この記事のポイント
- 返還されない加盟一時金を繰延資産・償却期間5年とした国税庁の事例があります(契約期間20年の例)
- 加盟金が契約ごとに20万円未満なら、支払った期に損金経理をすれば全額損金です
- 返還される保証金は費用にならず、ロイヤリティは債務が確定した期の費用です
- 加盟契約を途中で解約したら、未償却残額を解約した期の損金にします
まず結論:加盟金は原則として期間に分けて損金にします
フランチャイズの加盟金・保証金・ロイヤリティは、法人税での扱いがそれぞれ違います。
国税庁の事例では、返還されない加盟一時金が「繰延資産」とされています。
繰延資産は、効果が1年以上に及ぶ費用のうち政令で定めるものです(法人税法2条24号)。
加盟金のような繰延資産は、期間に分けて損金(税金の計算で差し引ける費用)にします。
| 支払い | 法人税での扱い | 根拠・参考 |
|---|---|---|
| 返還されない加盟金・ノウハウの頭金 | 繰延資産として期間に分けて償却 | 法人税法施行令14条1項6号ハ・法人税基本通達8-1-6・国税庁の事例 |
| うち契約ごとに20万円未満 | 損金経理をすれば支払った期に全額損金 | 施行令134条・基本通達8-3-8 |
| 契約終了時に返還される保証金 | 費用ではなく、返還を求める権利 | 返還されるため |
| 毎月のロイヤリティ | 債務が確定した期の費用 | 法人税法22条3項2号・基本通達2-2-12 |
名目ではなく「一時金か毎月か」「返ってくるか」で分けます。

加盟一時金は、役務を受けるための繰延資産とされています
国税庁の質疑応答事例は、加盟一時金を次の費用に当たるとしています。
役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
(法人税法施行令14条1項6号ハ)
事例は、ホテル経営のフランチャイズで、契約期間20年・返還なしという前提です。
加盟後は、本部の指導や広告宣伝などを受ける契約でした。
当該加盟一時金は、繰延資産に該当し、その償却期間は5年となります。
(国税庁 質疑応答事例「ホテルチェーンに加盟するに当たり支出する加盟一時金」)
ノウハウの設定契約で払う一時金や頭金も、6号ハの繰延資産です(法人税基本通達8-1-6)。
ポイント
頭金を使用料(ロイヤリティ)に充てる定めや、一定期間は使用料を払わない定めがあれば例外です。その部分は、前払費用(まだ受けていない役務の前払い)として処理できます(同通達のただし書)。
店舗の礼金・権利金(6号ロ)は、事務所の礼金・権利金の記事で扱っています。
償却期間は、事例では契約期間20年でも5年とされました
事例の5年は、ノウハウの一時金などの償却期間に合わせた年数です。
償却期間の原則は、契約期間を基礎にした見積もりです(法人税基本通達8-2-1)。
ノウハウの頭金等の償却期間は、次のとおりです。
5年(設定契約の有効期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び一時金又は頭金の支払を要することが明らかであるときは、その有効期間の年数)
(法人税基本通達8-2-3)
契約期間が5年未満の加盟契約は、更新時の一時金の定めを確かめます。
支払った期は、支払った日から期末までの月数で月割りします。
1か月未満の端数は1か月です(法人税法施行令64条1項2号・4項)。
計算例
例:3月決算の会社が令和8年11月10日に加盟金3,000,000円を払い、償却期間を5年とした場合
1か月あたり 3,000,000円 ÷ 60か月 = 50,000円 令和9年3月期 50,000円 × 5か月(11月10日〜3月31日) = 250,000円 令和10年3月期 50,000円 × 12か月 = 600,000円 令和10年3月期末の未償却残額 3,000,000円 - 250,000円 - 600,000円 = 2,150,000円消費税を考えず、限度額まで償却した、一定の前提を置いた目安です。
20万円未満の加盟金と分割払いの加盟金の扱い
加盟金が20万円未満なら、支払った期に全額を損金にできます。
支払った期に損金経理(決算で費用として処理すること)をするのが条件です(法人税法施行令134条)。
20万円の判定は、税抜経理なら税抜、税込経理なら税込の金額で行います(免税事業者は税込)。
判定は、名目ごとではなく契約ごとに支出する金額で行います(法人税基本通達8-3-8)。
分割払いでは、総額が確定していても、総額を未払金にして償却できません(同通達8-3-3)。
ただし、分割して支払う期間がおおむね3年以内なら、この限りではありません。
返還される保証金は費用ではなく、ロイヤリティはその期の費用です
契約終了時に返還される保証金は、払っても費用になりません。
返還を求める権利として、資産に計上します。
返還されないと契約で決まっている部分は、理由と時期を契約書で確かめて処理を判断します。
毎月のロイヤリティは、その期の費用として損金になります。
ただし、期末までに債務が確定したものに限ります(法人税法22条3項2号)。
確定の要件は、債務の成立・給付の原因の発生・金額の合理的な算定です(法人税基本通達2-2-12)。
期末の月の売上にかかるロイヤリティも、この3つを満たせば翌月払いでもその期の費用です。

開業前に払ったお金が、すべて開業費になるわけではありません
開業前の支払いも、加盟金・保証金・設備の代金・開業費に分けて処理します。
開業費は、設立後から開業までに、開業準備のため特別に払う費用です(施行令14条1項2号)。
資産の取得に要した金額とされるべき費用と前払費用は、繰延資産から除かれます(同項)。
加盟金は、国税庁の事例では6号ハの繰延資産です。
事例は開業前の支払いかに触れていません。
開業費は、残っている額の範囲で好きな期に償却でき、6号は月割りの均等償却です(同令64条1項)。
20万円未満の扱いがあるのも、6号の繰延資産だけです(同令134条)。
補足
創立費・開業費の範囲と落とす期の選び方は、創立費・開業費の記事で扱っています。
途中で解約したら、残りの加盟金はその期の損金です
加盟契約を途中で解約したら、未償却残額をその期にまとめて損金にします。
繰延資産とされた費用の支出の対象となった固定資産又は契約について滅失又は解約等があった場合には、その滅失又は解約等があった日の属する事業年度において当該繰延資産の未償却残額を損金の額に算入する。
(法人税基本通達8-3-6)
先ほどの例で、令和10年9月30日に解約したとします。
期首に残っていた2,150,000円は、令和11年3月期の損金になります。
一部の返金や違約金の扱いは、契約の定めを読んで別に確かめます。

こう処理すると誤りです ― 5つの例
次の5つは、法令や通達の決まりと合わない処理です。
- 20万円以上の加盟金を一度に費用にする ― 損金は償却限度額までです(法人税法32条1項)。
- 返還される保証金を費用にする ― 返ってくるお金です。
- 20万円の判定を名目ごとにする ― 判定は契約ごとです(法人税基本通達8-3-8)。
- 長い分割払いの総額を未払金で償却する ― 原則できません(同通達8-3-3)。
- 解約後も残額を資産に残す ― 解約した期の損金です(同通達8-3-6)。
注意
先ほどの例で3,000,000円を全額費用にすると、令和9年3月期の損金は250,000円までです。超えた2,750,000円は、後の期に償却限度額の範囲で損金になります(法人税法32条6項)。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
決算の前に、ご自身で整理できるのは次の4点です。
- 加盟契約書と請求書を並べ、支払いを加盟金・保証金・ロイヤリティ・設備の代金に分ける
- 加盟金の返還の有無、契約期間、更新時の一時金の有無を書き出す
- 加盟金を使用料に充てる定めや、使用料を払わない期間の定めを探す
- 保証金の返還の条件と、返還時に差し引かれるものを書き出す
償却期間を何年と見積もるかは、契約の中身で決まる個別判断です。
開業費との区分や、返還されない保証金の処理も個別判断です。

税理士が入ると変わるのは、契約書からの区分と償却の管理です
小松公認会計士・税理士事務所では、加盟契約の段階から次の作業を行います。
ひとつめは、契約書と請求書をもとにした支払いの区分です。
ふたつめは、償却期間の見積もりと、20万円未満・分割払いの判定です。
みっつめは、月割りの償却額の計算と、償却の明細の作成です。
よっつめは、決算での損金経理と、申告書への反映です。
いつつめは、開業費や設備の代金との振り分けと、解約時の残額の処理です。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. フランチャイズの加盟金は、支払った期に全額を経費にできますか?
加盟金が契約ごとに20万円未満なら、支払った期の損金経理で全額が損金です(法人税法施行令134条)。金額は、税抜経理なら税抜、税込経理なら税込で判定します(免税事業者は税込)。20万円以上なら、繰延資産として期間に分けて損金にします。まとめて費用にしても、償却限度額を超える部分はその期の損金になりません(法人税法32条1項)。
Q2. 加盟金の償却期間は何年ですか?
国税庁の質疑応答事例は、契約期間20年・返還なしの加盟一時金を5年としています。ノウハウの頭金等の償却期間も、原則5年です(法人税基本通達8-2-3)。有効期間が5年未満で、更新時に再び一時金が要ることが明らかなら、その有効期間の年数です。
Q3. 加盟時に払った保証金や、毎月のロイヤリティはどう扱いますか?
契約終了時に返還される保証金は費用ではなく、返還を求める権利として資産に計上します。返還されない部分があれば、契約書で確かめて処理を決めます。毎月のロイヤリティは、期末までに債務が確定した分がその期の費用です(法人税法22条3項2号)。
Q4. フランチャイズ契約を途中で解約したら、加盟金の残りはどうなりますか?
解約したときは、その期に加盟金の未償却残額を損金に算入します(法人税基本通達8-3-6)。帳簿に残したままだと、その期に損金にすべき額が漏れます。一部の返金や違約金の扱いは、契約の定めを読んで別に確かめます。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。法人税法2条24号・25号、22条3項、32条1項・6項、法人税法施行令14条1項、64条1項・4項、134条、法人税基本通達2-2-12・8-1-6・8-2-1・8-2-3・8-3-3・8-3-6・8-3-8、国税庁の質疑応答事例「ホテルチェーンに加盟するに当たり支出する加盟一時金」、法令解釈通達「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」5・9の内容を扱っています。消費税(加盟金・ロイヤリティの仕入税額控除とその時期)、個人事業主の所得税、本部(フランチャイザー)側の加盟金の収益計上、加盟金の一部が返金される場合と違約金・損害賠償の扱い、返還されない保証金の処理の細目、加盟金が営業権・商標権など他の資産に当たるかの判定、内装・設備などの減価償却資産と少額減価償却資産の特例、創立費・開業費の詳細、前払費用とした頭金の残額の処理、償却超過額の申告書での調整と明細書の記載方法、地方税は扱っていません。紹介した質疑応答事例は照会の事実関係を前提とした一般的な回答で、個別の取引では異なる課税関係が生ずることがあるとされています。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、償却期間は契約の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 質疑応答事例「ホテルチェーンに加盟するに当たり支出する加盟一時金」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/06/02.htm
- 国税庁 法人税基本通達 第8章第1節「繰延資産の意義及び範囲等」(8-1-6)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/08/08_01.htm
- 国税庁 法人税基本通達 第8章第2節「繰延資産の償却期間」(8-2-1・8-2-3)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/08/08_02.htm
- 国税庁 法人税基本通達 第8章第3節「償却費の計算」(8-3-3・8-3-6・8-3-8)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/08/08_03.htm
- e-Gov法令検索「法人税法施行令」(14条・64条・134条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000097
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加盟金・ノウハウの頭金・保証金・ロイヤリティは、一時金か毎月か、返還されるかで扱いが変わります。国税庁の事例は、契約期間20年・返還なしの加盟一時金を、償却期間5年の繰延資産としています。代表税理士が加盟契約書と請求書を読み、支払いを区分して償却期間を見積もります。20万円未満と分割払いの判定、決算での償却と申告書への反映、解約時の残額の処理まで対応します。加盟契約を結ぶ前や、開業前の支払いが始まる段階でご相談ください。
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