この記事の答え
- 所得税の控除の上限は、生命保険料が12万円、地震保険料が5万円です。
- 区分ごとの上限は新契約4万円、旧契約5万円です。23歳未満の扶養親族がいる人は特例があります。
- 上限まで引ける税率10%の人は、所得税と住民税で約2万7千円減る目安です。
生命保険料控除はいくらになりますか

所得税の生命保険料控除は、合計で最高12万円です。控除とは、税金を計算するもとになる所得から差し引ける金額です。
保険料は3つの区分に分け、区分ごとの控除額を足します。
- 一般の生命保険:死亡や生存で保険金が出る保険
- 介護医療保険:入院の医療費や介護に備える保険
- 個人年金保険:年金を受け取る保険のうち、条件を満たすもの
平成24年以後の新契約と、それより前の旧契約で、式が違います。
新契約(上限4万円)
- 2万円以下:全額
- 2万円超4万円以下:保険料×1/2+1万円
- 4万円超8万円以下:保険料×1/4+2万円
- 8万円超:4万円
旧契約(上限5万円)
- 2万5千円以下:全額
- 2万5千円超5万円以下:保険料×1/2+1万2,500円
- 5万円超10万円以下:保険料×1/4+2万5千円
- 10万円超:5万円
保険料は、配当金などを引いた額です。旧契約の医療保険は、一般の生命保険に入ります。
同じ区分に新旧の両方があるときは、有利な計算を選べます。旧契約の保険料が年6万円を超えるなら、旧契約だけで計算します。6万円以下なら両方を足し、上限は4万円です。23歳未満の扶養親族がいる人は別です。
保険金の受取人に、払う人とその親族以外の人がいる保険や、傷害保険などは対象外です。
新契約と旧契約は、どこで分かれますか

分かれ目は契約日で、平成24年1月1日以後が新契約、平成23年12月31日以前が旧契約です。古い契約が新契約になることもあります。
迷ったら、控除証明書の新旧の表示で確かめます。傷害特約の追加など、新契約にならない変更もあります。
地震保険料控除はいくらになりますか

所得税の地震保険料控除は、1年間に払った地震保険料の全額で、最高5万円です。年3万円なら3万円、年7万円なら5万円です。
対象は、地震などの損害に備える部分の保険料です。火災保険の部分は原則として対象外です。
対象の家は、あなたか、同じ財布で暮らす配偶者・親族が持ち、常に住んでいる家です。その人たちの生活に必要な家財も対象です。
税金はいくら減りますか

減る税金は、控除額に税率を掛けた金額です。払った保険料がそのまま戻るわけではありません。
計算例
例:会社員のAさん(令和8年分・税率10%・23歳未満の扶養親族なし)
新契約の生命保険 年9万円 → 4万円新契約の医療保険 年6万円 → 6万円×1/4+2万円=3万5千円地震保険 年3万円 → 3万円所得税:10万5千円×10%×1.021=約1万700円1.021は復興特別所得税の分です。住民税の控除は7万1千円で、税率10%なら7,100円減ります。合計は約1万7,800円です。一定の前提を置いた目安です。
控除は所得税17万円、住民税9万5千円(上限の7万円+2万5千円)です。令和8年分の例です。復興特別所得税を含み、住民税率は10%とした、一定の前提を置いた目安です。
23歳未満の扶養親族がいると、上限は変わりますか
23歳未満の扶養親族がいる人は、令和8・9年分に限り、新契約の一般の生命保険の上限が6万円です。令和8年度の改正で、令和9年分まで延びました。
扶養親族とは、同じ財布で暮らす、所得62万円以下の親族です。給与だけなら136万円以下です(扶養の判定の記事)。進学などで別々に暮らす子でも、常に生活費や学費を送っていれば、同じ財布で暮らす子に当たります。年齢は原則として12月31日で見ます。
| 年間の保険料 | 特例の控除額 |
|---|---|
| 3万円以下 | 全額 |
| 3万円超6万円以下 | 保険料×1/2+1万5千円 |
| 6万円超12万円以下 | 保険料×1/4+3万円 |
| 12万円超 | 6万円 |
新旧を足す計算の上限も6万円です。旧契約だけの人と、ほかの2つの区分は変わりません。
合計の上限は12万円のままで、住民税にこの特例はありません。
自分でできるのはどこまでですか
控除証明書の金額を申告書に写して計算するまでは、ご自身でできます。会社員の人は、保険料控除申告書を勤務先に出し、年末調整で控除を受けます。
失敗の例
- 平成24年以後に更新した保険を旧契約で計算した例です。新契約の上限は4万円なので、控除額が多すぎることがあります。
- 夫が払う妻名義の保険を妻の控除にした例です。控除を受けるのは、実際に払った夫です。
年末調整で出し忘れても、確定申告で控除を受けられます(還付申告の期限の記事)。令和9年1月1日以後に出す令和8年分以後の確定申告書は、控除証明書の代わりに明細書を付けられます。明細書を付けた人は、税務署から求められたら証明書を見せます。証明書は確定申告の期限の翌日から原則5年間残します。確定申告の義務がない人の還付申告は、提出した日の翌日から5年間です。
次の人は、個別の判断が必要です。
- 更新した契約や、新旧の契約が混ざっている人
- 離婚などで、保険金の受取人が親族でなくなった人
- 過去の年分を直したい人
税理士に頼むと何が変わりますか

税理士に頼むと、契約ごとの判定から申告までを任せられます。
小松公認会計士・税理士事務所では、控除証明書を見て、区分と新旧を確かめます。控除額が最も大きくなる計算を選び、出し忘れた年の手続きも判定します。電子申告まで行います。
料金の目安
料金は、基本料金32,000円(税込35,200円)に、所得と控除ごとの単価を足した額です。
会社員の人なら、給与所得と、この控除を含むその他控除セットを各6,000円足します。合計は44,000円(税込48,400円)です。最低料金があるので、65,000円(税込71,500円)になります。一定の前提を置いた目安です。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 年末調整で控除証明書を出し忘れました。取り戻せますか?
確定申告で控除を受けられます。確定申告の義務がない人は、翌年1月1日から5年間、還付申告を出せます。確定申告書を出した年は更正の請求で、原則は申告期限から5年以内です。還付申告をした年は提出日からです。引かれた所得税がなければ戻りません。
Q2. 妻名義の保険の保険料を夫が払っています。夫の控除になりますか?
夫が払ったことを明らかにできれば、夫の控除の対象です。契約者の名義は要件ではありません。受取人の全員が夫か、夫の配偶者・親族であることが必要です。個人年金は、年金の受取人が夫か妻に限られます。妻が受け取る保険金は、贈与税や相続税の対象です。
Q3. 火災保険料は地震保険料控除の対象になりますか?
火災保険の部分は対象外です。ただし、平成18年末までに結んだ、満期返戻金のある10年以上の損害保険は別です。平成19年以後に変更がなければ、最高1万5千円の対象になることがあります。地震保険料と合わせた上限は5万円です。
Q4. 16歳未満の子も、23歳未満の扶養親族に入りますか?
入ります。扶養控除の対象にならない16歳未満の子も、同じ財布で暮らし、所得が62万円以下なら含みます。配偶者と、事業の専従者として給与を受ける人などは除きます。夫婦に対象の子が1人なら、夫婦の両方が特例を使えます。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・国税庁の公表資料に基づく一般的な解説です。生命保険料控除の対象になる契約の細目、個人年金保険の要件、住民税の計算の全体は扱っていません。23歳未満の扶養親族の判定には、生計を一にすること、事業専従者でないことなどの要件があります。計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額は所得や他の控除によって変わります。具体的な判断は税理士にご確認ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・判例出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」(令和8年4月1日現在法令等。特例を「令和8年分以降」と書いていますが、法律の対象は令和8年分と令和9年分です)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1140 Q&A(妻が契約者の生命保険料など)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140_qa.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1141「生命保険料控除の対象となる保険契約等」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1141.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1145「地震保険料控除」(令和8年4月1日現在法令等)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1145.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1146「地震保険料控除の対象となる保険や共済の契約」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1146.htm
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」4・21〜26ページhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2026/pdf/nencho_all.pdf
- 国税庁「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」(裏面の説明)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/2026bun_04.pdf
- 国税庁「令和8年分 保険料控除申告書 記載例」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2026/pdf/307.pdf
- 国税庁「令和8年分 年末調整Q&A」問3・問7・問8・問11https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2026/qa.htm
- 所得税基本通達2-47(生計を一にするの意義)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/01/07.htm
- 国税庁 文書回答事例「新生命保険料控除制度の取扱いについて」(平成24年1月19日)https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/shotoku/120119/index.htm
- 国税庁 質疑応答事例「旧生命保険料と新生命保険料の支払がある場合の生命保険料控除額」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/74.htm
- 国税庁 質疑応答事例「1枚の生命保険料控除証明書に旧生命保険料と新生命保険料の記載がある場合」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/75.htm
- 国税庁 質疑応答事例「傷害特約付生命保険契約の特約の更新」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/78.htm
- 国税庁 質疑応答事例「妻名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/35.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2030「還付申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2026「確定申告を間違えたとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2260「所得税の税率」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
- 所得税法2条1項34号・34号の2、76条、77条、120条6項・7項と122条3項(令和9年1月1日施行)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 租税特別措置法41条の15の5(年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例)https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026
- 地方税法314条の2第1項5号・5号の3(個人住民税の生命保険料控除・地震保険料控除)https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」25ページ(特例の適用期限の1年延長)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf
- 財務省「令和7年度税制改正の大綱」9・10・12・16ページ(特例の創設、控除証明書に代わる明細書)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/20241227taikou.pdf
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