この記事の答え
- 自分や生計を一にする家族の労災特別加入と建設国保の保険料は控除、事業の組合費は経費です
- 1枚の請求に保険料と組合費や共済費が混ざる人は、内訳を分けてから申告します
- 保険料約42万円を経費と控除の両方に入れると、税率10%の例で所得税と住民税が約8万4千円不足します
自分の保険料は控除、事業の組合費は経費に入れます
自分や生計を一にする家族の労災特別加入と建設国保の保険料は、経費ではなく社会保険料控除に入れます。社会保険料控除とは、払った保険料を所得から差し引く制度です。事業のための組合費は、経費に入れます。

生計を一にする家族とは、生活費を共にする家族のことです。別居でも当たることがあります。家族の分は、実際に払った人の控除です。
国税庁の資料は、国民健康保険の保険料と特別加入者が負担する保険料を、控除の対象に挙げています。建設国保は、国民健康保険組合が行う国民健康保険です。
特別加入は現場のけがに備える保険なので、経費だと思う人もいるでしょう。しかし、守られるのは自分自身です。本人の分は控除に入れます。
一方、国税庁の手引きは、同業者組合などの組合費を経費の例に挙げています。国民健康保険料は経費にならないと書いています。国民年金の扱いは、国民年金と国民健康保険料の前納の記事で解説しています。
1枚の請求でも、中身を分けてから入れます

保険料と組合費がまとめて請求されても、確定申告では分けて入れます。組合の公開資料には、次の例があります。
- 特別加入の保険料のほかに、年間事務費5,000円と加入時の加入金2,000円がかかる
- 建設国保の保険料とあわせて、月1,300円の共済会費がかかる
- 組合費の内訳に、共済費と建設資金が並ぶ
保険料でないお金は、社会保険料控除に入れません。事務費や組合費は、事業のための費用であれば経費です。ただし、土建組合のような労働組合は国税庁の手引きの例になく、活動の中身で判断します。
建設国保と組合費の金額は例です。労災は、1日あたりの補償の基準額が1万円の場合の年額です。
Aさんは、42万2,050円を社会保険料控除に入れ、6万円を経費に入れます。
注意
共済費が経費になるかどうかは、共済の中身で変わります。保険料だけの年間の額が分からないときは、組合に確かめてください。
入れる場所を間違えると、税金や所得の数字がずれます
同じ保険料を経費と控除の両方に入れると、税金が足りなくなるおそれがあります。
| 誤り | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 保険料を経費と控除の両方に入れた | 所得が二重に減り、税金の不足につながります | 修正申告(不足分を納める手続き) |
| 保険料をどちらにも入れなかった | 税金の払いすぎにつながります | 更正の請求(払いすぎを直す手続き)。原則として申告期限から5年以内 |
| 保険料を経費に、組合費を控除に入れた | 税額が変わらなくても、事業の所得がずれます | 影響を確かめて判断します |
計算例
例:Aさんが通帳の保険料を経費に入れ、控除の欄にも42万2,050円を書いた場合
正しい計算で課税される所得は300万円、所得税の税率は10%とします。
所得税の不足 42万2,050円×10%=約4万2千円住民税の不足 42万2,050円×10%=約4万2千円合計 約8万4千円復興特別所得税などと個人事業税、延滞税などの上乗せは含めていません。基礎控除の額は変わらない前提です。金額は一定の前提を置いた目安です。
申告期限の後に不足に気づいた人は、早めに修正申告をします。国税庁の資料では、調査の事前通知の前に自主的に直せば、上乗せの過少申告加算税はかかりません。ただし、納付の日までの延滞税は納めます。手続きは確定申告を間違えたときの記事で解説しています。
保険料を経費だけに入れた場合は、税額が変わらないことがあります。しかし、事業の所得は実際より小さく出ます。事業の所得は、個人事業税を計算するもとの数字です。基礎控除の額も、所得の額で段階的に変わります。前年の総所得で保険料を決める建設国保では、保険料の区分がずれるおそれがあります。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

1年分の支払いを集めて分けるところまでは、ご自身で進められます。
ご自身で進められること
- 組合や団体の請求書と領収書を1年分集める
- 保険料・組合費・事務費・共済費に分ける
- その年に実際に払った額を合計する
個別判断になること
- 労働組合の組合費、共済費、建設資金の扱い
- 別居の家族の保険料を入れてよいか
- 前の年の申告を直すかどうか
小松公認会計士・税理士事務所では、記帳代行と、収支内訳書や青色申告決算書の作成を行います。保険料と組合費を分けて、確定申告書の作成と電子申告まで進めます。ご相談から提出まで代表が担当し、全国どこからでもオンラインで完結します。
労災保険や建設国保の加入の手続きは、弊所ではお引き受けしていません。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。売上500万円の事業所得は49,000円です。社会保険料控除を含むその他控除セットは6,000円です。合計は32,000円+49,000円+6,000円=87,000円(税込95,700円)です。消費税の申告がなく、記帳はご自身で行う前提です。計算例は一定の前提を置いた目安です。
記帳代行も頼むときは、基本8,000円(税込8,800円)と1仕訳80円(税込88円)が加わります。ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 組合の支払いの証明書は、確定申告書に付けますか?
証明書の添付か提示が要るのは、国税庁の案内では国民年金の保険料と国民年金基金の掛金です。令和9年1月以後に出す令和8年分以後の申告書は、明細書の添付に代えられます。建設国保と特別加入の保険料は対象外です。払った額が分かる書類は保管します。
Q2. 妻や子の建設国保の保険料も控除できますか?
生計を一にする配偶者や親族の負担すべき保険料を払ったときは、払った人の社会保険料控除に入れられます。同じ保険料を2人の申告に入れることはできません。
Q3. 翌年の分まで保険料を払ったときは、いつの控除ですか?
控除できるのは、その年に実際に払った金額です。国税庁の質疑では、翌年3月までの1年分を本年中に払い、前納の期間が1年以内なら、本年分の控除にして差し支えないとされています。各年に分ける方法も選べます。
Q4. 組合費は、どの科目で経費にしますか?
国税庁の資料は、協同組合や同業者組合などの会費や組合費を租税公課の例に挙げています。労働組合の組合費は例にないので、活動の中身で判断します。会館などの共同的施設の負担金は、扱いが変わることがあります。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法37条・45条・74条・120条、所得税法施行令208条・262条、労働者災害補償保険法第四章の二、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、国民健康保険法3条・13条・76条、国税庁タックスアンサーNo.1130「社会保険料控除」・No.2210「必要経費の知識」・No.1760「所得補償保険の保険金を受け取ったとき」・No.2026「確定申告を間違えたとき」・No.2260「所得税の税率」・No.1199「基礎控除」、所得税基本通達37-9、74・75-1、74・75-2、国税庁「白色申告者の決算の手引き(一般用)」令和8年分、「令和7年分 収支内訳書(一般用)の書き方」、厚生労働省「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)」・「特別加入保険料率表」、総務省「個人住民税」、東京都主税局「個人事業税」、弊所の料金表の内容を扱っています。組合の例は、神奈川土建「労災保険」、神建連国保「保険料と保険料減免・還付」、埼玉土建「加入方法」の公開情報(令和8年11月6日に確認)によるもので、金額や扱いは組合ごとに違います。特別加入の要件と手続き、中小事業主の特別加入、民間の傷害保険や上乗せ補償、共済費が別の控除や経費に当たるか、組合の加入金と会館の負担金の処理、消費税の扱い、材料費・外注費・車の経費、個人事業税がかかるかどうかの判定は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は所得や控除の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁「No.1130 社会保険料控除」(所得税法74条・所得税法施行令208条)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm
- 国税庁「白色申告者の決算の手引き(一般用)」令和8年分(必要経費になる租税公課)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/kichou09.pdf
- 厚生労働省「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)」https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040324-6.html
- 国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
- 神建連国保「保険料と保険料減免・還付」(建設国保の保険料の決め方の例)https://shinkenrenkokuho.or.jp/insurancefee/
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