この記事の答え
- 材料を自分で買う工事は原則第三種、支給の工事や手間だけの仕事は第四種です
- 令和9・10年分に3割特例を使う人は、区分で税額は変わりません。差が出るのは簡易課税の年です
- 例:税抜売上800万円が全部第三種なら24万円、全部第四種なら32万円です(目安)
材料を自分で買う工事は原則第三種、支給を受ける工事は第四種です
建設の工事は原則第三種(70%)で、材料の支給を受ける工事や手間だけの仕事は第四種(60%)です。これは、インボイス登録をした一人親方が簡易課税で申告するときの区分です。簡易課税は、売上の消費税に区分ごとの割合を掛けて、差し引く額を計算する方法です。

国税庁の建設業の表をもとにした目安です。表に例のない取引は、個別に判定します。
区分は、原則として取引ごとに判定します。同じ人でも、工事によって第三種と第四種に分かれます。国税庁の資料では、自分の道具や機械を持ち込んでも、材料を持たない仕事は第四種です。
区分を間違えると、税抜売上800万円で消費税が最大8万円ずれます

第三種と第四種の差は、売上の消費税の1割分です。第三種は売上の消費税の3割、第四種は4割を納めます。一人親方のAさんの売上は税抜800万円で、売上の消費税は80万円です。
工事がすべて同じ区分で、税率10%の場合です。地方消費税を含む、一定の前提を置いた目安です。
1つめの失敗は、売上を分けないことです。第三種と第四種の工事があるのに分けていない売上は、低いほうの第四種で計算します。
計算例
例:税抜売上800万円のBさん
材料を買う工事が500万円、支給を受ける工事が300万円です。
分けて記録:80万円 −(50万円×70%+30万円×60%)= 27万円分けていない:80万円 − 80万円×60% = 32万円分けていないと、5万円多く納めます。税率10%で、地方消費税を含む、一定の前提を置いた目安です。
2つめの失敗は、逆の間違いです。Cさんは、支給を受けた工事まで第三種で申告しました。足りない消費税は、修正申告で納めます。延滞税や過少申告加算税がかかることもあります。
分け方は、簡易課税の事業区分の記事をご覧ください。
2割特例のあとは3割特例、令和11年分からは方式を選びます

個人の2割特例は、令和8年分の申告までです。令和9年分と令和10年分には、個人事業者の3割特例があります。令和11年分からは、簡易課税か本則課税(実際に払った消費税を差し引く方法)で申告します。
- 令和8年分は2割特例で16万円
- 令和9年分・令和10年分は3割特例で24万円
- 令和11年分からは、簡易課税なら第三種24万円、第四種32万円
一定の前提を置いた目安です。2つの特例は、2年前の消費税のかかる売上が1,000万円以下であることなどが要件です。
3割特例は届出が要らず、申告書に書いて選びます。使える人は、第三種でも第四種でも、納める消費税は売上の消費税の3割です。売上が工事だけの人なら、3割特例は簡易課税と同じ額か、より少なくなります。
区分の差が税額に出るのは、3割特例を使えない年や令和11年分以後に、簡易課税で申告するときです。要件は、2割特例と3割特例の記事をご覧ください。
材料費がかさむ人は、本則課税の額も比べます。本則課税には、帳簿とインボイスの保存が要ります。
注意
簡易課税は、届出書を出した人だけが使えます。期限は原則として、使いたい年の前年12月31日です。令和8年分に2割特例を使わない人が、令和9年分から使うなら、令和8年12月31日までです。
2割特例・3割特例を使った翌年の分に限り、その年分の確定申告期限まで出せます。令和10年分で3割特例を使い、令和11年分から簡易課税にするなら、令和12年4月1日までです。
簡易課税を使えるのは、2年前の消費税のかかる売上が5,000万円以下の年です。始めると、事業を廃止する場合を除き、2年間はやめられません。
区分の記録まではご自身で、その先は個別判断です

ご自身で進められるのは、工事ごとの材料の確認と、売上の記録までです。請求書の控えや帳簿に区分を書き、区分ごとの売上を集計した記録を残します。
次のような工事は、国税庁の建設業の表に例がないので、個別に判定します。
- 材料代を元請に差し引かれる工事
- 釘やテープなど、細かな資材だけを買う工事(第四種とした裁決があります)
- 材料の一部だけ支給を受ける工事
税理士に頼むと、使える方式を確かめ、納める額を比べたうえで、申告まで任せられます。小松公認会計士・税理士事務所では、代表(公認会計士・税理士)が最初から最後まで作成します。領収書と通帳からの記帳代行もお引き受けしています。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。売上500万円の事業所得は49,000円です。簡易課税の消費税申告は18,000円、その他控除セットは6,000円です。基本料金と合わせて105,000円(税込115,500円)です。記帳代行がない場合の、一定の前提を置いた目安です。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 材料代を元請に差し引かれる工事は、第三種ですか?第四種ですか?
国税庁の建設業の表に、この形の例はありません。例のない取引は個別に判定します。元請が材料を売った形か、元請の資産のまま渡す形かを、契約書や請求書で確かめて判断します。
Q2. 1年の中に第三種と第四種の工事があるときは、どう計算しますか?
工事ごとに分けて記録し、それぞれの割合で計算します。1つの区分の売上が全体の75%以上なら、その割合を全体に使える特例もあります。どちらが少ないかは、両方を計算して比べます。
Q3. 材料費がかさむ人は、本則課税のほうが少なくなりますか?
差し引ける消費税が売上の消費税の7割を超えると、第三種の簡易課税より少なくなります。税抜で売上800万円、材料費など600万円なら、本則課税は20万円、第三種は24万円です(税率10%でインボイスがある前提の目安)。
Q4. 過去の申告で区分を間違えていたときは、どうなりますか?
納める消費税が足りないときは、修正申告をします。多く納めていたときは、法定申告期限から5年以内なら更正の請求ができます。区分の記録がないときに認められるかは、個別に判断します。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。消費税法30条・37条、消費税法施行令57条、所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則51条の2・51条の3、国税通則法19条・23条・60条・65条、消費税法基本通達5-2-16・13-2-1・13-2-4・13-2-7・13-3-1・13-3-2、国税庁タックスアンサーNo.6505「簡易課税制度」・No.6509「簡易課税制度の事業区分」、質疑応答事例《消費税》の「日本標準産業分類からみた事業区分(大分類-A農業、林業、B漁業、C鉱業、採石業、砂利採取業、D建設業)」「事業の区分の方法」「事業の種類が区分されていない場合」「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」、インボイス制度特設サイト「令和8年度税制改正特集」、インボイスQ&A問115-2・問117・問117-3、「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」、国税不服審判所の平成22年9月2日裁決・平成24年6月1日裁決、弊所の料金表の内容を扱っています。建設の工事以外の一人親方の区分、材料代を元請に差し引かれる工事・細かな資材だけを買う工事・材料の一部だけ支給を受ける工事の結論、請負か給与かの判定、工事の全部を他の人に委託する場合、固定資産の売却の区分、売上の返品や値引き、貸倒れ、2割特例・3割特例を使えない場合の細目(前年1月から6月の売上や給与の額による判定、相続、高額な資産の仕入れなど)、1つの区分が75%以上のときの計算の細目、本則課税の計算とインボイスのない仕入れの経過措置、やむを得ない事情があるときの届出の特例、不適用の届出書の手続、飲食料品の税率の引下げに伴う特例、過少申告加算税と延滞税の割合、所得税の計算は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は工事の内容や売上の額によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 質疑応答事例「日本標準産業分類からみた事業区分(大分類-A農業、林業、B漁業、C鉱業、採石業、砂利採取業、D建設業)」(消費税法施行令57条5項、消費税法基本通達13-2-4)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/20/03.htm
- 国税庁「No.6509 簡易課税制度の事業区分」(消費税法37条、消費税法施行令57条、消費税法基本通達13-2-1〜9)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6509.htm
- 国税庁「No.6505 簡易課税制度」(消費税法37条、平成28年改正法附則51条の2・51条の3)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm
- 国税庁 インボイス制度特設サイト「令和8年度税制改正特集」(3割特例・簡易課税への移行)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm
- 国税庁 質疑応答事例「事業の区分の方法」(消費税法基本通達13-3-1・13-3-2)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/20/01.htm
- 国税不服審判所 平成24年6月1日裁決(建設業の事業区分。消費税法施行令57条5項3号)https://www.kfs.go.jp/service/JP/87/10/index.html
- 国税庁 消費税法基本通達 第5章第2節「資産の譲渡の範囲」(5-2-16 外注先に対する原材料等の支給)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/05/02.htm
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簡易課税の事業の区分は、工事ごとの材料の負担で変わることがあります。弊所が、請求書や領収書をもとに使える方式を確かめ、納める額を比べたうえで、確定申告書と消費税の申告書を作成し、電子申告まで担当します。領収書と通帳からの記帳代行もお引き受けしています。全国どこからでもオンラインで完結します。料金は60秒見積りで確かめられますので、申告期限に間に合うよう、ご依頼をご検討ください。
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