この記事の答え
- 金額が違うだけで誤りとは限りません。原因は年の区切り・消費税・共益費などです
- 法人に貸す個人の大家は、家賃などが年15万円超なら、借主が支払調書を税務署へ出します
- 例:月22万円・前月末払いの家賃は、貸し始めの年に数え方で22万円ずれることがあります(目安)
法人が個人の大家に年15万円超を払うと、支払調書を税務署へ出します
法人に事務所や店舗、社宅を貸す個人の大家には、税務署へ届く書類があります。借主の会社が年明けに出す「不動産の使用料等の支払調書」で、誰にいくら払ったかを知らせます。この金額と申告の金額は、同じになるとは限りません。原因には、年の区切り、消費税、共益費などがあります。

貸主が法人で、受け取るのが家賃だけなら対象外です。令和8年分の期限は、令和9年2月1日(月)です。
支払調書には、家賃のほか、礼金、更新料、返さない敷金なども載ります。社宅でも、契約の相手が会社なら、会社が家賃の全額を載せます。社員が一部を負担していても同じです。
写しが大家に届くとは限らないので、申告の金額は、契約書と入金の記録で確かめます。社長が自分の会社に貸す場合は、社長の自宅を会社に貸す記事をご覧ください。
金額がずれる原因は、年の区切り・消費税・共益費などです

1つめは、年の区切りです。支払調書に書くのは、その年中に支払が確定した金額で、未払の分も含みます。大家の申告も、契約や慣習で支払日が決まっていれば、原則としてその支払日の年の収入です。
計算例
例:令和8年10月からB社に事務所を貸したAさん
家賃は月22万円(本体20万円+消費税2万円)で、各月分を前月末までに払う契約です。令和8年中に払うのは、10月分から翌年1月分の4か月です。
22万円 × 4か月 = 88万円国税庁の質疑応答事例も、この形の契約の支払調書は4か月分としています。Aさんの収入も、原則として4か月分です。例は一定の前提を置いた目安です。
Aさんが「12月分まで」の3か月で数えると66万円で、翌年1月分の22万円が少なくなります。ただし、帳簿を備えて継続して記帳するなど、一定の要件を満たす大家は別です。貸していた期間に応じて計算でき、3か月分になります。
2つめは、消費税です。事務所や店舗の家賃は、消費税の課税の対象です。社宅など住宅の家賃は原則として非課税で、契約で住宅用と明らかなものなどに限られます。
支払調書は、原則として消費税込みの金額で書きます。明確に分かれていれば、税抜きで書き、消費税の額を別の欄に書くこともできます。大家の側は、消費税を納めなくてよい人は税込みで計算します。納める人は、税込みか税抜きかを選びます。
支払調書は税込みで書かれた場合です。税抜きの80万円は、消費税を納める大家が選べる計算で、差の8万円は消費税です。3か月分の66万円は税込みで、一定の要件を満たす大家が選べる計算です。
3つめは、共益費です。大家が受け取る共益費は、家賃と同じ考え方で収入に入ります。一方、国税庁の手引に、支払調書での共益費の説明は見当たりません。共益費が載っていない調書なら、申告のほうがその分だけ多くなります。
税金が少ない申告は修正申告が必要で、上乗せの税金がかかることもあります

金額が違うだけで、申告が誤りとは限りません。ただし、国税庁は支払調書などの資料を集めて、調査や指導に活用しています。差が出たら、理由を確かめてから申告します。
注意
支払日で計算する大家の場合、次の2つは誤りです。
Cさん:貸し始めの年に、12月末が支払日の翌年1月分を翌年に回しました。その年の収入が1か月分少なくなります。
Dさん:税抜きで計算するのに、税込みの支払調書の金額を写しました。収入が消費税の分だけ多くなります。
納める税金が少なかったときは、修正申告(申告のやり直し)をします。不足の税金と、利息にあたる税金を納めます。税務調査の事前通知の前に自主的に直せば、上乗せの税金(過少申告加算税)はかかりません。事前通知の後は新たに納める税金の原則5%、調査を受けた後は原則10%です。
納めすぎたときに減額を求める手続は、確定申告を間違えたときの記事で解説しています。
確認まではご自身で、その先は個別判断です

ご自身で進められるのは、契約書と入金の記録の確認までです。
ご自身で確かめること
- 契約書の支払日と家賃の額
- 1年分の入金の記録
- 礼金・更新料・共益費の受け取り
個別判断になること
- 貸していた期間に応じて計算できるか
- 消費税の申告の要否、税込みか税抜きか
- 社宅の家賃が非課税になるか
税理士に頼むと、契約書と入金明細から家賃を集計し、申告書の提出までを任せられます。小松公認会計士・税理士事務所では、代表(公認会計士・税理士)が最初から最後まで作成します。店舗・事務所の家賃の消費税の申告や、修正申告もお引き受けしています。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。会社員で物件は1つ、家賃収入は年300万円以下、消費税の申告と記帳代行はない前提です。内訳は、基本料金、家賃収入35,000円、給与所得6,000円、その他控除セット6,000円です。合計は79,000円(税別)で、税込では86,900円です。一定の前提を置いた目安です。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
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よくある質問(FAQ)
Q1. 支払調書の写しは、大家に届きますか?
届くとは限りません。所得税法に、借主が大家へ写しを渡す定めはありません。写しが届かなくても、申告が必要な人は、契約書と入金の記録で計算して申告します。
Q2. 管理会社が家賃を集金していても、支払調書は大家の名前で出ますか?
集金の代行なら、国税庁の資料では、支払を受ける人は物件の所有者である大家です。摘要の欄には、管理会社へ払っている旨を書きます。管理会社が借り上げて転貸する形は、別に確かめます。
Q3. 共有の物件では、支払調書はどうなりますか?
共有者ごとに作ります。15万円を超えるかの判定も共有者ごとです。持分が分からないときは、総額を書いた調書を共有者の数だけ作ります。この場合、調書の金額は持分の金額より大きくなります。
Q4. 借主の会社からマイナンバーを聞かれるのは、なぜですか?
税務署に出す支払調書に、支払を受ける人のマイナンバーを書く必要があるためです。支払調書の写しを大家に渡すときは、マイナンバーを書いて渡すことはできません。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法225条1項9号、所得税法施行令352条、所得税法施行規則90条、所得税基本通達36-5〜36-7、昭和48年11月6日付直所2-78、国税庁タックスアンサーNo.7441「「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲等」・No.1376「不動産所得の収入計上時期」・No.1370「不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」・No.6225「地代、家賃や権利金、敷金など」・No.6226「住宅の貸付け」・No.6375「税抜経理方式または税込経理方式による経理処理」・No.6909「税抜経理と税込経理の選択適用(個人の場合)」・No.2026「確定申告を間違えたとき」・No.9205「延滞税について」、質疑応答事例《法定調書》の「前払家賃の記載方法」ほか6件、「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」、国税庁レポート2026、弊所の料金表の内容を扱っています。貸主が法人の場合、大家が非居住者の場合、支払日の定めがない場合、支払調書の提出漏れや訂正、借主の会社の経理と消費税の控除、貸していた期間に応じて計算する要件の細目、収入と費用を現金で計算する特例、礼金・更新料・敷金を収入に入れる時期の細目、消費税の納税義務の判定と申告、確定申告が必要かどうかの判定、必要経費と減価償却、管理会社が借り上げて転貸する形、帳簿に関する加算税の加算、新たに納める税金が多いときに過少申告加算税の割合が上がる部分(10%・15%)、無申告の場合の加算税、延滞税の割合は扱っていません。支払調書に共益費を載せるかどうかは、国税庁の手引に説明が見当たらないため、結論を示していません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は契約の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁「No.7441 「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲等」(所得税法225条・所得税法施行令352条・所得税法施行規則90条)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7441.htm
- 国税庁 質疑応答事例「前払家賃の記載方法」(所得税法施行規則90条1項2号)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hotei/4/03.htm
- 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebiki2026/index.htm
- 国税庁「No.1376 不動産所得の収入計上時期」(所得税基本通達36-5〜36-7)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1376.htm
- 国税庁「No.6375 税抜経理方式または税込経理方式による経理処理」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6375.htm
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