この記事のポイント
- 会社案内などのページは納品を受けた期の費用が原則です
- 予約・決済などの機能はソフトウエアとして5年で償却する資産になり得ます
- 中小企業者等の特例は令和8年4月1日以後の取得分から40万円未満です(要件あり)
- 公開後の改修は機能の追加・向上なら資本的支出、障害の除去なら修繕費が原則です
まず結論:ページの制作費は納品を受けた期の費用が原則、機能のプログラムは資産になり得ます
会社案内や商品紹介のページは、広告宣伝のための費用です。期末までに納品を受ければ、その期の損金(税金の計算で差し引ける費用)が原則です。
予約・決済・会員管理などのプログラムの機能は、ソフトウエアに当たり得ます。自社のサイトで使うソフトウエアは、原則として5年かけて償却する資産です。
発注の前に、見積書を「ページの制作」と「機能のプログラム」に分けてもらうことが出発点です。
補足
令和8年10月9日に、国税庁の質疑応答事例(法人税)の目次を確認しました。ホームページの制作費の事例は見当たらず、本記事は条文と通達に当てはめています。

原則は「債務が確定した期の費用」で、例外が資産です
費用は、期末までに支払う義務が確定した期の損金になります。
前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
(法人税法22条3項2号)
債務の確定は、期末までに次の3つがそろうことです(法人税基本通達2-2-12)。
- 債務が成立していること
- 具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
- 金額を合理的に算定できること
納品前に払った着手金は、2つめを満たさず、その期の費用にならないことがあります。
例外は、何年かに分けて損金にする減価償却資産と繰延資産です(法人税法2条23号・24号)。繰延資産は、支出の効果が1年以上に及ぶ費用のうち政令で定めるものです。
| 部分 | 例 | 扱い |
|---|---|---|
| 情報を載せるページ | 会社案内・商品紹介 | 債務が確定した期の費用が原則 |
| プログラムの機能 | 予約・決済・会員管理 | ソフトウエアに当たり得る(5年・定額法) |
| 継続的な役務 | サーバーの利用料・保守料 | 役務を受けた期の費用 |
どの部分が資産に当たるかは、見積書の内訳と機能の中身で判断します。
予約・決済などのプログラムがソフトウエアなら、5年で償却します
ソフトウエアは、減価償却資産のうちの無形固定資産です(法人税法施行令13条8号ヌ)。
自社のサイトで使う機能は、耐用年数5年の「その他のもの」です(耐用年数省令別表第三)。償却の方法は定額法です(法人税法施行令48条の2)。
償却は公開して使い始めた日からで、期の途中なら月割です(同令13条・59条)。
計算例
例:3月決算の会社。ページ600,000円+予約機能500,000円。令和8年10月1日に納品・公開
ページの制作費(その期の費用) 600,000円 予約機能の1年分の償却限度額 500,000円 × 0.200 = 100,000円 公開から期末まで 令和8年10月1日〜令和9年3月31日 = 6か月 令和9年3月期の償却限度額 100,000円 × 6/12 = 50,000円 その期に損金になる額 600,000円 + 50,000円 = 650,000円 全額を費用にすると 1,100,000円 - 650,000円 = 450,000円が損金不算入0.200は耐用年数5年の定額法の償却率です(耐用年数省令別表第八)。金額が見積書で分かれているなど、一定の前提を置いた目安です。
損金になるのは、償却費として損金経理した額のうち償却限度額までです(法人税法31条1項)。
取得価額や改修費の細かな区分は、ソフトウエア開発費の記事にまとめています。

中小企業者等の少額の特例は、令和8年4月1日以後の取得分から40万円未満です
ソフトウエアの部分が少額なら、一度に損金にできる場合があります。
- 10万円未満 ― 事業に使った期に損金経理すれば全額が損金です(法人税法施行令133条)。
- 20万円未満 ― 3年で均等に損金にする一括償却資産を選べます(同令133条の2)。
- 40万円未満 ― 中小企業者等は、要件を満たせば全額が損金です(租税特別措置法67条の5)。
40万円の線は、令和8年4月1日以後の取得分からです。それより前の取得分は、改正前の30万円未満などです(タックスアンサーNo.5408)。
青色申告をする中小企業者(基本的に資本金1億円以下の法人)などが対象です。通算法人などは除かれます。
常時使用する従業員は400人以下(特定法人は300人以下)です(租税特別措置法施行令39条の28)。
令和11年3月31日までの取得が対象で、年300万円(1年未満の期は月割)が上限です。確定申告書等への明細書の添付も要ります。
注意
いずれの線も、事業に使った期に処理することが前提です。いったん資産に計上し、後の期にまとめて費用にしても、この扱いは受けられません。
公開後の更新・改修・保守は、作業の中身で分けます
お知らせや写真の差し替えなど、情報の更新は作業を受けた期の費用が原則です。
プログラムを直す費用の分け方は、次のとおりです(法人税基本通達7-8-6の2)。
- 機能上の障害の除去・現状の効用の維持 ― 修繕費(その期の費用)
- 新たな機能の追加・機能の向上 ― 資本的支出(資産に加える支出)
機能を追加した資本的支出は、原則として40万円の特例の対象外です。ただし、次の場合は例外です。
規模の拡張である場合や単独資産としての機能の付加である場合など、実質的に新たな資産を取得したと認められる場合
(租税特別措置法関係通達67の5-3)
サーバーや保守の料金は、支払った日から1年以内の役務の前払なら、支払った期の損金にできます。継続して同じ処理をすることが条件です(法人税基本通達2-2-14)。
改修の発注書に「機能の追加か、不具合の修正か」を書いておくと、区分の根拠になります。

否認・指摘を受けやすいのは、この5つです
- 予約・決済の機能を含む制作費を、全額その期の費用にした。ソフトウエアの部分は、償却限度額を超える額が損金になりません。
- 納品前の着手金や、公開前の機能の制作費を、期末に費用や償却費にした。期末に使っていない設備の償却費を、翌期にも損金と認めなかった裁決があります(平成30年3月27日)。
- 見積書が「一式」で、ページと機能の金額が分かれていない。費用にした部分の根拠を説明しにくくなります。
- 40万円の特例を、要件を確かめずに使った。従業員数、年300万円の上限、明細書の添付、取得日を確かめます。
- 機能を追加した改修を、修繕費にした。新たな機能の追加は資本的支出です(法人税基本通達7-8-6の2)。1つの計画で20万円未満の改修などは、修繕費にできます(同7-8-3)。
どれも、契約書・見積書・公開日の記録がないと説明が難しくなります。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
発注の前後に、ご自身で整えられるのは次の4点です。
- 見積書を「ページの制作」「予約・決済などの機能」「サーバー・保守」に分けてもらう
- 契約書・仕様書・納品書を、1つのフォルダにまとめる
- 公開して使い始めた日を、社内の記録に残す
- 改修のたびに、発注書に「機能の追加か、不具合の修正か」を書いてもらう
ポイント
どの部分がソフトウエアか、更新用の管理画面(CMS)をどう扱うかは、契約と機能ごとの判断です。何年も更新しない前提のページを繰延資産とみるかも同じです。
特例を使える会社か、年300万円の枠をどの資産に使うかも、決算の見込みとあわせた判断です。
税理士が入ると変わるのは、発注前の内訳づくりと申告への反映です
小松公認会計士・税理士事務所では、発注の段階から次の作業を行います。
ひとつめは、見積書の確認です。機能のプログラムとページの制作を分けた形に整えます。
ふたつめは、公開日と取得価額の確定です。その期の償却限度額を計算し、申告書に反映します。
みっつめは、少額の特例の判定です。従業員数と年300万円の枠を確かめ、明細書を作ります。
よっつめは、改修のたびの区分です。修繕費か資本的支出かを判断し、根拠を残します。
いつつめは、発注と納品の時期の確認です。決算前3か月の決算対策とあわせて、損金になる範囲を試算します。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. ホームページの制作費は、全額をその期の経費にできますか?
会社案内などのページは、期末までに納品を受ければその期の損金が原則です(法人税法22条3項2号)。予約・決済などのプログラムの機能は、ソフトウエアとして5年で償却する場合があります。見積書で金額を分けておくことが前提です。
Q2. ネットショップの機能は、何年で償却しますか?
ソフトウエアに当たる機能は5年で、定額法で償却します(耐用年数省令別表第三)。償却は公開して使い始めた日からで、期の途中なら月割です。取得価額が少額なら、10万円・20万円・40万円の線の扱いを使える場合があります。
Q3. 40万円未満のソフトウエアなら、一度に経費にできますか?
中小企業者等が令和8年4月1日以後に取得したものなら、要件を満たせば全額を損金にできます。要件は、青色申告、従業員400人以下、年300万円まで、明細書の添付などです。根拠は租税特別措置法67条の5で、同日より前の取得分は30万円未満の線です。
Q4. 公開後の修正や機能追加の費用は、どう扱いますか?
障害の除去や現状の効用の維持は修繕費です(法人税基本通達7-8-6の2)。新たな機能の追加や機能の向上は、1つの計画で20万円未満などを除き、資本的支出です。機能追加は原則として40万円の特例の対象外です。実質的に新たな資産の取得と認められれば、対象にできます。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。法人税法2条23号・24号、22条3項2号、31条1項、法人税法施行令13条8号ヌ、48条の2第1項4号、59条、133条、133条の2、租税特別措置法67条の5、同法施行令39条の28、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第三・別表第八、法人税基本通達2-2-12・2-2-14・7-8-3・7-8-6の2、租税特別措置法関係通達67の5-3、タックスアンサーNo.5461・No.5408・No.5403、国税不服審判所の平成30年3月27日裁決の内容を扱っています。繰延資産の範囲と償却期間、更新用の管理画面(CMS)やテンプレート・クラウドサービスの利用料と初期費用の扱い、ソフトウエアの取得価額に含める費用の細目、研究開発費、中小企業者・特定法人・通算法人・適用除外事業者の判定の細目、貸付けの用に供した資産の除外、取得価額の判定単位、一括償却資産の手続の細目、消費税の経理方式による金額判定、中小企業経営強化税制などの特別償却・税額控除、補助金で取得した場合の圧縮記帳、消費税の仕入税額控除、個人事業者の所得税の扱いは扱っていません。ホームページの制作費だけを扱った国税庁の解説は、令和8年10月9日時点で質疑応答事例(法人税)の目次とタックスアンサーNo.5461に見当たらなかったため、本記事は条文と通達に当てはめて整理しています。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安です。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.5461「ソフトウエアの取得価額と耐用年数」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5461.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm
- 国税庁 法人税基本通達 第7章第8節「資本的支出と修繕費」(7-8-6の2)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_08.htm
- e-Gov法令検索「法人税法」(22条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000034
- e-Gov法令検索「法人税法施行令」(13条・133条・133条の2)https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000097
ホームページを発注する前に、費用と資産の分け方を確かめませんか
ホームページの制作費は、会社案内などのページなら納品を受けた期の費用が原則です。一方、予約・決済などの機能は、ソフトウエアとして5年で償却する場合があります。令和8年4月1日以後の取得分は、中小企業者等なら要件しだいで40万円未満の特例も使えます。代表税理士が、見積書の内訳の確認から改修費の区分、申告書への反映まで通して対応します。制作会社と契約する前の段階でご相談ください。
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