計算せず、通帳と証明書で確かめます。
ポイント
納付書なら、任意の月分から当年度末か翌年度末まで前納できます(日本年金機構)。12月31日までに払えば、令和8年分の控除に入れられます。前納用の納付書が要るため、年金事務所へ早めに問い合わせます。
年末の打ち手の全体は個人事業主が年末にやることの記事をご覧ください。
前納は「全額を払った年」か「各年に分ける」かを選びます
1年以内の前納や2年前納は、全額を払った年か各年に分けて控除します(No.1130 Q2・Q3)。13か月以上の前納も、同じように選べます(日本年金機構)。
全額を選ぶと、翌年以降にその前納分は控除できません。
計算例
例:令和8年4月に、口座振替で2年前納の417,150円を払った場合(日本年金機構の例)
令和8年分 417,150円 × 9/24 = 156,432円(1円未満切上げ) 令和9年分 417,150円 × 12/24 = 208,575円 令和10年分 残りの52,143円令和8年分の税率が5%、令和9・10年分が20%のときに減る所得税
全額を令和8年分に 417,150円 × 5% = 20,857円 各年に分ける 156,432円 × 5% + 260,718円 × 20% = 59,965円控除の全額が各年の税率の区分に収まる前提です。復興特別所得税・防衛特別所得税と住民税は含めず、円未満を切り捨てています。
金額は一定の前提を置いた目安です。令和8年分の税率のほうが高ければ、全額を入れるほうが多く減ります。
どちらを選ぶかは、数年分の所得の見込みを並べて決めます。
注意
全額を入れる特例を使わずに申告すると、後から特例には変えられません。更正の請求(納めすぎた税金を直す手続き)でも同じです(所得税基本通達74・75-2)。決めるのは申告書を出す前です。
国民健康保険料は納め方が市区町村で違います。翌年の納期の分まで払ったときは、前納に当たるかを確かめます。
家族の分は、生計を一にする親族の分を払った人の控除です
対象は、自分と、生計を一にする配偶者その他の親族が負担すべき保険料です(所得税法74条1項)。
厚生年金に入らない個人事業主の配偶者は、第3号被保険者に当たりません(国民年金法7条1項3号)。
20歳以上60歳未満なら、原則として保険料が生じます。
生計を一にするとは、同居だけを指しません。修学などで別居でも、常に生活費や学資金の送金があれば当たります(No.1180のQ1)。
| 場面 | 控除を受ける人 | 根拠 |
|---|---|---|
| 生計を一にする配偶者や子の国民年金を事業主が払った | 払った事業主 | 所得税法74条1項 |
| 子が転居して生計が別になった後も親が払い続けた | 親。ただし生計を一にしていた間に払った分だけ | No.1130 Q4 |
| 家族の年金から天引きされた国民健康保険料や介護保険料 | 年金を受け取る本人 | No.1130 Q5 |
国民年金で生計を一にするかは、払った時点で判定して差し支えありません(No.1130 Q4)。
親族の所得の基準は、この条文にありません。扶養の基準は扶養控除・配偶者控除の記事をご覧ください。

国民健康保険料は、世帯の合計額から負担した人の分を考えます
控除を申告できるのは、世帯主とは限らず、実際に払った人です(東京都中央区・新潟市)。
市区町村の国民健康保険料や保険税は、世帯主に請求されます(国民健康保険法76条1項など)。
そのため案内は世帯の合計額で、世帯員ごとの内訳は示されません(豊島区・墨田区)。
東京都中央区は、納付書払いは納付した本人、口座振替は名義人、年金天引きは受給者本人と案内しています。
国民健康保険料は、所得税法120条3項1号の証明書の対象ではありません。
市区町村も、原則として添付は不要と案内しています(豊島区・墨田区)。
領収書や通帳で1月から12月の額を合計し、保管します。
証明書は、届く時期と届く先を押さえて集めます
国民年金は、証明書の添付か提示が要ります(No.1130)。
控除証明書は、納付した被保険者本人あてに届きます(日本年金機構)。
家族の分を払った人は、家族あての証明書を預かります。
| 時期(令和8年分) | すること |
|---|---|
| 10月下旬〜11月上旬 | 1月から9月に納付した人の証明書(書面)が届く |
| 12月31日まで | 未納分・追納分・前納分を払い終え、領収証書を保管する |
| 令和9年2月 | 10月から12月に初めて納付した人の証明書(書面)が届く |
13か月以上の前納をした年は、各年に分けた証明書が最大3年分3枚届きます。
全額を控除するなら全部を使い、各年に分けるならその年の1枚を使います。
残りの証明書は、翌年以後の申告で使うため保管します。
証明書の発行後に納めた分は、領収証書を添えて証明書の額に合算します。紛失したら、ねんきんネットなどで再発行を申請できます。
補足
証明書に代えて、一定の明細書も添付できます(No.1130)。令和9年1月1日以後に出す令和8年分以後の申告書が対象で、証明書は5年間保管します(日本年金機構)。家族の証明書のマイナポータル連携には、代理人の登録が要ります(国税庁)。

間違えると、控除の漏れや申告の直しにつながります
確かめたいのは次の4つです。
- 国民年金や国民健康保険税を経費に入れる ― 必要経費になりません(国税庁の収支内訳書の書き方)。
- 家族の証明書を集めずに申告する ― 払った家族の分の控除が漏れます。
- 同じ保険料を親と子の両方の申告に入れる ― 控除できるのは実際に払った人だけです。
- 2年前納を各年に分けた翌年に入れ忘れる ― 納付がない年は新しい証明書が届きません。保管した証明書で申告します。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身で整えられるのは、次の3つです。
- 家族ごとに、誰の口座や現金で払ったかを書き出す
- 1月から12月に実際に払った額を、証明書・領収書・通帳で合計する
- 前納の有無と、前回の申告で全額と分割のどちらを選んだかを確かめる
全額か分割かの選択と、別居の家族の生計の判定は個別判断です。
税理士に頼むと変わるのは、家族の分の整理と申告までの手間です
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。
- 必要な資料を一覧でお伝えします。資料はスマホで撮影してアップロードできます
- 誰がいつ払ったかをうかがい、前納と家族の分の控除を申告書に反映します
- 申告書の作成と電子申告での提出、納付または還付のご案内を行います
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。事業所得(売上300万円まで)39,000円と、その他控除セット6,000円を足します。合計は32,000円+39,000円+6,000円=77,000円(税込84,700円)です。消費税の申告がなく、記帳はご自身で行う前提です。計算例は一定の前提を置いた目安です。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
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よくある質問(FAQ)
Q1. 国民年金を2年前納しました。控除はいつ受けますか?
全額を払った年の控除にするか、各年の分を各年に控除するかを選べます(No.1130 Q3)。全額を入れる特例を使わずに申告すると、更正の請求でも使えません(所得税基本通達74・75-2)。申告書を出す前に決めます。
Q2. 妻や子の国民年金を払っています。私の控除にできますか?
生計を一にする配偶者や親族の保険料を実際に払ったなら、払った方の控除です(所得税法74条1項)。生計が別になった後に払った分は対象外です(No.1130 Q4)。国民年金は、家族あての控除証明書などが要ります。
Q3. 国民健康保険料の証明書は、確定申告に添付しますか?
所得税法120条3項1号が証明書を求める社会保険料は、国民年金の保険料と国民年金基金の掛金です。市区町村も、国民健康保険料は原則として添付不要と案内しています。ただし書類を求められることがあるため(豊島区)、領収書などを保管します。
Q4. 12月に過去の未納分を払えば、令和8年分の控除になりますか?
12月31日までに納付すれば、令和8年分の控除の対象です(日本年金機構、No.1130 Q1)。国民年金を納付できるのは、納付期限から2年以内です。追納は別の扱いです。令和9年に入ってから払った分は、令和9年分の控除です。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法74条1項・2項2号・5号、120条3項1号(令和9年1月1日施行の同条6項・7項を含む)、所得税法施行令262条1項2号、所得税基本通達74・75-1・74・75-2、国民年金法7条1項3号・93条、国民健康保険法76条1項、地方税法703条の4、タックスアンサーNo.1130「社会保険料控除」とそのQ&A・No.1180「扶養控除」のQ&A・No.2020「確定申告」・No.2260「所得税の税率」、国税庁の確定申告の手引き・収支内訳書の書き方・確定申告書等作成コーナー・マイナポータル連携の案内、日本年金機構の案内、東京都豊島区・墨田区・中央区、新潟市の案内、弊所の料金表の内容を扱っています。国民健康保険料の計算方法と上限額、延滞金、国民健康保険組合の保険料、市区町村ごとの納期と前納の制度、納付額の案内の時期、1年を超える国民健康保険料の前納、世帯主が国民健康保険の被保険者でない場合の扱い、夫婦で保険料を分けて申告する場合の金額の決め方、国民年金の免除・納付猶予・学生納付特例の申請、追納できる期間と加算額、付加保険料と国民年金基金の細目、前納した保険料が就職などで還付された場合の控除の扱い、クレジットカード払いの支払日の判定、健康保険の任意継続や厚生年金の保険料、年末調整での証明書の提出、住民税の申告、租税条約による相手国の社会保険料、青色事業専従者の給与、小規模企業共済とiDeCo、e-Taxでの証明書の扱いとマイナポータルの操作手順は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額は所得や控除の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「所得税法」(74条・120条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁 タックスアンサー No.1130「社会保険料控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1130「社会保険料控除」Q&Ahttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130_qa.htm
- 国税庁 所得税基本通達「法第74条《社会保険料控除》及び第75条《小規模企業共済等掛金控除》関係」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/16/02.htm
- 日本年金機構「令和8年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行について」https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/koujo/R8koujo/soufu.html
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