この記事のポイント
- 2年目は家賃と利子が12か月分になり、購入の年だけの費用はなくなります
- 不動産取得税は原則、税額が確定した年の経費で、2年目に入ることがあります
- 定額法の償却費は取得価額×償却率で、前年の未償却残高を引き継ぎます
- 土地の分の利子が赤字以上なら、赤字を給与と差し引けません
まず結論:2年目は経費の中身が変わり、戻る税金も変わります
令和7年に買って貸し始め、令和8年分が2回目の申告になる会社員の方を例にします。
1年目と変わる点は、届く税金の扱い、減価償却の引継ぎ、赤字が減る年の還付の3つです。
減価償却は、建物の代金を年ごとに経費にする計算です。
赤字が小さくなると、赤字のままでも税金が戻らない年があります。

1年目と2年目で変わることを一覧にします
2年目は計算の前提が変わります。表は、買った年に貸し始めた場合です。
| 項目 | 1年目(令和7年分) | 2年目(令和8年分) |
|---|---|---|
| 家賃・ローンの利子 | 貸し始めた後の分 | 1月から12月に支払日が来る分 |
| 減価償却費 | 月割り | 12か月分 |
| 所有権移転の登記費用 | その年の経費 | なし |
| 固定資産税 | 売主への精算金は取得価額(購入代価の一部) | 納税通知書の分は経費 |
購入の年の費用は、不動産投資を始めた年の確定申告の記事で解説しています。
届く税金は、種類で経費の扱いが分かれます
貸す物件の不動産取得税と固定資産税は経費になり、住民税はなりません(No.2210・No.2215)。
不動産取得税は、不動産を取得した人に課されます(地方税法73条の2)。
千葉県は、納税通知書を登記からおおむね6か月程度で送付し、新築などは取得の翌年の課税と案内しています。
東京都は、発送までの期間は案件ごとに異なると案内しています。
経費にする年は、払った年ではなく、原則として税額が確定した年です(No.2215)。
年の後半に買った方は、不動産取得税が2年目の経費になることがあります。
固定資産税は、令和8年1月1日の所有者に令和8年度分が課されます(地方税法343条・359条)。
経費にする年は、原則として賦課決定(税額の決定)を受けた年です。分割の納期の分は、納期の開始の日か納付した日の年にもできます(No.2215)。
減価償却は前年の未償却残高を引き継ぎます
前年の収支内訳書などの「未償却残高」が、本年の「前年末未償却残高」です(国税庁)。
未償却残高は、まだ経費にしていない残りの額です。
建物の償却は定額法で、原則として毎年同額の「取得価額×償却率」です(No.2100・No.2106)。
計算例
例:令和7年10月に貸し始めた建物1,000万円(耐用年数22年・償却率0.046)
1年目の償却費 10,000,000円 × 0.046 × 3/12 = 115,000円 1年目末の未償却残高 10,000,000円 − 115,000円 = 9,885,000円 2年目の償却費 10,000,000円 × 0.046 = 460,000円 2年目末の未償却残高 9,885,000円 − 460,000円 = 9,425,000円1年を通して貸付けに使う前提です。金額は一定の前提を置いた目安です。
2年目の償却費を1年目と同じ額にすると、この例では345,000円少なくなります。

赤字が減る年は還付が減り、戻らない年もあります
不動産所得の赤字は、原則として給与などの黒字から差し引けます(No.1391)。
ただし、土地を取得するための借入金の利子に当たる部分などは差し引けません(同)。
土地の分の利子が赤字以下なら、赤字のうち利子の額を差し引けません。
赤字を超えると、赤字の全額を差し引けません(租税特別措置法施行令26条の6第1項)。
| 項目 | 1年目(3か月) | 2年目(12か月) |
|---|---|---|
| 家賃収入 | 300,000円 | 1,200,000円 |
| 登記の費用 | 250,000円 | ― |
| 不動産取得税 | ― | 200,000円 |
| 固定資産税など | ― | 80,000円 |
| ローンの利子 | 100,000円 | 390,000円 |
| 管理費など | 45,000円 | 180,000円 |
| 減価償却費 | 115,000円 | 460,000円 |
| 不動産所得 | △210,000円 | △110,000円 |
| うち土地の分の利子 | 30,000円 | 117,000円 |
| 給与と差し引ける赤字 | 180,000円 | 0円 |
| 所得税が減る額 | 36,000円 | 0円 |
土地の分の利子は利子の30%、不動産取得税は令和8年に確定と仮定しました。
給与だけの課税される所得金額は500万円(税率20%の区分。No.2260)の前提です。
復興特別所得税と住民税は含めていません。金額は一定の前提を置いた目安です。
土地の分の利子が赤字以上だと、赤字のままでも給与の税金は戻りません。
計算の細目は赤字と給与の差し引きの記事へ。
ポイント
同じ前提で不動産取得税がない年は、90,000円の黒字です。給与1か所で給与以外の所得が20万円以下なら、所得税の申告が不要な場合があります(No.1900)。住民税の申告は原則として別に要ります(地方税法317条の2)。
誤りは翌年以後に残るので、誤った年分を直します
償却の数字は毎年引き継ぐので、ずれると翌年以後もずれます。
- 土地の分の利子を除かずに給与と差し引く ― 上の例の2年目では22,000円戻りすぎ、修正申告が要ります。
- 1年目の償却費の不足を2年目に足す ― 定額法の算式に、前年の不足分を足す形はありません。
- 売主への精算金を1年目の経費にしている ― 取得価額に入ります(質疑応答事例)。
誤りに気づいたら、2年目に足して調整せず、誤りがあった年分を直します(No.2026)。
税金が少なすぎた、還付が多すぎたときは修正申告です。
調査の事前通知の前に自主的に出せば過少申告加算税はかかりませんが、延滞税は別です。
税金が多すぎた、還付が少なすぎたときは、更正の請求(減額を求める手続き)ができる場合があります。
注意
更正の請求の期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。還付申告は提出した日から5年以内です(No.2030)。

申告までに押さえる時期は4つです
令和8年分は、次の時期を押さえます。
- 12月31日まで ― 年内の修繕の完了日と、届いた通知書を確かめます。
- 令和9年1月から ― 還付になる方は申告を出せます(No.2030)。1月から出す還付申告の記事へ。
- 令和9年2月16日から3月15日まで ― 原則の申告の期間です。納付の期限も原則3月15日です(No.2020)。
- 令和9年3月15日まで ― 令和9年分から青色申告にする方の承認申請の期限です(所得税法144条)。
一部の書面の申告書は、控用がなくなりました(国税庁)。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
物件が1つで大きな工事がない年は、ご自身で進められる場合があります。
- 前年の書類から、取得価額・耐用年数・未償却残高を書き写す
- 管理会社の報告書と通帳で、支払日が1月から12月の家賃と管理費を合わせる(No.1376)
- 返済予定表から1年分の利子を出す(元本は経費になりません)
次の点は、契約や物件の事実で答えが変わる個別判断です。
- 土地と建物で借入金を分けられないときの利子の計算
- 工事や設備の交換が、修繕費か資本的支出(価値や耐久性を高める支出)か
- 貸している部屋の設備に、少額の資産の扱いを使えるか(No.2100)
- 1年目に決めた耐用年数や、土地と建物の分け方が合っているか

税理士に頼むと変わるのは、前年の数字の確認と赤字の根拠です
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。
- 前年の控えをもとにした、家賃・経費の集計と減価償却費の計算
- 返済予定表と契約書による利子の区分と、給与と差し引ける赤字の計算
- 修繕費と資本的支出の区分
- 確定申告書・決算書等の作成と電子申告
- 1年目の誤りが分かったときの修正申告・更正の請求
1年目をご自身で申告した方も、2年目からご依頼いただけます。全国オンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。修正申告・更正の請求も同じ料金体系です。
通常料金での計算例です。会社員で、家賃収入300万円までの物件が1つの場合です。給与所得とその他控除セット(社会保険料など)は各6,000円、不動産所得は35,000円です。合計は32,000円+6,000円×2+35,000円=79,000円(税込86,900円)です。消費税の申告と記帳代行がない場合の、一定の前提を置いた目安です。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
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YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる
初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 不動産取得税の通知が2年目に届きました。どの年の経費ですか?
貸している物件の不動産取得税は必要経費です(所得税基本通達37-5)。経費にする年は、払った年ではなく、原則として税額が確定した年です(同37-6)。令和8年に確定した分は、原則として令和8年分に入れます。1年目に入れていないかも確かめます。
Q2. 2年目の減価償却費は、1年目と同じ金額でよいですか?
1年目が月割りなら、同じ金額にはなりません。定額法の償却費は取得価額×償却率で、1年を通して貸付けに使う年は12か月分です(No.2106)。前年の未償却残高が本年の前年末未償却残高になるので、前年の控えを手元に置いて計算します。
Q3. 2年目も赤字なのに、税金が戻らないのはなぜですか?
土地を取得するための借入金の利子に当たる赤字などは、給与と差し引けません(No.1391)。土地の分の利子が赤字以上なら、差し引ける赤字はありません(租税特別措置法施行令26条の6第1項)。返済予定表と契約書で、利子を土地と建物に分けて確かめます。
Q4. 1年目の申告の誤りに気づきました。2年目の申告で調整できますか?
誤りがあった年分を直します(No.2026)。税金が少なすぎたときは修正申告です。多すぎたときは更正の請求ができる場合があり、期間は原則として法定申告期限から5年以内です。還付申告は提出した日から5年以内です(No.2030)。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法144条、所得税法施行令132条、租税特別措置法41条の4、租税特別措置法施行令26条の6第1項、地方税法73条の2・317条の2・343条・359条、所得税基本通達37-5・37-6、タックスアンサーNo.1376「不動産所得の収入計上時期」・No.1391「不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」・No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」・No.2020「確定申告」・No.2026「確定申告を間違えたとき」・No.2030「還付申告」・No.2100「減価償却のあらまし」・No.2106「定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」・No.2210「必要経費の知識」・No.2215「固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合」・No.2260「所得税の税率」、国税庁の質疑応答事例「賃貸用アパートを購入した際に支払った固定資産税及び都市計画税相当額の清算金の取扱いについて」、確定申告書等作成コーナーのよくある質問「前年末未償却残高とは」(令和7年分)、「令和7年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」、「国税システムの更改について」、東京都主税局と千葉県の不動産取得税の案内、弊所の料金表の内容を扱っています。購入の年の費用の分け方、土地と建物の代金の分け方、中古の建物の耐用年数の算定、借入金を土地と建物に区分する計算の細目(租税特別措置法施行令26条の6第2項)、別荘などの貸付け・国外中古建物・組合事業や信託の損失、純損失の繰越し、修繕費と資本的支出の判定、賃貸用の設備と少額の減価償却資産の扱い、火災保険料の一括払い、青色申告特別控除の要件と令和9年分以後の改正の細目、事業的規模の判定、不動産取得税の税額・軽減措置・申告の手続、固定資産税と都市計画税の税額・軽減措置、住民税の計算と徴収の方法、個人事業税、予定納税、復興特別所得税・防衛特別所得税、消費税、東京都と千葉県以外の案内、共有の物件や法人で持つ物件は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は契約や物件の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.2215「固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2215.htm
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー よくある質問「前年末未償却残高とは」(令和7年分)https://www.keisan.nta.go.jp/r7yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/misyokyakuzandaka.html
- 国税庁 タックスアンサー No.1391「不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1391.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2026「確定申告を間違えたとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
- e-Gov法令検索「租税特別措置法施行令」(26条の6)https://laws.e-gov.go.jp/law/332CO0000000043
2年目の申告を、1年目の数字の確認から始めませんか
不動産投資の2年目は、家賃と経費が12か月分になります。届いた税金の振り分けと、前年の未償却残高の引継ぎも加わります。赤字が小さくなると、土地の分の利子との大小で、赤字を給与と差し引けない年もあります。弊所が、前年の控えをもとに家賃・経費の集計と減価償却費の計算を行います。給与と差し引ける赤字も計算します。1年目の誤りが分かったときの修正申告・更正の請求もお引き受けします。全国どこからでもオンラインで完結します。前年の控えをご用意のうえ、令和8年分の申告をご依頼ください。
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