不動産譲渡所得

月極駐車場の土地を売るときの税金
3,000万円控除・舗装の取得費・消費税

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

YouTubeチャンネルを見る →

この記事のポイント

  • 駐車場として貸していた土地は、マイホームの3,000万円控除の対象外です
  • 税率は売った年の1月1日の所有期間が5年超か5年以下かで決まります
  • 舗装・フェンスの取得費は、償却費の累積額を引いた未償却残高です
  • 施設や車両管理の有無で駐車場代の消費税が変わり、施設は買換え特例にも関わります

まず結論:駐車場の土地は分離課税で、3,000万円控除は使えません

月極駐車場として貸していた土地を売ると、もうけに譲渡所得の税金がかかります。

土地の譲渡所得は、給与などと分けて計算する「分離課税」です(No.3202)。

マイホームの3,000万円控除は住まいのための特例で、駐車場の土地には使えません。

土地と舗装・フェンスなどの設備は分けて考えます
土地と舗装・フェンスなどの設備は分けて考えます

3,000万円控除は、マイホームとその敷地のための特例です

この特例は、マイホーム(居住用財産)を売ったときに使えます(No.3302)。

自宅を取り壊して敷地を売るときは、期限に加えて次の要件があります。

家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

(国税庁 タックスアンサー No.3302)

取り壊した後、売買契約までに駐車場として貸すと、この要件を満たしません。

相続した空き家の特例(No.3306)も、相続から売るまで貸付けなどに使っていないことが要件です。

買換え特例は、駐車場が「事業に準ずるもの」に当たるかから確かめます

事業用資産の買換え特例は、譲渡益の一部の課税を繰り延べる制度です(No.3405)。

対象の事業には「事業に準ずるもの」も含まれます(措法37条1項)。

事業といえる規模でない不動産の貸付けなどで、相当の対価を得て継続的に行うものです(措令25条2項)。

相当の対価かは、必要経費を回収した後に、なお相当の利益が出るかで判断します(No.3402)。

運動場、物品置場、駐車場などとして利用している土地であっても、特別の施設を設けていないものは、この空閑地に含まれます。

(国税庁 タックスアンサー No.3402)

国税庁は、特別の施設のない駐車場を空閑地(空き地)とし、事業用資産に当てはまらないとしています。

組合せや期限、届出は事業用資産の買換え特例の記事で扱っています。

買換え特例は、事業用の資産に当たるかの確認から始めます
買換え特例は、事業用の資産に当たるかの確認から始めます

税率は、売った年の1月1日の所有期間で決まります

売った日ではなく、売った年の1月1日時点の所有期間で、長期か短期かが決まります。

5年を超えていれば長期、5年以下なら短期です(No.3202)。

舗装などの構築物(建物以外の工作物)も分離課税で、所有期間は土地とは別に数えます(措法31条・32条)。

区分1月1日の所有期間所得税住民税合計の税率
長期譲渡所得5年超15%5%20.315%
短期譲渡所得5年以下30%9%39.63%

相続した土地は、原則として亡くなった方の取得の時期を引き継ぎます(No.3202・No.3270)。

補足

表の合計には、所得税額の2.1%の復興特別所得税を含めています(No.3208・No.3211)。令和8年度改正で、令和9年分以後は復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%になります。合計は同じです。

舗装・フェンスの取得費は、償却後の「未償却残高」です

アスファルト舗装と金属のフェンス(へい)は、耐用年数10年の構築物です(耐用年数省令別表第一)。

平成28年4月1日以後の取得なら、毎年同じ額を経費にする定額法で償却します(No.2100)。

取得費は、取得価額から償却費の累積額を引いた「未償却残高」です(所得税法38条2項)。

国税庁は建物について、経費にしていない年の分も合計するとしています(No.3261)。

構築物も同じ条文で計算します。

造ったときの金額で取得費に入れると、もうけを少なく計算します。

計算例

例:土地は平成10年に2,800万円、舗装・フェンスは平成30年1月に250万円で取得。令和8年に合計5,000万円で売り、譲渡費用は150万円

毎年の償却費 250万円 × 0.100(定額法・10年)= 25万円 未償却残高 250万円 - 25万円 × 8年(平成30年〜令和7年)= 50万円 課税長期譲渡所得金額 5,000万円 -(2,800万円 + 50万円)- 150万円 = 2,000万円 税額 所得税3,000,000円 + 復興特別所得税63,000円 + 住民税1,000,000円 = 4,063,000円

消費税は考えず、売った年の償却費は取得費に含めた、一定の前提を置いた目安です。

その年の売却時までの償却費は、不動産所得の必要経費にもできます(所得税基本通達49-54)。

売った年は、駐車場代と土地の代金を分けて計算します

月極駐車場の賃料は、車を自分の責任で保管しない限り、不動産所得です。

いわゆる有料駐車場、有料自転車置場等の所得については、自己の責任において他人の物を保管する場合の所得は事業所得又は雑所得に該当し、そうでない場合の所得は不動産所得に該当する。

(所得税基本通達27-2)

引き渡すまで貸していた間の駐車場代は不動産所得、代金は譲渡所得です。

駐車場代は、契約で決めた支払日の収入にするのが原則です(所得税基本通達36-5)。

固定資産税の精算金は、駐車場代ではなく譲渡価額(売った代金)に入ります(No.1440)。

引渡しを区切りに、駐車場代と代金を別の所得で計算します
引渡しを区切りに、駐車場代と代金を別の所得で計算します

消費税は、土地が非課税でも、駐車場の貸付けと設備は別に見ます

土地の譲渡と貸付けは、原則として消費税が非課税です(消費税法別表第二第1号)。

ただし、駐車場などの施設の利用に伴う土地の使用は除かれます(No.6201)。

駐車している車両の管理を行っている場合や、駐車場としての地面の整備またはフェンス、区画、建物の設置などをして駐車場として利用させる場合には、消費税が課されます。

(国税庁 タックスアンサー No.6213)

地面の整備・フェンス・区画なども車両の管理もない貸付けは、非課税です(消費税法基本通達6-1-5)。

前々年の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として消費税の納税義務は免除されます。

インボイスの登録をしていれば免除されず、課税事業者です(No.6501)。

課税事業者が事業用の資産を売ると、土地や借地権以外の部分に消費税がかかります(No.6931)。

土地と設備をまとめて売るときは、代金を合理的に分けます(消費税法基本通達10-1-5)。

売った2年後の納税義務への影響は事業用の建物を売ったときの消費税の記事で扱っています。

ポイント

舗装・フェンス・区画などの施設の有無は、駐車場代の消費税と買換え特例の判定の両方に関わります。

気をつけたい失敗は、次の5つです

  • 舗装・フェンスを造ったときの金額で取得費に入れた ― もうけを少なく計算します
  • 自宅を壊した跡を貸駐車場にした後で、3,000万円控除を使った ― 要件を満たしません
  • 特別の施設のない駐車場で買換え特例を使った ― 空閑地は事業用資産に当てはまりません
  • 固定資産税の精算金を不動産所得に入れた ― 譲渡価額に入れるものです
  • インボイスの登録があるのに消費税を見落とした ― 駐車場代と設備の代金を確かめます

注意

計算例で舗装・フェンスを250万円のまま取得費に入れると、取得費が200万円多くなります。税額は3,656,700円です。正しい4,063,000円より406,300円少ない申告漏れになります。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

資料をそろえるまではご自身でできますが、振り分けと特例の判断は個別です。

  1. 土地を買ったときの契約書(相続なら亡くなった方の契約書)を探す
  2. 舗装・フェンス・照明の請求書と、過去の申告書の減価償却の明細を集める
  3. 駐車場の契約書で、支払日と区画・管理の内容を確かめる
  4. 売買契約書で、固定資産税と駐車場代の日割り精算の定めを確かめる

ここから先は、設備の代金の分け方、照明などの資産の区分、売った年の償却費の扱いです。

買換え特例の要件や、自宅の敷地の一部を貸している場合も個別判断です。

契約書と過去の申告書の償却の明細をそろえて試算します
契約書と過去の申告書の償却の明細をそろえて試算します

税理士が入ると変わるのは、取得費の根拠と所得の振り分けです

ひとつめは、過去の申告書から未償却残高を出し直し、根拠を残すことです。

ふたつめは、売った年の駐車場代・精算金・償却費を振り分けることです。

みっつめは、設備の代金の分け方を、消費税と譲渡所得の両面で確かめることです。

よっつめは、「事業に準ずるもの」かを、収支と契約書で確かめることです。

小松公認会計士・税理士事務所では、内訳書の作成から適正申告までを担当します。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

小松公認会計士・税理士事務所 代表

小松 優馬公認会計士・税理士

  • お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
  • 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
  • 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます

YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる

初回相談は無料です。

あわせて読みたい

よくある質問(FAQ)

Q1. 月極駐車場の土地を売るとき、3,000万円控除は使えますか?

使えません。3,000万円控除は、マイホームを売ったときの特例です(No.3302)。自宅を取り壊した敷地でも、売買契約までに貸駐車場などに使うと要件を満たしません。空き家の特例も、相続から売るまでに貸付けに使うと対象外です(No.3306)。

Q2. 舗装やフェンスの取得費は、造ったときの金額で計算しますか?

いいえ。業務に使っていた舗装などの取得費は、未償却残高です(所得税法38条2項)。取得価額から、償却費の累積額を引いた額です。売った年の売却時までの償却費は、不動産所得の必要経費にもできます(所得税基本通達49-54)。

Q3. 月極駐車場の賃料に、消費税はかかりますか?

地面の整備やフェンス・区画などを設けた駐車場の貸付けは、消費税が課されます(No.6213)。車両を管理する場合も同じです。どちらもない貸付けは、非課税の土地の貸付けです。実際に納めるかは、課税事業者かどうかで決まります。

Q4. 駐車場の土地を売って買い換えると、買換え特例は使えますか?

使える場合があります。対象の事業には、相当の対価を得て継続的に行う貸付けなどの事業に準ずるものも含まれます。ただし、特別の施設のない駐車場は空閑地とされ、事業用資産に当てはまりません(No.3402)。10年超所有の土地から月極駐車場の土地への買換えは原則対象外など、組合せや期限の要件もあります。

免責事項

本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。租税特別措置法31条1項・32条1項・37条1項、同法施行令25条2項、所得税法38条2項、消費税法別表第二第1号、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第一・別表第八、所得税基本通達27-2・36-5・49-54、消費税法基本通達6-1-5・10-1-5、国税庁タックスアンサー No.1440・2100・3202・3208・3211・3261・3270・3302・3306・3402・3405・6201・6213・6501・6931の内容を扱っています。令和9年分以後の復興特別所得税と防衛特別所得税の率は、令和8年度改正後の復興財確法13条と防衛財確法5条の9によります。照明などの設備の資産区分と耐用年数、土地と設備の代金の具体的な分け方、売った年の償却費の月数の計算、駐車場代の日割り精算の処理、自宅の敷地の一部を駐車場にしている場合の判定、空き家の特例と買換え特例のその他の要件・組合せ・課税割合・届出、措置法通達37-21のただし書の適用、取得費が分からない土地の概算取得費、低未利用土地等の100万円特別控除、所得が極めて高い場合の追加の所得税(措法41条の19。令和8年度改正で令和9年分以後は1億6,500万円・30%に見直し)、消費税の簡易課税・課税売上割合・申告手続、事業税、住民税の申告と納付の時期、法人が売る場合は扱っていません。記事中の計算例は、消費税を考えず、売った年の償却費を取得費に含めた一定の前提を置いた目安です。実際の税額は、取得価額・譲渡価額・譲渡費用・所有期間・設備の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

駐車場の土地を売る前に、取得費と税額の見込みを確かめませんか

駐車場の土地の売却では、舗装やフェンスの未償却残高で取得費が変わります。売った年の駐車場代と精算金の振り分けや、施設の有無による消費税の判定も必要です。代表税理士が、過去の申告書と契約書から取得費の根拠を整えます。譲渡所得の内訳書と確定申告書まで、一貫して作成します。売買契約の前に、資料がそろった段階でご相談ください。

無料相談を申し込む 不動産売却の確定申告サポートを見る 約60秒で料金を自動見積り

小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

関連記事

不動産譲渡所得の料金
令和8年分 確定申告 お引き受け開始中

不動産売却の料金を約60秒で確認

譲渡対価規模・特例適用を選ぶだけ。令和8年12月31日までのお申込みで10%OFF。割引後の料金がその場で分かります

個人 60秒見積り

月極駐車場の土地の売却と確定申告のご相談

初回相談は無料です。代表が直接ご対応します。

不動産売却の確定申告サポートを見る
法人60秒見積り 個人60秒見積り または自動見積りをせずに無料相談を申し込む